運行管理者とは?
運行管理者とは、輸送の安全管理のために会社から選任された人を指します。
選任は運行管理者資格を持つ人から行わなければなりません。
自動車運送事業者は、運転者に輸送のプロとしての高い安全意識を持たせて運行業務をさせなければなりません。
安全意識を持たせるためには、一定以上の知識と管理能力を備えた人物による教育・指導が必要で、教育・指導を行うに十分なスキルを有する証明書が運行管理者資格というわけです。
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安全運転をして当たり前と見られるトラック、バス、タクシーなどのプロドライバー。しかし彼らも人間であるため、常に万全の状態で運転できるとは限りません。
体調が悪いのに無理をして運行し、事故を起こしたら当事者や会社、乗客や顧客など多くの人に被害がおよびます。
そこで、事故を防ぎ業務を円滑化する運行管理者が必要なのですが、選任には資格が必要です。この記事では、運行管理者試験の受験方法や試験の難易度、合格への対策などをご紹介します。
最後までご覧いただき、あらゆる人を事故から守るキーマンを目指してください。
運行管理者とは、輸送の安全管理のために会社から選任された人を指します。
選任は運行管理者資格を持つ人から行わなければなりません。
自動車運送事業者は、運転者に輸送のプロとしての高い安全意識を持たせて運行業務をさせなければなりません。
安全意識を持たせるためには、一定以上の知識と管理能力を備えた人物による教育・指導が必要で、教育・指導を行うに十分なスキルを有する証明書が運行管理者資格というわけです。
運行管理者になるには、「運行管理者資格者証」の交付を受けなくてはなりません。
交付を受ける方法は2つあります。
それぞれ解説します。
資格者証の交付を受ける方法1つ目は、運行管理者試験に合格することです。
自動車運送事業は大きく分けて「貨物」と「旅客」の2つがあり、事業の種類に応じた運行管理者試験に合格することで、資格者証の交付が受けられます。
事業の種類 | 貨物 | 旅客 |
---|---|---|
主な事業者 | 運送会社 | バス会社、タクシー会社 |
必要な資格者証 | 運行管理者資格者証(貨物) | 運行管理者資格者証(旅客) |
資格者証の交付を受ける方法2つ目は、実務経験など一定の要件を満たすことです。
具体的には、以下の条件をすべて満たすと、運行管理者試験に合格していなくても資格者証の交付が受けられます。
ここでは、運行管理者試験に関する以下の内容をご紹介します。
運行管理者試験の受験には、以下2つの要件のいずれかに該当する必要があります。
受験資格の1つ目は、1年以上の実務経験です。
具体的には、以下の運行管理について試験日前日までに1年以上の実務経験が必要です。
受験資格の2つ目は、基礎講習を修了または修了予定であることです。
具体的には、以下の2点を満たしている人を指します。
なお、ここでいう講習とは、資格者証の交付を受けるための基礎講習とは内容が異なります。
混同しないように注意してください。
運行管理者試験は、毎年3月頃と8月頃の年2回、それぞれ1か月程度の期間で実施しています。
直近の試験については、公益財団法人運行管理者試験センターの公式HPにて案内が出されていますのでご確認ください。
【出典】:公益財団法人 運行管理者試験センター(参照2024-01-16)
合格発表は試験終了日から2~3週間後に行われ、試験結果通知書は発表日の数日後に郵送されます。
運行管理者資格の受験申請には、「新規受験」と「再受験」があります。
公益財団法人運行管理者試験センターの受験申請ページから該当する申請を行ってください。
申請に必要な書類の審査が終わると、運行管理者試験に採用されているCBT試験専用サイトが案内されます。
こちらで受験会場の予約、受験料の支払い手続きを行うことで受験申請が完了します。
受験に必要な手数料は以下の通りです。
新規受験申請の場合は①と②、再受験申請の場合は①と②と③が必要です。
④は希望者のみ必要となります。
手数料名称 | 金額 |
---|---|
①受験手数料 | 6,000円(非課税) |
②システム利用料 | 660円(税込) |
③事務手数料 | 200円(税込) |
④試験結果レポート手数料 | 140円(税込) |
運行管理者試験は「貨物」と「旅客」2つの試験があり、関係法令等について出題されます。
出題分野は貨物と旅客で若干異なるため、詳しくは次でご紹介します。
運行管理に関係する法令等が改正された場合、改正後6か月間は改正の前後で回答が異なる出題は原則行われません。
ただし、2024年問題のような社会的注目度が高く、関係機関への周知が十分と判断されるものについては例外的措置が取られることがあります。
