1.建設業界の将来性はやばい?未来はない?
建設業の未来は明るくない、という声をよく聞きますが実際はどうなのでしょうか?
未来を考えるには、まず建設業界の「今」を把握しなければなりません。ここでは建設業界の現状をご紹介します。
国際的な競争力が低下している
2023年3月末時点での建設業の状況は以下の通りです。
左右にスライドすると表を見ることができます
倒産件数が3年ぶりに増加 | 2022年度の倒産件数は1,291件。工期長期化・人手不足・資材高に加え、資金繰り支援の終了が重なり、歴史的低水準だった20~21年度から急増。 |
建設投資額は増加傾向 | 建設業界全体の仕事は増えているが採算が取れない状況にある。原因は受注競争の激化、資材の価格高騰など建設コストの上昇。とくに、資材はウクライナ情勢の長期化や円安の進行で2020年後半から価格が急騰。 |
就業者の減少と高齢化が進む | 平成初期からの約30年で就業者数は約200万人減少。技術を持った職人が不足。他産業に比べ、高齢化の進行が顕著。全就業者の3割以上が55歳以上なのに対して、29歳以下は1割程度にとどまる。 |
労働時間は減少傾向 | 年間の総労働時間は平成初期から令和3年にかけて約50時間、年間出勤日数も約14日減少。しかし、全産業平均の削減幅に遠く及ばず、世間の流れについて行けていない。 |
賃金は増加傾向 | 2012年から2019年にかけて総支給額は約18%増加。同時期の全産業平均は約5%増なので大幅な賃上げを達成している。原因は東京オリンピックによる需要の増加。就業者数、職人の減少で生産労働者の存在価値は高まり、今後も上昇する可能性はある。 |
建設業界には景気のけん引役を期待されている
現状、建設業界を取り巻く環境は厳しいですが、あらゆる産業から建設業は景気のけん引役として期待されています。その理由として、経済効果の源には常に建設業が存在するからです。
2024年開催予定の大阪万博を例にすると、まず会場施設、周辺の宿泊施設などの建設需要が生まれ、建設業の景気上昇が見込まれます。
次に会場や宿泊施設で働く人や会場の利用客を運ぶ交通機関など、他産業に対する需要も生まれるでしょう。
イベント終了後も会場は多目的施設などとしてさまざまな需要に応えていきます。こうして建設業が何かをつくると経済効果が多くの産業に広く伝わるため、建設業は常に景気の火付け役として期待されているのです。