1.安全運転管理者とは
そもそも安全運転管理者とは、道路交通法で定められた安全運転管理者制度において、次に該当する事業者が選任義務を負う「自動車の安全な運転に必要な業務」を行わせる者のことです。選任の日から15日以内に、当該事業所の本拠のある公安委員会に届出をする必要があります。
- 定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所
- その他の自動車を5台以上使用している事業所(自動二輪車1台は0.5台で計算します)
- 自動車運転代行業者については、営業所ごとに選任が必要
※道路交通法施行規則第9条の8第1項
また次のとおり保有台数の多い事業所は、合わせて副安全運転管理者を選任しなければなりません。
- 20台以上の自動車を使用している事業所(20台毎に1人の追加選任が必要)
※道路交通法施行規則第9条の9 第2項、同法第9条の11
安全運転管理者等の業務
業務については「自動車の安全な運転を確保するために必要な当該使用者の業務に従事する運転者に対して行う交通安全教育や自動車の安全な運転に必要な業務で内閣府令で定めるもの」と道路交通法第74条「安全運転管理者等」において規定されています。
内閣府令で定める安全運転管理業務とは、次のとおりです。※道路交通法施行規則第9条の10
- 運転者の適正等の把握
- 運行計画の作成
- 交替運転者の配置
- 異常気象時等の措置
- 点呼と日常点検
- 運転日誌の備付け
- 安全運転指導
- 酒気帯びの有無の確認及び記録の保存(令和4年4月1日施行)
- アルコール検知器の使用等(令和4年10月1日施行※)
※現在は当面の間、延期となっています。
安全運転管理者等の資格要件
資格要件を見ると、安全運転管理者には相応しい年齢と経験が備っていることが大事だとわかります。公安委員会の解任命令により解任された日から2年を経過した人や交通関係の違反行為をした日から2年を経過していない人は、いずれも資格要件を満たしません。
無免許運転車両や酒酔い・酒気帯び運転車両への同乗など自身の違反行為だけでなく、運転者への「酒酔い・酒気帯び運転」「麻薬等運転」「過労運転」「無資格・無免許運転」「最高速度違反運転」「放置駐車違反」などの下命・容認行為も含まれています。
以上を踏まえた安全運転管理者等の資格要件は、年齢20歳(副安全運転管理者を置く事業所にあっては30歳)以上で、次のいずれかに該当する人です。
- 運転管理実務経験2年以上
- 公安委員会の認定を受けている
※道路交通法施行規則第9条の9 第1項
副安全運転管理者の資格要件は、年齢20歳以上で、次のいずれかに該当する人です。
- 運転管理実務経験1年以上
- 運転経験3年以上
- 公安委員会の認定を受けている
※道路交通法施行規則第9条の9 第2項