2.直行直帰のアルコールチェックはどうする?
アルコールチェックの原則は、対面での酒気帯びの有無の確認です。運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等を目視確認等でチェックをします。
しかし直行直帰の場合、安全運転管理者による対面での確認は困難です。そこでここでは、直行直帰の酒気帯び確認方法についてご紹介します。
直行直帰とは?対象は?
直行直帰とは、業務開始前および業務終了後に、会社あるいは事業所に立ち寄らない働き方です。出社せずに自宅から直接得意先や作業現場などへ出向き、業務が終了したら直接自宅に帰ることをいいます。
直行直帰は「営業先や作業現場が自宅から近い」「勤務先へ立ち寄るほうが業務効率が悪い」場合が対象です。
タイミングはいつ?
直行直帰の場合でも、アルコールチェックは運転の前後、つまり業務開始前と終了時のタイミングで行います。出発時や帰着時、出勤時や退勤時などが、アルコールチェックのタイミングに該当するわけです。
安全運転管理者による運転者の酒気帯び確認は対面が原則ですが、直行直帰など遠隔地からチェックする場合は「対面に準じた方法」で確認しましょう。例えば、次のような方法です。
- あらかじめ運転者にアルコール検知器を携行させる。
- カメラやモニター等を用いて、顔色や声の調子、アルコール検知器による測定結果を確認する。
- 業務無線や携帯電話等、直接対話できる方法によって声の状態を確認し、測定結果を報告させる。
直行直帰時の労働時間は?
直行直帰を実施する場合、どこからが「通勤時間」でどこまでが「労働時間」なのか判断が難しくなってしまいます。
労働基準局の行政解釈では「労働時間」は下記のように定義されています。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。
【出典】:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインについて|厚生労働省労働基準局長(参照2024-03-27)
分かりやすくいうと「労働者が企業や上司の指揮命令下におかれているかどうか」が、労働時間であるか否かを判断するポイントです。例えば、上司の指示で直行直帰をしている・移動中も仕事をしている場合などは、労働時間に含まれると解釈されます。
とはいえ、時には判断に困るケースもあるかと思われます。
従業員に労働時間の基準を理解してもらい、勤怠を適切に管理するために、始業時間・終業時間のルールは就業規則などで具体的に決めておきましょう。
早朝、深夜の場合はどうするの?
休日や早朝深夜であっても、安全運転管理者等によるアルコールチェックは必要とされています。
しかし早朝、深夜などの業務時間外の時間帯に直行直帰する場合、事務所に安全運転管理者等が不在であるケースもあるでしょう。安全運転管理者等の不在時でも、前述の「対面に準じた方法」等でアルコールチェックを実施する必要があるので対策しておきましょう。たとえば、携帯型アルコールチェッカーを準備しておき、運転者にあらかじめ携行させた上でスマートフォンのビデオ通話やカメラ機能により安全運転管理者と検査結果を確認をするといった具合です。
また、安全運転管理者が不在等の理由により、安全運転管理者自身が確認できない場合もあるでしょう。
その場合には、副安全運転管理者のような補助者が代わりに確認することも可能です。ただし、いずれの場合でも責任の所在は安全運転管理者が負うことになります。