点呼記録簿とは?点呼を実施するタイミングや記載事項について解説|IT点呼キーパー

点呼記録簿とは?点呼を実施するタイミングや記載事項について解説

法改正・規制
  • 点呼記録簿とは?点呼を実施するタイミングや記載事項について解説 TOP画像
  • 自社のドライバーだけでなく、他のドライバーや歩行者などの安全確保のために法律で義務付けられている点呼。平成23年5月1日より、運送事業者がドライバーに対して実施することとされている点呼において、ドライバーの酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用することとなりました。そういった経緯もあり、点呼内容の記録や保管は複雑で、運用に不安を抱えている管理者の方も多いのではないでしょうか。


    そこで本記事では、事業用自動車(緑ナンバー)運送業者向けに点呼記録簿に関するさまざまな情報をご紹介します。点呼に関する不安がなくなり、管理が楽になるツールもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

点呼記録簿とは? コラム1画像

点呼記録簿とは?

点呼記録簿とは、点呼の状況や結果を記録する帳面のことです。

点呼では、乗務員の健康状態、酒気帯びの有無、業務に関する伝達・指導などを点検項目に沿って、決まったタイミングに原則として対面で行います。

点呼を実施するのは運行管理者または運行管理補助者

事業用車両(緑ナンバー車)の点呼は運行管理者または運行管理補助者が行うこととされています。


ただし、運行管理補助者は1か月の稼働日の3分の2までしか点呼を行えません。

1か月のうち、最低3分の1は運行管理者が点呼を行わないといけないので注意しましょう。

点呼を実施する場所

点呼は「対面点呼実施場所」という、事業許可申請や変更認可申請の運行管理体制に記載した場所で行うこととされています。


営業所を「対面点呼実施場所」としているケースが多いですが、営業所とは別の場所、例えば車庫の敷地内にプレハブを置き、そこで点呼を行う場合などは以下の2点に注意してください。

  1. 建物が都市計画法や建築基準法に違反していないか
  2. 運輸局へ点呼場使用の届け出をしているか

条件を満たしていないと行政処分の対象になりますので必ず確認しましょう。

点呼を実施するタイミングは主に3回 コラム2画像

点呼を実施するタイミングは主に3回

点呼の実施タイミングは以下の3つがあります。

  • 業務前
  • 業務後
  • 中間点呼(業務の途中)

それぞれにおいて、点呼の内容が異なりますので1つずつ詳しく見ていきましょう。

業務前点呼

業務前点呼とは、業務前または車両へ乗務する前に行う点呼です。

どのくらい「前」に行うかについてのルールはありませんが、不正防止の観点から業務開始の5~10分前に行うのが一般的です。


業務前点呼はドライバーと運行管理者が対面で行うことを原則とし、出張や宿泊を伴う運行などにより対面で実施できない場合は電話やアプリを使った点呼が認められています。


業務前点呼で運行管理者は以下の3点について、ドライバーに報告を求め確認をしなければなりません。

  • 酒気帯びの有無(アルコール検知器を使用して行うこと)
  • 疲労・疾病、その他の理由で安全に乗務できないおそれの有無
  • 日常点検の結果

さらに、運行管理者は運行の安全確保に必要な指示をドライバーにすることとされています。

業務後点呼

業務後点呼とは、1日の業務終了後、車両を車庫など所定の場所に駐車したあとに行う点呼です。


業務後点呼も不正防止の点から、車両を駐車後速やかに、具体的には10分以内を目安に行うこととされています。

業務後点呼での主な確認事項は以下の通りです。

  • アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無
  • 1日の運行状況
  • 乗務した自動車の状況
  • 事故や異常があった場合、その報告

中間点呼

中間点呼とは、業務前点呼と業務後点呼の両方を対面で行えない場合に、乗務の途中で1回以上行わなくてはならない点呼のことです。


中間点呼は2泊3日以上の運行における「最初の日と最後の日以外の日」に行います。

例えば2泊3日運行の場合、初日は業務前点呼、3日目は業務後点呼を対面で行えますが、2日目は丸1日事業所から離れていて対面での点呼が行えないため、中間点呼をしなければなりません。