その場合、公益財団法人運行管理者試験センターのホームページにおいて案内されますので、見かけたら必ず確認しましょう。
貨物試験の出題分野と出題数は以下の通りです。
分野 | 出題数 |
---|---|
①貨物自動車運送事業法関係 | 8 |
②道路運送車両法関係 | 4 |
③道路交通法関係 | 5 |
④労働基準法関係 | 6 |
⑤その他運行管理者の業務に関し、 必要な実務上の知識および能力 |
7 |
合計 | 30 |
旅客試験の出題分野と出題数は以下の通りです。
分野 | 出題数 |
---|---|
①道路運送法関係 | 8 |
②道路運送車両法関係 | 4 |
③道路交通法関係 | 5 |
④労働基準法関係 | 6 |
⑤その他運行管理者の業務に関し、 必要な実務上の知識および能力 |
7 |
合計 | 30 |
合格基準は、貨物・旅客共通で、以下の1.および2.の両方が求められます。
運行管理者試験は貨物、旅客共に総じて難易度は高めといえます。
理由は、受験資格に実務経験や講習の受講などを設け、一定のスキルを身につけた人だけが受験しているにもかかわらず、3人に1人程度しか合格できないからです。
直近の令和5年度第1回試験も合格率は33.5%であることから、難易度は高い水準でキープされているといえます。
運行管理者試験の合格率は、直近10年はおおむね30%台、高くても40%前半と難易度が高止まり傾向を見せています。
しかし、もう少し遡ると平均合格率が50%・60%台、回によっては8割以上の合格率を記録したケースもあり、20年というさほど長くない期間で試験の難易度は大幅な上昇傾向に転じたと見て取れます。
運行管理者試験の難易度が上がっている大きな理由に以下の3つがあります。
合格率が30%台で安定する少し前の時期、具体的には平成17年度から22年度あたりにおいて、合格率が乱高下した時期がありました。
【出典】:運行管理者試験対策.net|運行管理者試験(貨物)さらに過去の合格率(参照2024-01-16)を一部加工
受験者の間では「前回、合格率が低かったのは難易度を上げ過ぎたから。次の回の合格率が上がっているのは、前回やり過ぎたと思って簡単にしたのだろう」などという噂話がされたほどです。
これでは資格の権威性が保てないと判断したのか定かではありませんが、結果的に難関水準の試験として安定したのではないかと推測されます。
さらにここから数年にわたり、さまざまな制度見直しの契機となる重大事故が発生します。
発生日 | 事故名称 | 被害状況 |
---|---|---|
2012(平成24)年4月29日 | 関越自動車道高速バス 居眠り運転事故 |
死者7名、負傷者39名 |
2016(平成28)年1月15日 | 軽井沢スキーバス転落事故 | 死者15名、負傷者26名 |
2022(令和4)年8月22日 | 名古屋高速バス横転炎上事故 | 死者2名、負傷者7名 |
2022(令和4)年10月13日 | 静岡観光バス横転事故 | 死者1名、負傷者35名 |
重大事故の発生を受けて、管理体制の厳格化の影響で試験の難易度も上昇したと考えられます。
運輸業界は、他産業に比べて長時間労働が問題視されています。
運転者のみならず、運行管理業務に従事する人も当然含まれます。
勉強できる時間が少ないうえにやるのは激務から解放された後となるとなかなか過酷です。会社に資格取得を命じられ、仕方なく勉強している人はモチベーションも上がらず、結果が出ないのも無理のない話といえるでしょう。
合格率が低い=難易度が上がっているといわれる原因は、問題が難しくなっている点だけでなく、試験準備に十分な時間が確保できない業界の労働環境にもあるといえます。
ここからは、運行管理者試験合格への対策についてご紹介します。
運行管理者試験の対策では、以下の3点が重要です。
それぞれ解説します。
運行管理者試験合格への対策1つ目は、わかりやすい参考書選びです。
参考書を書店で探す場合は、ペラペラとめくった時点で見やすいと感じるものを選びましょう。
以下の点をチェックするのがおすすめです。
厚手の参考書は「こんなに勉強しないといけないの?」という気分になりますし、文字だらけのページは読む意欲を削がれます。反対にイラストや図解が多いと視覚的にわかりやすく、勉強への抵抗が小さくなるでしょう。
活字に苦手意識がある人は、「図解で解説」「マンガでわかる」などといったタイトルの本から探してみるのもおすすめです。
運行管理者試験合格への対策2つ目は、過去の問題を多く解くことです。
過去の問題を解くメリットは多く、例を挙げると以下などがあります。
これらは参考書を読んだだけではつかめない、試験で非常に重要な要素です。
一流大学に現役合格した学生の勉強方法で、真っ先に問題を解き、わからなかった箇所を調べるのに初めて参考書を開く、という話を聞いたことはありませんか?
