軽貨物における点呼とは?軽貨物運送事業の登録に必要な要件も解説|IT点呼キーパー

軽貨物における点呼とは?軽貨物運送事業の登録に必要な要件も解説

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  • 新型コロナウイルス感染症の流行後、通販や宅配サービスの利用が急増し、狭い住宅地でも荷物をスムーズに運べる軽貨物運送の需要が高まっています。


    しかし、軽貨物運送事業を始めるにはさまざまな規定があり、「何から手をつけてよいかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。


    そこで今回は、軽貨物運送の基本情報や登録に必要な要件、そして点呼についてわかりやすく解説します。


    軽貨物車を使った事業を始めたい方はもちろん、すでに事業を営んでいる方もぜひ最後までご覧いただき、顧客の多様なニーズに対応できる事業展開にお役立てください。

そもそも軽貨物とは? コラム1画像

そもそも軽貨物とは?

軽貨物とは、軽自動車やバイクを使用して荷物を配送する事業のことで、正式には「貨物軽自動車運送事業」と呼ばれます。対象となる車両は軽自動車と排気量125cc以上のバイクなどです。

この運送事業に使用する車両には、次のルールが適用されます。


  • 規定に従ったサイズの自動車を使うこと
  • 最大積載量を守ること
  • 事業用ナンバー(黒ナンバー)を取得すること

これらのルールについて、詳しくご紹介します。

軽貨物車の規定サイズ

軽貨物車の規定サイズは、道路運送車両法によって以下のように定められています。


  • 車輪数:3輪以上
  • 大きさ(m):長さ3.4以下×幅1.48以下×高さ2.0以下
  • 総排気量(cc):660以下

軽貨物車の規定サイズ

軽自動車に架装した結果、規定に収まらない場合は普通車扱いとなり所定の届出(構造変更)を行わなければなりません。

【参考】:道路運送車両法|e-Gov 法令検索(参照2024-09-06)

軽貨物車の最大積載量

2022年(令和4年)10月27日より、軽自動車は「貨物」タイプも「乗用」タイプも問わず、貨物軽自動車運送事業に使用できるようになりました。


ただし、最大積載量については「貨物」と「乗用」で以下のように異なります。

貨物 乗用
最大積載量 350kg (乗車定員ー乗車人数)×55kg
車検証への記載 あり なし

「乗用」自動車の最大積載量早見表

乗車人数 最大積載量
1人 165kg
2人 110kg
3人 55kg
4人 軽貨物事業としての使用は不可

※軽乗用車の乗車定員を4人として算出


特に「乗用」自動車の最大積載量は車検証などに記載されていないため、知らない間に過積載で運行してしまうことがないよう十分にご注意ください。

黒ナンバーとは?

黒ナンバーとは、軽自動車の事業用ナンバーを指す通称です。その名のとおり、ナンバープレートが黒色であることからこのように呼ばれています。


荷物や人を運び、その対価として料金を受け取る車両は、事業用自動車として登録する必要があります。この登録状況が一目でわかるように、ナンバープレートの色で区別されているのです。具体的には以下のような区分があります。


自家用 事業用
普通自動車 白ナンバーのイメージ画像 緑ナンバーのイメージ画像
軽自動車 黄ナンバーのイメージ画像 黒ナンバーのイメージ画像
軽貨物運送の仕事の種類 コラム2画像

軽貨物運送の仕事の種類

軽貨物車は小回りが利く点を武器にさまざまな輸送に使われています。ここでは、軽貨物車の仕事として代表的な5つをご紹介します。

宅配代行・委託配送

宅配会社からの依頼を受けて、個人宅向けの荷物を配送する業務です。軽貨物車を活用した代表的な業務の一つであり、新型コロナウイルス感染症の流行を契機に需要が急増しました。


軽貨物車は入り組んだ住宅地でもスムーズに配送を行うことができるなど、狭い道路でも走行しやすいという利点があります。大きな荷物の運搬には向いていませんが、宅配荷物の多くは小型のため、大手宅配業者の重要なパートナーとしてその役割を果たしています。

引越し便

引越し便は新居へ家財を運ぶ専門のサービスです。


大手の引越し業者の料金は高額になりがちです。そのため、軽貨物車で運べる小さな家財や少量の荷物を格安で運ぶ「格安引越し」が、引越し便の主なサービスモデルとなっています。


ターゲットとなるのは、「自分で運ぶのは負担だけれど、引越し業者に頼むほどの量でもない」と悩む顧客です。軽貨物車のため、運べる量が少ないというデメリットを感じさせないように、引越し便はリーズナブルな価格と高品質なサービスでお客様の満足度を高めます。

定期便、ルート便

定期便やルート便は、決まったルートで定期的に配送を行う業務です。例えば、「毎日午前はAコース、午後はBコースの配送」といった形で、配送ルートと頻度が固定されます。このような仕組みには、以下のメリットがあります。


