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運送業は長時間労働や高齢ドライバーの増加などから健康意識を高める必要がある企業が増えています。点呼は1日の始まりに行うことから、点呼時の健康チェックは安全確保のための大切な役割を果たしているといわれています。
全日本トラック協会が作成している「トラック運送事業者のための健康起因事故防止マニュアル(令和4年5月改定)」では点呼時に行う健康チェックのポイントとして下記5 項目をあげています。
1
アルコールチェック
2
睡眠不足の状況の確認
3
疫病・疲労・精神状態・体調確認
4
血圧測定・体温測定の実施
5
治療者には受診状況の確認
運転中はストレスから血圧がかなり上がるといわれています。
某実験では、運転中の血圧の変化については、まだ大規模な調査はありませんが、例えば時速30~40km程度の安全運転時でも、平均すると最高血圧が25mmHg上がり、時速60~80kmでスラローム運転をすると、最高血圧が平均で43mmHgも上昇するという報告がみられます(※1)。
このような状況から、ドライバーに関しては高血圧症の方はもちろん正常値の方に関しては常日頃から血圧数値を把握しておくことが事故防止につながるといえます。全日本トラック協会では、乗務判断の指標となる血圧の数値について公開しています。
引用:全日本トラック協会「健康起因自己防止マニュアル、乗務判断のポイント P45」
(※1)埼玉県警察本部交通企画課と(社)日本交通科学協議会・小川昌子医師らによる実験。25~77歳の健康な人・20人を対象に、2 回に分け、安全運転時やスラローム運転時などの血圧や脈拍を測定したもの。
感染症対策の指標として活用される体温。実は一日の変動差は最大0.8℃程度あることはご存じでしょうか。
体温には1日のリズムがあり、午前3時から7時頃までが一番低く、そこから徐々に上昇し、14時から18時ごろが一番高くなります。食事後や運動後、入浴後も体温は上昇します。健康管理の面から平常時から朝・夕の体温計測を行い、平熱を把握しておくことがおすすめです。
点呼の際に体温測定を行う場合は、時間帯によって計測数値に差が出ることを認識したうえで行うのがよいでしょう。
参照:Jappiphysiol.65(1988),1840-1846
日本の感染症法では「37.5℃以上を発熱、高熱は38℃以上」と定義されています。学術的には、ハリソン内科学では「午前の体温で37.2℃以上、午後の体温で37.7℃以上と意義される」に記載されています。
ただ平熱は人によって異なるので普段から体温を計測することで、自分の平熱を把握することが必要です。普段より1℃以上体温が高ければ、受診を検討した方がよいでしょう。