この場合、2日目については 乗務前点呼、乗務後点呼を電話やアプリなどを使用して行う必要があります。

また、運行中にも1回以上の点呼(中間点呼)が必要です。


したがって、2泊3日運行の場合の点呼回数は以下のようになります。

  • 1日目:業務前点呼(対面)+業務後点呼(非対面)
  • 2日目:乗務前点呼(非対面)+中間点呼(非対面)+乗務後点呼(非対面)
  • 3日目:業務前点呼(非対面)+業務後点呼(対面)

このように、最低でも計7回の点呼が必要です。


中間点呼は基本的に非対面型の点呼となるため、電話やアプリなどを使用して行います。

点呼内容は業務前点呼・業務後点呼と基本的に同じです。

点呼記録簿への記載事項 コラム3画像

点呼記録簿への記載事項

点呼記録簿への記載事項は、すべての点呼に共通するものと、各点呼特有の内容があります。

表にまとめましたので、共通点・相違点を確認して間違いや抜けがないようにしましょう。

業務前点呼 業務後点呼 中間点呼
  • 日常点検の状況
  • 点呼内容を踏まえての指示事項
  • 道路などの運行状況
  • 使用車両に関する報告(不具合など)
  • 交替する乗務員への連絡事項
  • 点呼内容を踏まえての指示事項(業務前点呼と同様に記載)
共通の記載事項
  • 点呼日時
  • 点呼執行者(運行管理者)の氏名
  • 乗務員の氏名
  • 乗務する車両のナンバーなど
  • 点呼実施方法(アルコール検知器使用の有無、対面でない場合の点呼方法)
  • 酒気帯びの有無
  • 乗務員の疾病、疲労状況、睡眠時間、その他の体調について

上表を参考に、会社の文書管理規程などに記載事項を明記しておくと誰でも簡単に確認でき、運輸支局、労働基準監督署による監査などで慌てずに済みます。

点呼記録簿の保管期限 コラム4画像

点呼記録簿の保管期限

点呼記録簿の保管期間は、貨物自動車運送事業輸送安全規則や旅客自動車運送事業運輸規則で貨物・旅客ともに原則1年間と定められています。


ただし、令和6年4月1日より、一般貸切旅客自動車運送事業者(貸切バス事業者など)は点呼に関する記録・保管方法と保管期間が下記の通り変更になっています。

  1. 点呼時の様子を動画撮影し、90日間保存すること
  2. アルコールチェックの様子を撮影し、90日間保存すること
  3. 令和6年4月1日分からの点呼記録簿は電子ファイルで3年間保管すること
点呼を実施しなかった場合の罰則 コラム5画像

点呼を実施しなかった場合の罰則

貨物自動車運送事業者に対する点呼に関する罰則は、点呼を実施しなかった場合と点呼内容に不備があった場合で罰則内容が異なります。

点呼未実施の場合

点呼未実施に対する罰則は、以下の2点を基準にして決められます。

  • 未実施件数
  • 違反回数

罰則内容は下記の表の通りです。

点呼の未実施件数 違反の回数 罰則内容
19件以下 初回 警告
2回目以降 運行不可10日間
20件以上49件以下 初回 1日車×未実施件数
2回目以降 1日車×未実施件数

点呼内容に不備があった場合

点呼内容に不備があった場合の罰則は、以下の2点を基準にして決められます。

  • 不備がある箇所が一部か全部か
  • 違反の回数

罰則の内容は下記の表の通りです。

不備がある箇所 違反の回数 罰則内容
一部 初回 警告
2回目以降 10日車
全部 初回 10日車
2回目以降 20日車

飲酒運転防止に係る点呼実施義務違反があった場合

飲酒運転防止に係る点呼実施義務違反に対する罰則も定められており、以下のようになっています。

違反の回数 罰則内容
初回 100日車
2回目以降 200日車
点呼記録簿の作成方法 コラム6画像

点呼記録簿の作成方法

点呼記録簿の作成方法に法的なルールはありません。


しかし、貸切バス事業者などには点呼記録簿を電子ファイルで保存することが義務付けられ、今後他の事業所者にも同様の措置が取られる可能性も考慮すると、紙ベースではなくエクセルや点呼システムを使っての作成をおすすめします。

エクセルによる記録簿の作成

エクセルは多くの企業で利用されており、すでに扱い慣れている運行管理者の方がいれば短時間で記録簿を作成できるでしょう。テンプレートも豊富で、全日本トラック協会などのホームページで簡単にダウンロードできます。


