1.アルコールチェック義務化の拡大
2022年4月1日施行の道路交通法改正を受けて、白ナンバー事業者は社用車の運転前後に運転者の酒気帯び有無を目視で確認し、その結果を記録し1年間保存することが義務化されました(改正道路交通法「第9条の10」にて記載)。さらに同年10月1日※からは、社用車の運転前後にアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認することも義務化されたため、機器の導入などの対応が必要です。
※2023年6月現在:警察庁から2023年12月1日にアルコール検知器義務化規定の施行方針が発表されました。
アルコールチェック義務化が緑ナンバーだけでなく白ナンバーにも拡大した背景には、令和3年6月に千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突した重大事故の発生があります。児童5人死傷事故を重くみた政府は同年8月に「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」をまとめました。
これを踏まえて道路交通法は改正され、安全運転管理者の業務としてアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の測定・確認が盛り込まれたのです。
道路交通法改正のこれまでとこれから
まずは、飲酒運転の根絶を目指して進められているアルコール関連の道路交通法改正について見ていきましょう。アルコールはたとえ少量の摂取でも脳の働きを麻痺させ、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力を低下させます。
そこで2007年9月施行の改正道路交通法では、飲酒運転に対する制裁を以下のとおり強化されました。
- 飲酒運転者への罰則強化
- 周辺者への罰則の新設
現在では、運転者にも運転者以外にも厳しい罰則が設けられています。緑ナンバーのトラックにおいては、2011年にアルコール検知器を使用した飲酒検査が義務付けられました。しかし厳罰化されてもなお、飲酒運転を巡る事故があとを絶ちません。
そんな中、千葉県八街市で重大事故引き起こしたドライバーは乗車前のアルコールチェックが義務化されていない白ナンバートラックを運転しており、公判で飲酒運転が常習化していた実態が明らかになりました。
さらに運転手の勤務先企業は安全運転管理者を選任しておらず、飲酒運転の常習化を把握していなかったことから2022年4月施行の道路交通法改正へと一気に進んだという背景があります。
アルコールチェックの実施方法
ここでは、白ナンバー事業者に義務付けられたアルコールチェックの実施方法について見ていきましょう。
目視等で確認する場合(対面) | 対面での確認が難しい場合(直行直帰や宿泊先から出勤するなど) | |
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チェック方法 |
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「携帯型」アルコール検知器を運転者に提供 |
確認内容 |
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対面による確認と同視できる方法
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なおアルコール検知器の性能については以下の機能をもつものであれば足り、それ以外の性能上の要件は規定されていません。
- 酒気帯びの有無を「音」「色」「数値」等により確認できるもの
- アルコールを検知して原動機が始動できないようにする機能を有する