マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要?|ホワイト安全キーパー

マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要?

マネジメント
  • マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要? TOP画像
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で、公共交通機関利用による密を避ける目的でマイカー通勤を希望する従業員が増えています。政府も混雑緩和のために時差通勤やテレワークを推進していることから、通勤手段としてマイカー通勤を検討する企業も多いでしょう。


    マイカー通勤の導入にあたっては、万が一の事故やトラブルに対応できるよう事前に対策しておくことが大事です。本記事ではマイカー通勤のメリットやデメリット、導入にあたっての対策ポイントを具体的に解説します。これからマイカー通勤を開始されるという方はぜひ参考にしてみてください。

マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要? コラム1画像

1.マイカー通勤のメリデメとは

通勤ラッシュを回避する方法として、マイカー出勤と同じように時差出勤や自転車通勤者も増えています。ここでは、特にマイカー通勤のメリットとデメリットを労務・人事管理の観点から見ていきましょう。

(1)マイカー通勤のメリット

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ手段として、政府は密閉・密集・密閉の3つの密を避けるよう推奨しています。そこで自家用車を利用した通勤手段を企業側が導入することで、通勤中の「ゼロ密」を実現できることから、従業員に安心感を与えられる点が最大のメリットです。


密を避けるという点では、マイカー通勤以外にもレンタカーやカーシェアを利用した自動車通勤も考えられます。


また公共交通機関を利用して通勤しづらい拠点で事業を行っている会社では、利便性の高いマイカー通勤を認めれば従業員を集めやすくなる点もメリットです。

(2)マイカー通勤のデメリット

マイカー通勤を導入するデメリットは、従業員が負担した駐車場代、ガソリン代などの費用を通勤手当として支給するかどうかなどの検討や精算に手間がかかる点です。


また従業員のマイカー通勤時や上司に黙って業務に使用した際に交通事故を起こした場合には、会社の「使用者責任」あるいは「運行供用者責任」が問われる可能性があります。


会社の損害賠償責任が問われる可能性があることが、マイカー通勤を導入する最大のデメリットでありリスクだと言えるでしょう。一方、運転していた社員には、経路等を含めてマイカー通勤が「合理的」だと労働基準監督署に認められると通勤災害となり、労災保険が適用されて保険給付がなされます。


最終的に会社に損害賠償責任が及ばなくても、次のようなデメリットも考えられるので留意が必要です。

  • 通勤災害での傷病による療養のために社員が働けなくなる労働力の喪失
  • 交通事故が企業の社会的信用にダメージを与える風評リスク
マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要? コラム2画像

2.交通事故発生時に企業が抱えるリスク

マイカー通勤を許可すると、交通事故が発生することも十分にありえます。ここでは、企業が抱えるリスクについて詳しく見ていきましょう。


運転していた従業員が交通事故を起こすと、企業は「使用者責任」あるいは「運行供用者責任」を問われる可能性があります。使用者責任は民法第715条、運行供用者責任は自賠責法第3条で規定されています。なお物損事故は、運行供用者責任の対象外です。


使用者責任とは、業務執行中に従業員が他人に損害を与えた場合に、使用者である企業もその損害を賠償する責任を負うというものです。使用者責任を問うためには、被害者は使用関係や事業の執行について立証する必要があります。


通勤の途中におきた交通事故は、業務遂行中とは言えないとお考えの法人様も多いでしょう。しかし公共交通機関を利用して通勤することも可能であったのに、会社が通勤交通費を支給し自家用車による通勤を積極的に容認していたとし、使用者責任を問う裁判例もあるので注意が必要です(福岡地裁飯塚支部平成10年8月5日判決)。


マイカーの使用を通勤だけに限定せずに、上司が業務での使用を黙認していたケースでも使用者責任が問われることを把握しておきましょう。


一方、運行供用者責任は、運行供用者は人身の損害について賠償責任を負うとしていることから「運行供用者」について把握しておく必要があります。過去の裁判例から、運行供用者とは「自動車の運行支配と運行利益の帰属する者」です。