中間点呼の要・不要など業務形態に合った様式のものを選んでご活用ください。


また、エクセルを使うメリット・デメリットをまとめましたので、導入前に一度参考にされることをおすすめします。


エクセルによる記録簿作成のメリット

  • すでに導入されているツールを使うのでコストを抑えられる
  • 紙ベースの記録簿より必要なデータを簡単に見つけられるなど作業効率が上がる
  • 記録簿を保管するスペースを気にしなくて済む

エクセルによる記録簿作成のデメリット

  • データが増えると処理に時間がかかる
  • 同時編集ができない
  • 操作ミス等による修正に時間がかかる

点呼システムの利用による自動保存

エクセルは紙ベースの記録簿より管理に優れていますが、操作する人の手間と時間を必要とします。


そこで注目されているのが点呼システムの利用です。

多くのシステムでは、指示通りに点呼を行うだけで点呼記録がクラウド上に自動で作成され、さらに法令で定められた記録簿の保管期間である1年間、データが自動保存されます。


また、事業所や日時を指定することで点呼簿のデータ出力が可能です。


法改正によって点呼内容や保管方法、保管期間が変更になってもメーカーが法改正にあわせてシステムをアップデートしてくれるので、運行管理者が対応する場面は激減し、作業の効率化や勤務時間の短縮が期待できます。

点呼記録をクラウドへ自動保存するなら「IT点呼キーパー」がおすすめ コラム7画像

点呼記録をクラウドへ自動保存するなら「IT点呼キーパー」がおすすめ

点呼記録簿の自動作成、クラウドへの自動保存が可能なシステムでおすすめなのが「IT点呼キーパー」です。

IT点呼キーパーを導入するメリットには以下のようなものがあります。


  • 点呼に関する機能をIT点呼キーパー1つで管理でき、点呼記録簿の保管場所を減らせる
  • 点呼結果を自動で作成・保存するため、点呼の質を統一でき不正も防げる

IT点呼キーパーは21日間無料で使えるデモ体験期間を用意しており、製品の使い勝手を体感したうえで導入できます。

さらに、2024年度国土交通省補助金対象機器の認定を受け、とことん導入コストを抑える体制を用意しております。


IT点呼キーパーは2024年9月までに2,400社以上の企業に導入いただき、利用拠点は7,500拠点を突破。

緑ナンバー向けデジタル点呼機器においてNo.1のシェアを誇ります(※)。

【出典】:株式会社富士キメラ総研「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2024年版」P170 緑ナンバー向け デジタル点呼/アルコールチェック管理システム 2023年度 市場占有率(金額) ベンダーシェアの調査結果


お見積もりは無料。専門スタッフが貴社の点呼に関するお悩みを解消するため、全国どこへでもお伺いいたします。


今より低コストで簡単に管理できる点呼システムをお探しなら、ぜひIT点呼キーパーの導入をご検討ください。

まとめ|ルールに則って正しく点呼記録簿を作成しよう コラム8画像

まとめ|ルールに則って正しく点呼記録簿を作成しよう

本記事では、以下の点についてご紹介しました。

  • 点呼の実施タイミングとそれぞれ行うべき点呼の内容
  • 点呼記録簿への記載事項
  • 点呼記録簿の保管期間
  • 点呼に関する罰則
  • 点呼記録簿の作成方法

点呼記録簿は「法令に従って点呼を行った証明書」です。

自社の従業員だけでなく、車と共存する一般市民の生活を守るために、ルールに則って行った点呼結果と対応策を正しく点呼記録簿に記載し適切に保管しましょう。


ドライバーが多くなるほど点呼記録簿の取扱いに不備が生じやすくなります。

監査や万が一のできごとによって不備を指摘され、処分を受けてから「しっかりやっておけばよかった」と後悔しても遅いです。


  • 点呼の質を確保できる
  • ヒューマンエラーを減らせる
  • 運行管理者の業務効率を上げられる

こうしたメリットをまとめて手にできる点呼システムの導入をこの機会にぜひご検討ください。


【出典】
点呼とは?運送業における種類・実施方法・罰則・点呼記録簿|⾏政書⼠法⼈シフトアップ(参照2024-12-23)
貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成二年運輸省令第二十二号)|e-Gov 法令検索(参照2024-12-23)
旅客自動車運送事業運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)|e-Gov 法令検索(参照2024-12-23)
貸切バスの新制度対応|国土交通省 九州運輸局(参照2024-12-23)
貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表 新旧対照表|神奈川県貨物自動車運送適正化事業実施機関(参照2024-12-23)
運送業のペーパーレス化ガイド!点呼記録簿のペーパーレスやシステム導入のメリット|マネーフォワード クラウド(参照2024-12-23)

