飲酒運転の罰則規定(2022年10月時点)
飲酒運転とは、アルコール分を体内に保有した状態で運転する行為です。
この飲酒運転は、「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分類されることをご存知でしょうか。
アルコール量からみた「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の違いは、次のとおりです。
- 酒酔い運転
呼気中アルコールの濃度にかかわらず、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態
- 酒気帯び運転
呼気中にアルコール濃度が道路交通法における基準値の0.15mg/Lを超えている状態で運転をしていた場合
酒気帯び運転はさらに2段階に分かれています。
呼気中アルコール濃度が「0.15mg/L以上0.25mg/L未満」と「0.25mg/L以上」の状態があり、たくさん飲酒している後者が罰則は重くなります。
0.15mg/L未満であれば絶対に大丈夫かと言うと、そうではありません。
呼気中アルコール濃度がたとえ0.15mg/L未満でも、アルコールが原因で正常に運転が出来ない状態に該当した場合、酒酔い運転とみなされる可能性があります。
運送事業者の場合、点呼時に運転者に対して「酒気帯びの有無」を確認することが義務付けられています。
アルコールチェックでは、数値が0.15mg/L未満であるか否かは考慮されません。
つまり運転者からアルコール分が微量でも検知された時は、運行管理者はその運転者に乗務をさせてはいけないということになります。
以上を踏まえて、ここでは2022年9月時点の飲酒運転にかかる罰則規定について見ていきましょう。
運転者に対する罰則
左右にスライドすると表を見ることができます
|
呼気1リットル中の アルコール濃度 |
交通 違反点数 |
行政処分 (免許証) |
刑事罰 |
酒気帯び運転 |
0.15mg/L以上 0.25mg/L未満 |
13点 |
免許停止90日 ※前歴及びその他の累計点数がない場合 |
3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
酒気帯び運転 |
0.25mg/以上 |
25点 |
免許取り消し (欠格期間2年) |
3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
酒酔い運転 |
規定なし (無条件) |
35点 |
免許取り消し (欠格期間3年) |
5年以下の懲役又は 100万円以下の罰金 |
※出典:警察庁広報用リーフレット
欠格期間とは、運転免許が取り消された場合、運転免許を再度受けることができない期間のことです。
また飲酒運転をした運転者本人のほか、車両等やお酒を提供した人、あるいは運転者が飲酒していることを知りながら車両に同乗した人も責任があるとして、次のような罰則が設けられています。
左右にスライドすると表を見ることができます
|
運転者が酒酔い運転を した場合 |
運転者が酒気帯び運転を した場合 |
車両提供者 |
5年以下の懲役又は 100万円以下の罰金 |
3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
酒類提供者 車両の同乗者 |
3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金 |
2年以下の懲役又は 30万円以下の罰金 |
※出典:警察庁広報用リーフレット
周囲の人も運転免許の有無にかかわらず飲酒運転者と同様に厳しく罰せられるほか、免許保有者は免許停止または免許取り消しになる可能性があります。飲食店も処罰の対象となるので、酒類を提供する際には注意が必要だといえるでしょう。
また自動車運転の悪質性や危険性等の実態に応じた処罰を行えるよう「自動車運転死傷処罰法」が成立し、平成26年5月に施行されました。
そこでアルコール等の影響により正常な運転が困難な状況で人を死傷させた場合には、従来の危険運転致死傷罪より刑を軽減した、新しい「危険運転致死傷罪」が新設されています。
従来の「自動車運転過失致死傷罪」が刑法から移され、「過失運転致死傷罪」として規定されていることも知っておきましょう。
なお加入が義務付けられている自賠責保険においては、飲酒運転で事故を起こした当事者は補償適用の対象外です。
被害者は、保険制度における被害者救済の観点から、補償対象となります。
事業者に対する行政処分
「事業用自動車総合 安全プラン2009」(平成21年3月)を踏まえ、自動車運送事業の飲酒運転等に対する処分強化がなされました。
現在の事業者に対する行政処分の内容は、次のとおりです。
|
行政処分 |
事業者が 飲酒運転等を 下命・容認した場合 |
14日間の事業停止 |
飲酒運転等+ 重大事故に係る 指導監督義務違反の場合 |
7日間の事業停止 |
飲酒運転等に係る 指導監督義務違反の場合 |
3日間の事業停止 |
飲酒運転等に 対する処分 (旅客自動車運送事業、貨物自動車運送事業) |
初違反: 100日車の車両使用停止 再違反: 200日車の車両使用停止 |
※出典:国土交通省 地方運輸局
アルコール検知器の精度について
飲酒運転に関わる重い罰則を受けない為にも、点呼時に運転者のアルコールチェックを行う際に使用するアルコール検知器の精度は重要です。
アルコール検知器の精度は内部のアルコールを検知するセンサーによって変わります。センサーは「電気化学式センサー」と「半導体式センサー」の2種類に大別されるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
各センサーの特徴は下記のとおりです。
各センサーの特徴
センサーの種類 |
特徴 |
電気化学式 センサー |
- アルコール以外の成分で反応することが少ない
- 外気の環境の影響は受けにくい
- 校正間隔が長い
- 製造コストが高い
|
半導体式 センサー |
- 製造コストが安い(安価で購入しやすい)
- 安定性・再現性が高くない
- 経年変化が大きく、使い捨てが基本となる
|
※特徴は一般的な内容で製造メーカーによって異なることがあります。
点呼業務で使用するアルコール検知器は、再現性が高く、誤検知の少ない「電気化学式センサー」がおすすめです。
またGマークを取得している事業者なら、IT点呼と連動できるタイプの検知器をおすすめします。
IT点呼キーパーは、アルコール測定結果をデータでパソコンに取り込み、点呼簿をデジタル化してクラウド上で一括管理できるので、安心安全な点呼管理を実現可能です。
IT点呼キーパーが対応しているアルコール検知器は「電気化学式センサー」を搭載した検知器が多いです。
毎日検知器を活用する運送業の方向けに、誤検知が少ない検知器を採用しています。
据置型、携帯型など、お客様の運用に応じて検知器をお選びください。
フィガロ技研株式会社
左右にスライドすると表を見ることができます
製品名 |
センサー |
設置方法 |
パソコンに記憶 |
特徴 |
FuGo-Pro FALC-11 |
電気化学式 センサー |
据置型 携帯型 |
◎ |
- ハンディタイプ、据置記録型・遠隔地管理用いずれの使い方も可能
- 本体機器に検査結果を2,500件まで記憶
|
株式会社東洋マーク製作所
左右にスライドすると表を見ることができます
製品名 |
センサー |
設置方法 |
パソコンに記憶 |
特徴 |
AC-015 AC-015BT |
電気化学式 センサー |
携帯型 |
◎ |
- パソコン管理対応タイプとスマートフォン接続タイプの2タイプ
- 各社デジタルタコグラフとも連動(一部メーカーを除く)
|
AC-011IT |
半導体& 電気化学式 センサー |
据置型 |
◎ |
- 半導体センサー・電気化学式センサーの両方を搭載
- スピーディーな連続検査の点呼に優れている半導体センサーでチェックを行う
- アルコール反応があった場合は、より正確な電気化学式で最終確認を行う
|