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遠隔点呼とは?遠隔点呼の申請ルールが令和5年4月から変更|IT点呼キーパー

遠隔点呼とは?遠隔点呼の申請ルールが令和5年4月から変更

法改正・規制
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  • 2022年(令和4年)4月より開始した「遠隔点呼」ですが、2023年(令和5年)3月31日以降ちょっとした変化があったことをご存じでしょうか。


    これに伴い、遠隔点呼の要件や申請方法が変更されました。そこで本記事では遠隔点呼の定義をおさらいし、2023年4月1日以降の申請方法について解説します。自動車運送事業者(バス、トラック、ハイヤー・タクシー事業者)の方はぜひ参考にしてください。

遠隔点呼とは? コラム1画像

新・点呼告示が令和5年4月より施行

2023年4月1日に、2022年から実施されてきた遠隔点呼の要件を明記した要領が廃止され「点呼告示」へと統合されました。そして「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(以下、点呼の解釈文書)においては、IT点呼や遠隔地IT点呼に加え、遠隔点呼や業務後自動点呼が加わりました。

遠隔点呼という制度が生まれた背景

近年では、運行管理に活用可能な情報通信技術(ICT)の発展が目覚ましく、事業用自動車総合安全プラン2025において、「高度な点呼機器の活用によるIT点呼の対象拡大を検討」するとされました。


これらを踏まえ、国土交通省において令和3年3月に産学官の有識者で構成された「運行管理高度化検討会」(以下、検討会)を設置し、ICTを活用した運行管理の高度化に向けた検討が進められてきました。

2023年新・点呼告示へ

2022年遠隔点呼実施要領には遠隔点呼の要件が明記され、運輸支局長等への申請・届出提出期限は令和4年5月31日、8月31日、11月30日と案内されていました。ところが、この2022年遠隔点呼実施要領は令和5年3月31日に廃止されたのです。


この背景には、2022年末に通称ロボット点呼と呼ばれる「乗務後自動点呼(以下、業務後自動点呼)」のルールが規定されたことが挙げられます。


これを受け、遠隔点呼と業務後自動点呼の用語を新たに定めた「点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号、4月1日施行)」(以下、2023年新・点呼告示)へと旧要領は引き継がれたのです。


なおトラック事業者は、輸送の安全を確保するために国土交通省令で定める事項を遵守する必要があります。(貨物自動車運送事業法第17条第4項)

遠隔点呼という制度がうまれた背景 コラム2画像

遠隔点呼の定義とは?

2022年遠隔点呼実施要領が廃止され、2023年新・点呼告示が令和5年4月1日より施行されたことから、遠隔点呼等の用語が整理されました。これによって遠隔点呼の定義も微妙に変更されましたので、おさらいしておきましょう。


遠隔点呼とは、生体認証機能(顔認証、静脈認証、虹彩認証など)による本人確認や高度な点呼機器・システムを用いて2地点間で行う点呼のことです。点呼執行者である運行管理者あるいは補助者との対面による点呼と同等の扱いとなります。

8つの遠隔点呼実施地点パターン

遠隔点呼は、以下の営業所間で実施可能です。


  1. 自社営業所と当該営業所内の車庫との間
  2. 自社営業所の車庫と当該営業所内の他の車庫との間
  3. 自社営業所と他の自社営業所との間
  4. 自社営業所と他の自社営業所内の車庫との間
  5. 自社営業所の車庫と他の自社営業所内の車庫との間
  6. 自社営業所と完全子会社等の営業所との間
  7. 自社営業所と完全子会社等の営業所内の車庫との間
  8. 自社営業所内の車庫と完全子会社等の営業所内の車庫との間

ここで言う完全子会社等とは、100%株式保有による支配関係にある親会社と子会社、または100%子会社同士のことです。2022年遠隔点呼実施要領では、グループ企業と定義されていました。

2024/04/18追記

2023年11月より、事業者間遠隔点呼(共同遠隔点呼)がスタートしました。

「自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた事業者間の遠隔点呼の先行実施要領」に基づき、「100%の資本関係にない事業者間」もしくは「資本関係のない事業者間」においても、貨物自動車運送事業法第29条に基づく管理の受委託など必要な手続き等を行ったうえで、国土交通省の採択を受け、産官学の有識者からなる運行管理高度化ワーキンググループの監督の下で行う場合にはその実施期間を最大1年として、先行実施事業として遠隔点呼ができることとする旨の通知が国土交通省より発出されました。

【出典】:事業者間の遠隔点呼の先行実施要領について|公益社団法人全日本トラック協会(参照2024-04-12)