< 次のコラム

Gマーク更新(2024年度・令和6年)|Gマーク認定を継続するメリットを解説

前のコラム >

正しい点呼で違反を防ごう~運送業における正しい点呼とは~

人気のコラム 月間ランキング

  • 1

    正しい点呼で違反を防ごう~運送業における正しい点呼とは~
  • 法改正・規制
    正しい点呼で違反を防ごう~運送業における正しい点呼とは~

    自動車運送業における点呼業務は、貨物自動車運送事業輸送安全規則の第7条で実施が義務付けられています。基本は対面で実施しなければなりませんが、近年はICT技術の高度化によって対面点呼や電話点呼に代わる「遠隔点呼」が実施できるようになりました。法令で義務付けられている一方で、守っていない運送事業者が存在するのも事実です。国土交通省近畿運輸局が令和6年度7月26日に公表した、令和5年度「自動車運送事業者に対する監査と処分結果」の内容分析結果によると、運送事業者の最も多い違反は点呼だと判明しています。そこで今回は、あらためて正しい点呼の方法や点呼に関する違反時の罰則をご紹介します。点呼業務を効率化させるための方法もご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

  • 2

    運行管理者とは?選任方法や届出のポイントを解説
  • 法改正・規制
    運行管理者とは?選任方法や届出のポイントを解説

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、令和3年度(2021年)より、運行管理者試験がCBT試験(コンピューターを使用した試験方式)に全面移行することが決定しました。本記事では、新しく変わった運行管理者試験の紹介から、運行管理者の選任の要点・補助者まで、よくある質問を分かりやすくまとめました。運行管理者の確保と運行管理者の業務負荷軽減は、多くの自動車運送事業者にとって早急に改善を図りたい重要課題の1つでしょう。本記事を、運行管理者の選任の参考にして頂ければ幸いです。

  • 3

    遠隔点呼とは?遠隔点呼の申請ルールが令和5年4月から変更
  • 法改正・規制
    遠隔点呼とは?遠隔点呼の申請ルールが令和5年4月から変更

    2022年(令和4年)4月より開始した「遠隔点呼」ですが、2023年(令和5年)3月31日以降ちょっとした変化があったことをご存じでしょうか。これに伴い、遠隔点呼の要件や申請方法が変更されました。そこで本記事では遠隔点呼の定義をおさらいし、2023年4月1日以降の申請方法について解説しますのでトラック事業者の方は参考にしてください。

  • 4

    遠隔点呼とIT点呼の違いをカンタンまとめ
  • 法改正・規制
    遠隔点呼とIT点呼の違いをカンタンまとめ

    令和4(2022)年4月より、「遠隔点呼実施要領」に基づいた遠隔点呼の申請が開始されています。すでに実施されている「IT点呼」と新たに申請できるようになった「遠隔点呼」には、どのような違いがあるのでしょうか?対面点呼と比べると遠隔点呼とIT点呼は同義に見えることから、どうしても混乱しがちです。本記事では遠隔点呼とIT点呼の違いをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

  • 5

    自動運転レベルとは?各レベルの定義や法的動向について解説
  • 時事ネタ
    自動運転レベルとは?各レベルの定義や法的動向について解説

    運転席に座りながらハンドルには手を触れず、景色を見渡しながら車を走らせるテレビCMを見て、自動運転が当たり前になる日は近いと感じる方も多いのではないでしょうか。今回は運送業界が抱える人手不足を解消すると期待されている自動運転について、運転の主体が人か車かによってランク付けされた自動運転レベルと実用化に向けた法律上の問題点についてご紹介します。この記事を読むと、自動運転が運送業界に及ぼす影響と実用化への課題点が分かります。最後までご覧ください。

最新の製品情報や
ウェビナーなど
イベント情報を配信中

X(旧Twitter)ロゴIT点呼キーパーをフォローする