業務後自動点呼を実施するための要件
業務後自動点呼は「業務後自動点呼要領」を満たす機器、業務フローを運用することで、条件付きで点呼を自動化することが可能になる点呼方法です。
まずはじめに、自動で点呼を行うための点呼機器を準備しましょう。運行管理高度化検討会のWebサイトに認定を受けた機器がリストアップされているので、その中からを機器を用意する必要があります。
次に、業務後自動点呼実施要領で定められた要件を満たすよう点呼場所・点呼の運用ルールを整備しましょう。本実施要領に関する要件を以下4つのパートにわけてご紹介します。
- 業務後自動点呼に使用する機器・システムが満たすべき要件
- 業務後自動点呼を実施する場所が満たすべき施設・環境要件
- 業務後自動点呼の運用上の遵守事項
- 業務後自動点呼を実施するための手続き
業務後自動点呼に使用する機器・システムが満たすべき要件
1つ目の要件は、基本要件の4点です。
- アルコール検知器による測定の様子と結果を画像で記録保存できる機能
- ドライバーからの報告事項を電子的な方法で記録できる機能。音声の記録や、録音された音声をテキストに変換して保存する等のシステムを想定
- 管理者側からの伝達事項をドライバーに伝える機能
- 点呼の実施予定や結果を確認できる機能
2つ目の要件は、なりすまし防止にかかる1点です。
- 顔認証、静脈認証などを用いて点呼前とアルコールチェックをする前に確実に本人であると判定する機能
3つ目の要件は、運行管理者の対応が必要となる際の警報・通知にかかる3点です。
- 酒気帯びを検知した段階で運行管理者が気付くように通知をした上で、点呼を完了させないようにすること
- 点呼予定時刻から一定時間経過した場合の通知
- 点呼が正常に行われない限りは点呼完了しないこと
※機器が故障した場合に、その機器が自己診断をできるようになっていることが望ましい
※補助者ではなく運行管理者に通知をすること
業務後自動点呼を実施する場所が満たすべき施設・環境要件
運送事業者としては重要になってくるのが、「なりすまし」を防止するための環境を整える点です。具体的には、天井などに監視カメラを備えて全体を撮影する必要があります。
業務後自動点呼の運用上の遵守事項
事業者、運行管理者等にかかる遵守事項は以下7点です。
- 業務後自動点呼を行うことを規定化し、それを事前に周知
- 機器・システムが正常に動くように点呼前に動作確認・保守点検を実施
- 点呼機器の持ち出しができないような措置を設計
- 機器の使用方法・緊急時に運行管理者に伝える方法を予めルール化して周知
- 点呼未実施の防止
- 点呼機器の使用方法などについての教育指導を実施
- 携行品の返却を受ける体制を、機器に頼らず独自に整備
非常時の対応にかかる遵守事項は以下4点です。
- 酒気帯びが検知された場合には運行管理者が適切な措置を講じる体制を整備
- 非常時の対応の点呼予定時刻経過時の措置体制
- 故障時の点呼実施体制について規定を整備
- 緊急を要する報告はドライバーから別途に報告する体制づくり
最後に、個人情報管理にかかる遵守事項1点です。
- なりすまし防止のために取得する顔認証・静脈認証などのドライバーの生体情報の利用目的を明示した上で、ドライバー1人ずつから同意を得る
業務後自動点呼を実施するための手続き
業務後自動点呼を実施するためには、運輸支局長宛に事前の届出を10日前にしないといけません。「業務後自動点呼の実施にかかる届出書 様式8」で一度届け出た内容を変更する場合は、変更の前に届出を再度その変更の内容を届け出ること。そして業務後自動点呼を終了する場合は、終了した後に遅滞なく届け出をします。
業務後自動点呼の実施にかかる届出書(様式8)
【出典】:業務後自動点呼が実施できるようになります!|国土交通省(参照2023-04-03)
この様式8に加えて添付すべき「業務後自動点呼の実施に係る宣誓書」を使えば、記入漏れがありません。
業務後自動点呼の実施に係る宣誓書
【出典】:業務後自動点呼が実施できるようになります!|国土交通省(参照2023-04-03)