Gマーク認定は不要

遠隔点呼とIT点呼は混同しやすいですが、明確な違いがあります。3つの要件さえ満たせばGマーク認定という実績のいない事業所(営業所)であっても、遠隔点呼は実施可能だという点です。


以前は、Gマーク認定を保有しているなど法令遵守の意識高い優良な営業所のみ、IT点呼(IT機器を活用した遠隔地との疑似対面点呼)が認められてきました。


しかし2022年4月1日より規制緩和が行われ、後述する要件を満たせば導入できる「遠隔点呼」制度が新たにスタートしたのです。


遠隔点呼のスタートによって、運行管理者の業務効率化や現場の負担軽減などさまざまなメリットが期待されています。


ICTを活用した遠隔点呼制度の導入によって、運輸行政側もデジタル化へ向けて本格的に舵を切ろうとしているのかもしれません。

遠隔点呼の届出方法が令和5年4月から変更! コラム3画像

遠隔点呼の届出方法が令和5年4月から変更!

2022年遠隔点呼実施要領では、3段階に分けて遠隔点呼にかかる届出の提出期限が定められていました。


検討会開催サイクルに合わせて承認(審査)を受ける必要があり、運輸支局等による現地確認等が実施されていたのです。

左右にスライドすると画像を見ることができます。

【出典】:「遠隔点呼、業務後自動点呼の実施に関する情報」|国土交通省(参照2023-06-01)


これらは、対面での点呼と同等の確実性を担保する3つのポイントとして、国土交通省発行の「遠隔点呼リーフレット」でも紹介されています。


しかし点呼の解釈文書が令和5年3月31日に改正され、遠隔点呼を実施する場合等の申請手続きは次のとおり変更されています。


以上を踏まえて、遠隔点呼実施要領の3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。


これから遠隔点呼を始める場合には、届出書のほか2023年新・点呼告示に規定されている要件を遵守する宣誓書と、性能や機能を確認できる機器のパンフレット等を提出すれば良いことになりました。つまり承認(審査)は不要になったということです。(令和4年度 第3回検討会)

※輸送の安全に関する取組が優良であると認められる営業所において認められている現行のIT点呼及び旅客IT点呼については従前のとおり取り扱われます。

遠隔点呼開始に必要な3つの要件|2023年新・点呼告示 コラム3画像

遠隔点呼開始に必要な3つの要件|2023年新・点呼告示

「2023年新・点呼告示」は、以下3つの要件から構成されています。


  1. 遠隔点呼機器の機能の要件
  2. 遠隔点呼機器を設置する施設及び環境の要件
  3. 遠隔点呼機器の運用上の遵守事項

遠隔点呼の運用環境を整えるには、遠隔点呼機器の機能の要件で規定された機能を持つ点呼システムを導入し、遠隔点呼を実施する側・実施される側の各拠点別に決められている「施設及び環境の要件」を満たす必要があります。