  • 定期便を軸にスポット便を組み込むなど、運行計画を立てやすい
  • 確実に仕事が入り安定収入が見込める
  • 作業が同じなので一度覚えたら後が楽
  • 業務時間が固定されるので労働時間の管理がしやすくなる

定期便やルート便は、特定の業種や業務において非常に重宝されます。例えば、食品配送業者が毎週決まった曜日に新鮮な野菜や果物をレストランに届けることで、レストランは「この業者なら毎回新鮮なものを時間通りに届けてくれる」と信頼し、長期的に契約を続けてくれます。


しかし、一度でも配送が遅れたり品質が低下したりすればその信頼は損なわれ、契約が終了するリスクが生じます。そのため、定期便の契約において、目先の利益に惑わされず安定したサービス提供を優先することが重要です。

スポット便

スポット便は、イベント用機材の運搬など、1回限りのニーズに応じた単発の仕事を指します。この仕事は急に発生する依頼が多く、迅速な対応が求められるため受注する業者が限られています。その結果、他の案件と比べて報酬が高めに設定されることが多く、収益性の観点から非常に魅力的な業務です。


しかし、スポット便は事前にスケジュールを組むのが難しく、他の仕事との調整が困難になることがあります。高額な報酬に惹かれて無理に受注すると既存の業務に影響が出てしまい、結果として利益が上がらないばかりか、信用を損なうリスクもあります。そのため、スポット案件の受注には慎重な判断が求められます。

チャーター便

チャーター便は、車両とドライバーをセットで貸し切るサービスです。通常の配送サービスでは、ドライバーは積込み、運搬、荷卸しのみを担当しますが、チャーター便ではこれに加えて荷物の設置などの運搬以外の作業も依頼することが可能です。


この契約形態は、事業者にとっては通常の業務に比べて高額な報酬を得られる一方、依頼者にとっては業務ごとに必要な人手を確保できるというメリットがあり、非常に人気があります。


例えば、新居の掃除や家具の設置など、運搬以外の作業を請け負う引越し便もチャーター便の一種とみなすことができます。

軽貨物運送事業に登録(黒ナンバーを取得)するための要件 コラム3画像

軽貨物運送事業に登録(黒ナンバーを取得)するための要件

軽貨物運送事業に登録し、黒ナンバーを取得するためには以下の全ての要件を満たす必要があります。


要件の種類 要件の内容
自動車の数に関する要件 ・最低1台、車両を用意すること
・営業所に配置する事業用自動車の種別、種別ごとの数を届出書類に記載すること
事業用自動車に関する要件 ・乗車定員、最大積載量、車両の構造等が事業に使う車両として不適切でないこと
・バスやタクシーと見間違える可能性がある屋上灯等の付属装置を付けないこと
・タクシーの運賃メーター機器と類似する機器類を装着しないこと
車庫に関する要件 ・営業所への併設を基本とする。併設できない場合、営業所から2km以内の範囲に用意すること
・使用車両を全て収容できること
・事業者が車庫の使用権限を持っていること
・都市計画法などの法令に抵触しないこと
休憩睡眠施設に関する要件 乗務員が有効に利用できる適切な施設であること
運行管理体制に関する要件 ・常勤運行管理者を選任すること
(個人事業主の場合、事業主が兼務可能、資格不要)
・使用車両数以上の運転者を用意すること
損害賠償能力に関する要件 業務上、想定される損害賠償の支払い能力を有すること
(自賠責、任意保険への加入など)
運賃料金に関する要件 運賃料金設定(変更)届出書を提出すること
運賃約款に関する要件 約款の添付が必要だが、国土交通大臣が定め公示した標準約款を使用する場合は、届出書にその旨を記載することで約款の添付は不要とすることができる

軽貨物運送事業に登録する際には、 陸運支局と軽自動車検査協会でそれぞれ別々の手続きが必要です。要件を満たしていないと登録に時間がかかる可能性があるため、事前に要件を確認しておきましょう。

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)も必ず点呼を実施しなければならない コラム4画像

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)も必ず点呼を実施しなければならない

軽貨物運送事業者は、点呼の実施が義務付けられています。個人事業主であっても点呼は必要です。個人事業主は、事業者であると同時に従業員でもあるため、自分自身に対して点呼を行うと考えるとわかりやすいでしょう。


点呼と聞くと、通常は管理者と運転者が対面で行う場面を想像しがちですが、1人で事業を営む場合は、点呼に必要な作業や記録簿の作成・保存を自分で行えばよいとされています。