被害者は会社が運行供用者であると主張するだけで良いので、会社は責任問題から逃れにくい点に留意してください。

マイカー通勤のリスクとは?通勤時のアルコールチェックは必要? コラム3画像

3.マイカー通勤を認めるにあたり必要なポイント

ここでは、マイカー通勤を導入するにあたりリスクから中小企業を守るための注意点など、検討すべきポイントをご紹介します。

(1)マイカー通勤規程の制定

まずはじめに、マイカー通勤に関連する運用ルールとして、自動車通勤管理規程を策定するのがおすすめです。賠償責任などのリスクを回避するために就業規則などでマイカー通勤を禁止することも可能ですが、導入するのであれば許可制にすると良いでしょう。


マイカー通勤は、公共交通機関を使って通勤できない理由のある従業員のみに認める許可制とするのがポイントです。密を回避する方法として導入するのであれば、許可する際の要件や期間を定め許可証を発行するなどして管理を徹底させましょう。


他にもルール策定の際に検討したいポイントは次のとおりです。

  • 業務使用を禁止し、誓約書を提出させる
  • マイカー通勤中の事故は原則、運転者本人が責任を負うと労働者の責任の範囲を明確にする
  • 労使どちらが駐車場代やガソリン代の費用を負担するのか、またその金額について明記する

なお自動車通勤者の通勤交通費は、一般的に次のような数式で算出されます。

1kmあたりのガソリン単価 × 片道の通勤距離 × 2往復


ガソリン単価は、燃費とガソリン代から判断すると良いでしょう。国税庁のタックスアンサーNo.2585で、片道の通勤距離により非課税限度額が示されています。通勤手当を判断する際の基準になるので、確認してみてください。

(2)任意保険への加入

自動車通勤を許可する上で大前提となる運転免許証や任意保険の加入については、定期的に有効性をチェックすることも重要です。

社内ルールで、免許証の原本確認と自動車保険証書等の写しの提出も義務化するようにしましょう。


検討すべき点が多いことから、弁護士にもよく相談した上で自動車通勤管理規程を策定するのがおすすめです。

(3)従業員教育

安全運転のための従業員教育も重要なポイントです。交通ルールの遵守や車両整備の必要性などの注意を喚起するなど、事故防止に向けて会社全体で取り組みましょう。最寄りの警察署の協力を得て、定期的に講習会を実施することも検討してみてください。


①従業員の運転見える化

従業員が交通ルールを守っているかどうか、運転の改善ポイントを見える化すれば運転の改善指導につなげられます。集めたデータをもとに、ドライバーへの教育や人事評価に活かすことで危険運転を防止し、交通事故を未然に防ぐ方法です。法令を遵守しコンプライアンスを強化すれば、企業イメージを向上させることにもつながるでしょう。


②運転前のアルコールチェック

2023年12月1日から、白ナンバー事業者様に対してアルコールチェックの記録保管やアルコールチェッカーを使用した検査が義務化されました。交通事故につながりやすい飲酒運転は重大な過失とみなされ、自動車保険の支払いが制限されます。


弊社のホワイト安全キーパーは、白ナンバー事業者様の「現場の状況に合わせたアルコールチェックを行い、効率よく運行・管理を行いたい」と言うご要望から生まれた飲酒検査クラウド管理システムです。アルコールチェック・運転日報の作成・車両管理が簡単に行えます。IT機器(スマートフォンやパソコンカメラ、アルコール検知器等)を使うことで、営業所や拠点以外でも疑似対面でアルコールチェックを実施することができます。


また、スマートフォンを利用したアルコールチェック機能により、営業所や事業拠点以外でもアルコールチェックをして酒気帯び有無を確認することが可能です。アルコールチェックの結果は自動でクラウドに保存されるので、不正防止や管理業務の効率化につながります。従業員が希望する直行直帰のニーズに応えられるのもポイントです。


