1.休日に会社携帯にかかってきた電話を対応するのは義務?
休日なのに仕事の電話をかける人は、相手が休みの日でも「電話1本なら大したことない」と考えているのかもしれません。しかし休日とは、雇用契約書の観点からみると「労働義務のない日」のことです。顧客対応も、基本的に「労働」に該当します。そのため休日に会社支給の携帯電話が鳴ったからといって、法的に対応する義務は発生しません。
「労働時間」の定義は、労働基準法には明記されておらず、過去の判例から「労働者が会社(使用者)の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。つまり労働時間かどうかを判断するキーワードは「会社の指揮命令下」です。
ここで就業時間外や休みの日であっても、上司やクライアントからの電話連絡に対応する指示や会社携帯の運用ルールが社内にあるケースを考えてみましょう。
職場における指示や運用ルールの存在は、会社の指揮命令下にあると判断する材料になり、土日など休みの日の電話への対応時間も労働時間に該当します。電話だけでなくLINEやショートメールのやり取りも、社内の運用ルールに則るものであれば労働時間としてカウントされるわけです。
「会社の指揮命令下」なら労働時間にカウントされる
企業の人事や会社側の立場としては、休日に会社携帯にかかってきた電話に出る・出ないは社員個人の判断であり、「会社は関係ない」「手当を支給しなくても法律上の問題はない」と主張するかもしれません。
会社の指揮命令がある・ないの判断については、社員との間で見解の対立が起きやすくトラブルが発生する原因です。
実際に「会社の指揮命令下」で休日に電話対応した場合、労働時間とカウントされます。時間外あるいは営業手当などの名目で、賃金計算される必要があるのです。「会社の指揮命令下」にもかかわらず人事が「残業代なし・手当なし」とした場合には、労働者の働き方や健康問題に留意する労働基準監督署から「問題あり」とみなされる可能性が高いでしょう。
ちなみに、労働基準法で定められた残業代を支払わずに社員に残業をさせるサービス残業は、法的には違法とみなされます。管理者による労働時間の把握は法的に義務付けられているため、把握する努力はとても重要です。