1.個人事業主とは?
個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人を指します。名前から「1人で事業を行っている」というイメージを持たれることがありますが、従業員を複数雇用している場合でも、法人を設立していなければ個人事業主となります。例えば、1人で営業から制作まで手がけるクリエイターや、家族で運営する飲食店の経営者などが該当します。
個人事業主が行う事業は、反復・継続・独立という3つの要素を満たしている必要があります。具体的には、同じ仕事を繰り返し行い(反復)、継続的に収益を得ており(継続)、他の業務に依存せず自分で独立して行う仕事(独立)のことです。例えば、会社員が副業として別のビジネスを始めた場合でも、この3要素を満たしていなければ「事業」とはみなされません。
個人事業主と法人の違い
法人とは、法律によって個人と同様に権利や義務が認められた組織や団体のことです。法人を設立するには、資本金の準備や法務局での登記手続きなど、さまざまな手続きが必要です。これらの手続きには数週間から数カ月かかることがあります。
一方、個人事業主の場合は手続きが簡単で、開業届を提出するだけで認められます。
ただし、法人のほうが社会的な信用度が高く経費として計上できる項目も多いため、事業の規模が拡大し、一定の所得を得られるようになった時点で法人化を検討する個人事業主も多いです。
個人事業主と会社員の違い
個人事業主と会社員の違いは、主に働き方と社会保障にあります。
会社員は企業に雇用されており、就業規則に従って働きます。仕事の自由度は低くなりますが、厚生年金や健康保険などの社会保障に加入でき、税金の手続きも会社が代行してくれます(源泉徴収や年末調整など)。そのため、税務手続きにかかる手間はほとんどありません。
一方で、個人事業主は企業に雇われず、自ら仕事を請け負います。働く時間や場所を自由に決められる一方、厚生年金や健康保険、雇用保険には加入できません。また、税金の手続きも確定申告で自分で行う必要があります。自由な働き方ができる反面、社会保障や税務手続きについては自己責任となります。
個人事業主と自営業者の違い
自営業者とは、自分で立ち上げた事業を運営し、収入を得ている人のことを指します。業種や業態に関係なく、自ら事業を営んでいれば、すべて自営業者に該当します。
一方、個人事業主も同様に独立して事業を営んでいる人を指す言葉であり、意味的には非常に近いです。ただし、自営業者は広い意味で自ら事業を行う人全般を指すため、会社を設立した経営者も含まれます。これに対して、個人事業主は法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人に限定されます。
つまり、自営業者は広義の概念であり、個人事業主はその中でも法人を設立していない人を指す狭義の概念です。
個人事業主とフリーランスの違い
フリーランスとは、企業や組織に属さずに個人で仕事を請け負う働き方や、そのように働く人を指します。個人事業主の中にはフリーランスとして活動している人も多く見られますが、すべての個人事業主がフリーランスというわけではありません。
例えば、個人事業主の中には飲食店や小売店など店舗を運営している人も含まれており、このような店舗経営者は通常フリーランスとは呼ばれません。
フリーランスは複数のクライアントから仕事を受注し、プロジェクトごとに契約を結んで業務を行う働き方が一般的です。そのため、法人経営者であってもフリーランスの働き方をしている場合もありますし、個人事業主でフリーランスとして働いている場合もあります。