トラックGメンの活動実績
トラックGメンは2024年7月末時点で創設から1年しか経過していませんが、働きかけを実施した数はすでに635件(2024年6月30日時点)にも上っています。ここでは、勧告・要請・働きかけの事例をご紹介しましょう。
勧告事例
2024年6月30日時点で、違反行為を行った事業者に対して勧告が行われたのは2社(荷主1社・元請け1社)です。
1社目はトラック事業者に運送業務を発注しており、全国の複数拠点で長時間の荷待ちが発生していました。これに対してトラックGメンは是正を要請しましたが、その後も多数の違反報告が寄せられたため、勧告と社名公表を実施しました。
2社目は元請事業者で、トラック事業者と下請取引を行っていました。全国の複数拠点で長時間の荷待ち、契約外の業務、運賃の不当な据え置き、過酷な配送依頼などが確認されました。特に過積載運行を指示していた疑いがあり、是正を要請しましたが改善が見られなかったため、勧告と社名公表が行われました。
いずれの会社も改善計画を提出し、今後はトラックGメンによるヒアリングや現地訪問などのフォローアップが続けられます。
要請事例
要請は2024年6月30日時点で174件(荷主88件、元請け81件、その他(倉庫など)5件)ありました。
例えば、2021年に発荷主の製造業者に対して働きかけを行ったあと、以下の問題が相談者から報告された事例があります。
- 昼過ぎから待機をしているのに、実際に積み込むのは18時頃になることがほとんど
- 積み込み待ちをする時間が長すぎて、昼間に受け付けても19時になってしまう
この申告をもとに国土交通省が調査を行ったところ、情報が確認されたため、要請が行われました。要請では発荷主の製造業者に対して、入構時間の指定や出荷口の増設、搬送先付近の倉庫を中継地点とするなどの改善計画が実施され、1時間以上の待機台数比率を減らすことに成功。
また、元請事業者に無理な配送依頼をされたケースもあります。例えばある事業者では、積み込みの時間が遅くなるため、納品日を遅らせてほしいと相談したものの、元請事業者は聞き入れず、荷渡しが深夜や日付を超えて行われることが少なくありませんでした。この状況が続いても納品時間や必着を変更してもらえず申告をしたそうです。
この申告を受けて、トラックGメンは元請事業者に対して働きかけを行い、改善計画の作成や取り組みを始めました。しかし、その後も同様の違反行為に関する内容が複数寄せられたため、働きかけから2か月後に要請を実施し、改善計画の見直しと対策のスピードアップを図りました。
働きかけ事例
2024年6月30日時点で、トラック業界での働きかけ件数は635件に達しました。その内訳は、荷主からの要請が423件、元請けが193件、その他(倉庫など)が19件です。
その中でも多かった違反事例は、長時間の荷待ちです。例えば、運送事業者が元請けから3時間以上待たされ、18時に到着しても荷卸しが早くて21時頃になることがありました。このようなケースでは、毎回6~8時間程度待たされ、2件目の荷卸しに間に合わないため、休憩が取れない状況が続いていたとのことです。
そこで、トラックGメンが働きかけを行い、専用バースの確保、到着時間の設定、荷受・仕分け要員の配置などの対策を講じました。その結果、平均滞在時間が30分未満まで大幅に改善されました。
また、食品物流会社の発荷主がトラックドライバーに異常気象時にも運行指示を行ったケースもあります。大雪警報が発令されている中で配送依頼が行われたため、働きかけが実施されました。
この申告を受けて、発荷主にヒアリングを行った結果、災害時の対応マニュアルの見直しが図られ、配送先と連携してドライバーの安全を守るための対応が徹底されることになりました。また、荒天が予想される場合には、運行の中止について配送先と協議することが決まっています。