同居する家族がいる場合は体調確認や記録簿の内容確認を家族に手伝ってもらうことで、より客観的な視点が加わり、点呼の信頼性が向上するでしょう。

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)が実施する点呼内容 コラム5画像

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)が実施する点呼内容

軽貨物運送事業者が行う点呼の内容は、一般貨物運送事業者と同じです。乗務前と乗務後の1日2回点呼を行いますが、それぞれで確認すべき内容が異なる点に注意しましょう。


また、点呼の内容は記録簿に記録し、1年間の保管が義務付けられています。記録簿に決まった書き方はありませんので、使いやすそうなテンプレートをダウンロードして使うとよいでしょう。

乗務前点呼における確認事項

乗務前の点呼では、以下の3つの項目を確認する必要があります。


【1.運転者の酒気帯びの有無】

アルコールチェッカーを使用して、運転者が酒気を帯びていないことを確認します。


【2.運転者が安全に運転できるかどうか】

疾病や疲労、睡眠不足など、運転者が安全に運転できない可能性がないか確認します。判断には以下の方法を用います。

  • 運転者の顔色や声の調子などの観察
  • 体温や血圧などの客観的な数値の確認
  • 運転者本人への聞き取り

【3.車両の日常点検】

チェックシートを使用して、車両の必要な箇所をもれなく点検し、記入します。


点検項目の例は、以下のとおりです。

  • ブレーキの動作確認
  • タイヤの空気圧と損傷の有無
  • エンジンオイルや冷却水のレベル確認
  • ライトやウィンカーなどの灯火装置の点灯確認
  • バッテリーの状態チェック

乗務後点呼における確認事項

乗務後の点呼で確認する項目は、以下の2点です。


【1.運転者の酒気帯びの有無】

乗務前点呼と同様に、アルコールチェッカーを使用して確認します。


【2.業務に関係する自動車、道路、運行状況について気になった点の有無】

運行中に気になった点があれば記録し、翌日以降の点呼や点検に役立てます。

記載例

  • 運行中にランプ類(ブレーキランプ、ウインカーなど)が切れた。
  • 運行ルートで長期間の工事が始まり、期間中は渋滞が予想される。
  • 台風の接近に伴い、高速道路で計画的通行止めの可能性が告知された。

このような情報を記録し、次回の点呼や点検に反映させることで安全な運行を確保します。

点呼の方法については以下の記事でもくわしく解説していますので、参考にしてみてください。

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)の点呼は「IT点呼キーパー」がおすすめ コラム6画像

軽貨物運送事業者(黒ナンバー)の点呼は「IT点呼キーパー」がおすすめ

複数の個人事業主と業務委託契約を結んで軽貨物運送業務を行う企業には、点呼システムの導入を強くおすすめします。


雇用契約ではないため企業に法的な導入義務はありませんが、万が一、契約ドライバーが飲酒運転で事故を起こし、点呼が実施されていなかった場合、安全管理が不十分とみなされ企業の信頼が損なわれる可能性があります。


「業務委託契約だから運転者個人の責任」と法律的には問題がなくても、社会的な信頼を得るためには企業が積極的に安全管理に取り組む姿勢が求められます。


さらに、運転者が本来行うべき点呼業務を企業がサポートすることで、ドライバーとの信頼関係が強まり企業への貢献度も高まるでしょう。


例えば、IT点呼キーパーは、クラウド上で点呼結果を一元管理できるシステムです。導入することで、点呼業務の効率化や人的負担の軽減が可能となり、運行管理の質を向上させることができます。


また、点呼簿の自動保存機能により、不正報告を防止し、安心・安全な運行を支援します。さらに、導入費用がリーズナブルで、操作も簡単。国土交通省の認定を受けた機器であり、法令遵守も確実です。


IT点呼キーパーの導入により、貴社の運行管理をさらに強化できるでしょう。

まとめ|軽貨物運送事業者も安全規則に則って点呼を実施しよう コラム7画像

まとめ|軽貨物運送事業者も安全規則に則って点呼を実施しよう

軽貨物運送事業者も、一般貨物運送事業者と同様に点呼の実施が義務付けられています。


事故や故障を起こすと周囲に迷惑をかけるだけでなく、「この事業者に仕事を任せて大丈夫か?」という信頼が大きく揺らぎます。さらに、法律に違反していた場合、仕事を失うリスクもあります。


一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではありません。「ちゃんとやっておけばよかった」と後悔する前に、まずは自分自身の安全を確保し、快適に働くためにも点呼を確実に行いましょう。


【出典】
貨物軽自動車運送事業について|国土交通省 関東運輸局(参照2024-09-06)
貨物軽自動車運送事業者の皆様へ|国土交通省(参照2024-09-06)
貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について|国土交通省(参照2024-09-06)
軽貨物運送業の内容と手続方法|国土交通省 近畿運輸局(参照2024-09-06)
貨物軽自動車運送事業にあたっての注意事項|国土交通省 中国運輸局(参照2024-09-06)
貨物軽自動車運送事業者ハンドブック|国土交通省 関東運輸局(参照2024-09-06)

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