3.業務委託先のアルコールチェックを実施するために
ここでは、これからアルコールチェックを導入する企業に向けて、業務委託運転手にアルコールチェックを実施する方法をご紹介します。
安全運転管理者を選任する
まずはじめに、安全運転管理者を選任してください。
道路交通法第74条では、「車両等の使用者の義務」や「安全運転管理者等」について規定されています。
安全運転管理者の選任は「乗車定員が11人以上の自動車1台以上」あるいは「その他の自動車5台以上」を保持する使用者に義務付けられていることを知っておきましょう。台数にはいわゆる社長車、賃借契約に基づく従業員の持ち込み車両やリース車両が含まれています。
また2022年(令和4年)の法改正により、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則は、5万円以下から50万円以下の罰金に引き上げられたので注意してください。(同年10月1日から施行)
業務委託先・派遣社員でも安全運転管理者に選任できる?
道路交通法第74条では雇用関係については言及されていないことから、安全運転管理者の選任は自社の従業員だけが対象ではなく外部の業務委託契約者からも可能です。
人手不足に悩む運送業界では、社内で安全運転管理者を選任して「安全運転管理者等の業務」も担ってもらうのは困難かもしれません。そのような場合には、外部の業務委託先・派遣社員などからの選任も視野に入れてご検討されてみてはいかがでしょうか。
ただし、安全運転を確保するために必要な対応を確実にできるような体制が求められています。安全運転管理者等の要件が規定されていることから、誰でも選任して良いわけではないことも知っておく必要があります。
アルコール検知器を準備する
次に、アルコール検知器を準備しましょう。
2023年12月1日から、アルコール検知器を使用したアルコールチェックが白ナンバー事業所にも義務化されました。
白ナンバー事業所に義務化された内容は以下の3つです。
- 運転の前後に、運転者に対して目視(または目視に近い)およびアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認すること
- 目視およびアルコール検知器による確認の記録をデジタルデータや日誌等で1年間保存すること
- 正常に機能するアルコール検知器を常備すること
アルコールチェックの記録表を作成する
そして、アルコールチェックの確認の内容を記録する記録表を作成しましょう。
インターネットで検索すると、安全運転管理者等が利用できる酒気帯び確認に関する記録帳票のサンプル書式が数多く用意されています。
弊社コラムでもアルコールチェックの記録表の書き方についてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
アルコールチェックの記録表を1年間保管する
最後に、アルコールチェックの記録表を保管してください。
アルコールチェックの確認結果を記載した記録帳票は、1年間の保管が義務付けられています。紛失や改ざんの恐れがない保管方法で、1年間にわたり保管するようにしましょう。
紙データで管理される場合、1年分の書類を保管場所が必要となります。また、過去データを探すなど管理面で手間がかかるため、クラウド上に保管するのがおすすめです。ペーパーレス推進にも繋がります。