詳しい内容を聞きたい法人様は、ぜひ弊社までお問い合わせくださいませ。


【出典】
災害に備えた鉄道の計画運休時 における時差通勤・テレワーク活用のお願い│国土交通省
コロナ対策に有効か、否かーー社員のマイカー通勤で気をつけるべきこととは|SmartDrive
3つの密を避けるための手引き│首相官邸
No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁
労災保険給付の概要│厚生労働省
マイカー通勤事故と企業リスク【企業リスクの防衛策】│公益社団法人熊本県精神科病院協会
自家用車による退勤途中の交通事故につき使用者責任が認められた事例|弁護士法人 大野慶樹法律事務所
交通事故の民事責任② ~運行供用者責任~│小西法律事務所
【弁護士解説】マイカー通勤を導入する際の企業のリスクとは?│AIG損保
マイカー通勤と会社の労務リスク│事故発生時に会社が責任を負うのはどんなとき?│たくみ法律事務所
事故相手が飲酒運転だった場合の自動車保険の補償│自動車保険の三井ダイレクト損保

< 次のコラム

営業車の事故防止に必要な対策とは

人気のコラム 月間ランキング

  • 1

    飲酒後は何時間待てば運転していい?運転者以外にも罰則はある?
  • マネジメント
    飲酒後は何時間待てば運転していい?運転者以外にも罰則はある?

    仕事後の晩酌は1日の疲れを癒し、明日への活力源になる一方で、深酒がたたり翌日にお酒が残ってしまっては事業者としては困ってしまいます。プライベートでの飲酒は個人の自由。プロとして節制は必要でも強制的に禁止するわけにもいかず、対応に苦慮されている事業者の方もいらっしゃるでしょう。業務に支障をきたさない範囲で飲酒を許可する指導法はないものか?このようにお悩みの事業者や管理者向けに、当記事では以下の点について解説します。

  • 2

    アルコール検知器での検査をごまかすときに用いられる不正行為|不正を未然に防ぐ方法も解説
  • マネジメント
    アルコール検知器での検査をごまかすときに用いられる不正行為|不正を未然に防ぐ方法も解説

    「アルコール検知器での検査はごまかせる」このような話を聞いたことはありませんか。飲酒運転による悲惨な事故は、誰も得をしません。だからこそ、アルコール検知器を使って検査をすることは重要で、不正を防ぐことは大切です。そこで今回は、過去にあった不正事例とそれに対する防止策をご紹介します。さらに、さまざまな不正な手法を防げるツールもご紹介しますので、飲酒運転による事故撲滅を強化したい管理者の方はぜひ最後までご覧ください。

  • 3

    運転日報とは?法律で定められた義務の内容や書き方・保管方法を紹介
  • マネジメント
    運転日報とは?法律で定められた義務の内容や書き方・保管方法を紹介

    運転日報は、企業活動において自動車を使用する際に必須とされる記録です。実際に運送業や、社有車で商品の配達などに活用している企業では、社内で運転日報の作成が義務付けられているでしょう。ところでなぜ運転日報を作成し保管する必要があるのか、その理由をご存じでしょうか?本記事では、運転日報を義務付ける法律・記載事項などの基礎知識・業務フローについてわかりやすく解説します。運転日報の活用方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 4

    白ナンバートラックとは?緑ナンバートラックとの比較解説
  • 白ナンバー
    白ナンバートラックとは?緑ナンバートラックとの比較解説

    街で走っているトラックのナンバープレートを見ると、白いナンバーと緑のナンバーの2種類があると思いますが、皆様はこの違いについてご存知でしょうか?今回は運送業界でよく聞く白ナンバートラックとはどういう仕事・役割なのか、緑ナンバーとの違いとは何かを紹介したいと思います。

  • 5

    安全運転の意識向上に大切なことは?効果的な対策に役立つツールも紹介
  • マネジメント
    安全運転の意識向上に大切なことは?効果的な対策に役立つツールも紹介

    ハンドルを握ったら安全運転に徹するのが運転者の責務です。安全に関して常に高い意識を持って運転しなければいけません。では、安全運転の意識を高めるにはどうすればよいのでしょうか。この記事を読むと、安全運転の意識向上に大切な以下のことがわかります。●なぜ安全運転意識を向上させる必要があるのか●運転者が持つべき安全運転の心構え●安全運転意識を高めるための具体的な取り組み方 会社の看板を背負って走るにふさわしい運転者を育てたい事業者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

最新の製品情報や
ウェビナーなど
イベント情報を配信中

X(旧Twitter)ロゴホワイト安全キーパーをフォローする