
運転日報とは
運転日報とは、業務で自動車を使用した場合に運転者の氏名、乗務開始・終了地点や日時、走行距離などを記録する日誌のことです。とくに「トラックによる運送など一般貨物自動車運送事業を営む企業」と「業務における使用車両が一定台数を超える企業」については、法律で運転日報の作成・保管が義務付けられています。
ここでは、運転日報がどのように法律で規定されているのか見ていきましょう。
運送業を営む企業の場合
貨物運送業を営む企業では「貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条」により、運転日報の記録と保存が義務付けられています。
運送業では、事業用自動車の安全運行を管理する「運行管理者」の設置が義務付けられています。一定数以上の車両を保有する営業所ごとに、車両台数に応じた人数を選任しなければなりません。この運行管理者の業務の1つが「乗務記録の管理」です。
乗務記録の管理は、トラックドライバーの乗務状況を正しく把握し確認することを目的として行われます。日々の安全運行の確保や運行管理上の資料として活用するために実施されている点がポイントです。
安全運行の確保により、次のような効果が期待できます。
- 長時間運転を原因とするドライバーの過労防止
- 睡眠不足による居眠運転事故の防止
- 過積載の防止など
なお運転日報の保存期間は、1年間と定められています。
ただし改正労働基準法第109条「記録の保存」においては、労働関係に関する重要な書類は「5年間」保存することになっています(改正前は3年間)。この中で労働者名簿が挙げられており、運転日報にはドライバーの氏名が情報として含まれることから、運転日報も5年間保存すべきという考え方もあります。
社用車で営業活動をおこなっている企業の場合
企業が一定数の社用車や営業車で営業活動をおこなっている場合は、道路交通法施行規則第9条の8により「安全運転管理者」等の選任が義務付けられています。
安全運転管理者等の選任が必要になる車両台数は、次のとおりです。
- 乗車定員11人以上の自動車は1台以上、それ以外の自動車を5台以上を使用している事業所(自動車使用の本拠)
この安全運転管理者のおもな業務の1つとして、運転日報の記録が義務付けられています(道路交通法施行規則第9条の10の8項)。具体的には、運転状況を把握するために必要な事項を記録する書類を備え付けておき、運転を終了した従業員に記入させることです。
なお運転日報の保管期間は、1年間と定められています。
なお2021年8月に千葉県で飲酒運転による交通死亡事故が発生したことから、道路交通法施行規則が改正されました。そのため2022年4月から安全運転管理者の業務が拡充されているので、運転日報についても見直すようにしましょう。