また「運用上の遵守事項」を遵守していくことを宣誓した上で、管轄所管の各運輸支局等へ開始時期の10日前までに申請書を提出し承認を受ける流れです。

なお乗務不可と判断された時に交替などの代替措置や、機器の故障時などで遠隔点呼が実施できない場合の体制をあらかじめ整えてく必要があります。


以上を踏まえて、「2023年新・点呼告示」の3つの要件について詳しく見ていきましょう。

遠隔点呼に使用する機器が満たすべき機能の要件

もともと12項目あった機能要件は、点呼執行者と運転者の生体認証にかかる項目3と項目4が統合されて次の11項目となりました。


①映像と音声で明瞭に次の状況が確認できること

  • 運転者の顔、表情、全身
  • 酒気帯びの有無
  • 疲労、疾病、睡眠不足等で安全運転ができない恐れの有無

②アルコール検知器による測定結果の自動記録保存と確認

③点呼執行者および運転者の生体認証

④遠隔点呼実施地点間において次の事項を共有する機能

  • 日常の健康状態
  • 労働時間
  • 指導監督の記録
  • 運行に要する携行品
  • 乗務員等台帳
  • 過去の点呼記録
  • 車両の整備状況

⑤疲労、疾病、睡眠不足等で安全運転ができない恐れの有無を、運転者の平常時と比較して確認できる機能

⑥車両の日常点検記録管理

⑦運行管理者の指示伝達すべき事項を確認できる機能

⑧点呼結果記録の共有と1年間の保存機能

⑨機器の故障履歴記録と1年間の保存機能

⑩記録の改ざんを防止する機能

⑪点呼結果と故障記録をCSV形式で出力する機能

遠隔点呼機器を設置する施設及び環境の要件

ここでは遠隔点呼を実施する「施設・環境の要件」についてご紹介します。


①映像と音声で明瞭に次の状況が確認できる明るさ・環境照度の確保

  • 運転者の顔、表情、全身
  • 酒気帯びの有無
  • 疲労、疾病、睡眠不足等で安全運転ができない恐れの有無

※遠隔点呼を受ける運転者がいる営業所等の部屋の明るさの規定です。従前は照度500ルクス程度(化粧や就寝前の読書に必要な明るさ)が推奨値とされていました。


②運転者側での監視カメラの設置

被遠隔点呼実施営業所等の運転者の全身及びアルコール検知器の使用時の状況が確認できるよう、被遠隔点呼実施営業所等の点呼場所の天井等に監視カメラ等を備え、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が必要に応じ映像を確認できること。


運転者の全身やアルコール検知器の使用状況を遠隔地からリモートでチェックするために、監視カメラの設置も求められているのがポイントです。


③通信環境・通話環境の確保

遠隔点呼が途絶しないように必要な通信環境を備えていること。また、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等と被遠隔点呼実施営業所等の運転者の対話が妨げられることのないよう、必要な通話環境が確保されていること。


遠隔点呼を実施中に通信トラブルが発生しないよう、インフラ環境が整備されているか事前に確認しておきましょう。

遠隔点呼の運用上の遵守事項

機器・システム・施設・環境などのインフラ環境を整備した上で、正しい運用が行われるように運用上の遵守事項が定められています。


①運行管理者等の遵守事項

遵守する内容
事前の情報把握 地理情報や道路交通情報等、業務を遂行するために必要な情報を把握しておく
運行中の車両位置の把握 点呼漏れや車両の持ち帰り防止のため、GPS等による車両位置管理システムを導入・活用するなどして、車両位置の把握に努める
面識のない運転者に対し
遠隔点呼を行う場合
遠隔点呼を受ける運転者の顔の表情、健康状態および適性診断結果その他の遠隔点呼の実施に必要な事項について、事前に運転者と対面あるいはオンラインで面談する機会を設けて確認しておくこと
運転者の携行品のチェック 遠隔点呼時に、運転者の携行品の保持状況または返却状況を、携行品の有無を検出する機器・システムを活用して確認、あるい監視カメラ等で携行品置き場の状況を確認する

②非常時の対応

遵守する内容
運転者の乗務不可判断
  • 運行管理者等は、遠隔点呼により運転者が乗務できないと判断した場合、直ちに運転者が所属する営業所の運行管理者等に連絡する
  • 運転者が所属する営業所では交代運転者を手配する等の代替措置を講じられる体制を整備する
機器故障等によって
遠隔点呼の実施が
困難になった場合
運転管理者による対面点呼、あるいは営業所等で実施が認められている点呼を実施可能な体制を整備する

③情報共有

遵守する内容
完全子会社等との間で
遠隔点呼を実施する場合
必要に応じ、遠隔点呼に必要な情報の取り扱い等にかかる契約を締結する
個人情報の扱いについて 運行管理者等/運転者の認証に必要な生体情報等、遠隔点呼の実施にあたり個人情報を扱う場合には、事業者と対象者間で同意を得ること
事業者の遵守事項 遠隔点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規定に明記するとともに、運行管理者や運転者等の関係者に周知

まとめ

いかがでしたでしょうか?

これまでIT機器を利用した遠隔地との点呼(IT点呼など)は輸送の安全に関する取り組みが優良であると認められる営業所のみにおいて実施が認められていました。


しかし今ではGマーク認定が無い事業所においても「2023年新・点呼告示」の要件を満たして届出をすれば、遠隔点呼の導入が可能になりました。


これまでIT点呼を見送られてきた事業者様も、この機会に遠隔点呼の導入についてご検討されてはいかがでしょうか。


【出典】
国土交通省|道路運送法施行規則等の一部を改正する省令等が公布されました(参照2023-06-01)
国土交通省|運行管理高度化検討会(参照2023-06-01)
国土交通省|遠隔点呼(令和5年1月~3月開始事業者)の実施に係る承認及び今後の取扱いについて(参照2023-06-01)
国土交通省|遠隔点呼実施要領について(参照2023-06-01)
国土交通省|遠隔点呼が実施できるようになります!(参照2023-06-01)
国土交通省|「遠隔点呼実施要領について」の廃止について(参照2023-06-01)
国土交通省|国土交通省告示第二百六十六号(参照2023-06-01)
国土交通省|点呼は安全運行の要(参照2023-06-01)

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