彼らはやみくもに勉強しても非効率なのを知っています。
過去の試験から取り組む優先順位の見当をつけ、必要なことから取り組んでいるのです。
取り組み方に悩んでいる人は、結果を出している人のノウハウを取り入れてみてはいかがでしょうか。
過去の試験問題はこちらからダウンロードできます。
【出典】:公益財団法人運行管理者試験センター|過去の試験問題(参照2024-01-16)
運行管理者試験合格への対策3つ目は、CBT試験の操作に慣れておくことです。
運行管理者試験はパソコンを使ったCBT試験方式が導入されています。
パソコンを使い慣れていない人はもちろん、使い慣れている人も普段見ない試験画面をいきなり見てすぐに対応できるとは限りません。
試験の流れ、実際の操作などはこちらから確認、体験ができます。
本番で慌てることがないように準備しておきましょう。
試験に見事合格し、運行管理者に選任されると、非常に多くの業務を受け持つことになります。
担当業務のすべてを自分、もしくは自分を含めた数名の運行管理者で行おうとすると大きな負担になるかもしれません。過去の重大事故を教訓に、同じ事故を繰り返すまいと業務は日を追うごとに厳格、煩雑になっているからです。
とくに点呼業務においては、
など、運転者1人に対する確認作業が非常に多く、人数が増えるにつれ運行管理者の負担はより大きくなります。
そこでテレニシ株式会社では、運行管理者の負担を大きく減らせる点呼業務効率化ツール「IT点呼キーパー」をご用意しています。
点呼におけるさまざまなお悩み、「IT点呼キーパー」で解決しませんか?
さらに14日間の無料デモ体験をご用意することで、導入への不安をすべて取り除いてから利用できる万全の体制を整えました。「IT点呼キーパー」によって節約できた運行管理者の時間は、他業務への活用だけでなく運行管理者のリフレッシュにも活かせます。
2024年問題によって一段と厳しい労務管理が求められるこれからを「IT点呼キーパー」と共に乗り越えませんか。
運行管理者試験の概要、難易度などをご紹介しました。
運行管理者は難関資格です。一夜漬けの勉強ではなかなか通用しません。
毎日少しずつ、繰り返し勉強習慣を身につけ知識の定着を図りましょう。
また、資格取得後も目まぐるしく変わる法改正などに対応するため、自身のブラッシュアップが求められます。
新しい情報は必ず確認し、自身の業務に必要なら都度アップデートしましょう。
【出典】
公益財団法人運行管理者試験センター(参照2024-01-16)
自動車運送事業の運行管理者になるには|国土交通省(参照2024-01-16)
母を亡くした大学生は白バイ隊員になった~関越道バス事故10年|NHK事件記者取材note(参照2024-01-16)
息子が遺した1冊 ~軽井沢スキーバス事故裁判へ 父親の思い~【改訂版】|NHK事件記者取材note(参照2024-01-16)
静岡 観光バス横転死傷事故で元運転手に実刑判決 地裁|NHK(参照2024-01-16)
運行管理者試験の合格率・難易度は?勉強方法まで解説|株式会社ユーキャン(参照2024-01-16)
運行管理者試験の合格率や難易度、勉強方法を詳しく解説|株式会社キャリカレ(参照2024-01-16)
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自動車運送事業における点呼は、輸送の安全を確保するために法令により実施が義務付けられている業務です。ICT技術の高度化が目覚ましいことから対面点呼に代わる遠隔点呼が実施できるようになり、令和4年4月1日から申請がスタートしています。また令和5年1月からは、乗務を終了したドライバーに対する点呼を自動で実施できる業務後自動点呼がスタートしました。北陸信越運輸局が令和元年6月に公表した平成30年度の自動車運送事業者の行政処分の内容分析結果では、自動車運送事業の最多違反は点呼でした。点呼においては運転者の名前以外にも様々な確認項目があり、確実な点呼を行えていると思っていても違反となる場合や、分かっていても確実な点呼を実施することが負担となる場合など理由は色々とあるでしょう。
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2022年(令和4年)4月より開始した「遠隔点呼」ですが、2023年(令和5年)3月31日以降ちょっとした変化があったことをご存じでしょうか。これに伴い、遠隔点呼の要件や申請方法が変更されました。そこで本記事では遠隔点呼の定義をおさらいし、2023年4月1日以降の申請方法について解説しますのでトラック事業者の方は参考にしてください。
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令和4(2022)年4月より、「遠隔点呼実施要領」に基づいた遠隔点呼の申請が開始されています。すでに実施されている「IT点呼」と新たに申請できるようになった「遠隔点呼」には、どのような違いがあるのでしょうか?対面点呼と比べると遠隔点呼とIT点呼は同義に見えることから、どうしても混乱しがちです。本記事では遠隔点呼とIT点呼の違いをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
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国土交通省は巡回指導の結果、悪質と見られるトラック運送業者への監査を強化するとし、令和5年4月1日から新しい制度の運用を開始しています。新制度のもとDあるいはEの評価を受けた運送業者数の6割減を目指して、巡回指導の頻度を半年に1回に高めることになりました。本記事では、巡回指導の概要やチェック項目のほか、巡回指導への対応を解説します。