社用車点検の目的・重要性とは?
社用車点検の目的は、不具合を早期に発見し、大きな事故を未然に防ぐことです。
路上で故障して立ち往生すると、渋滞や追突事故の原因になります。
人は体調が悪いときに自分で病院に行けますが、車は自分で症状を訴えたり行動したりできません。
したがって、先に車の状態を確認するために点検を行います。
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こうした事態を避けるために、日頃から社用車の点検が重要です。しかし、具体的にどこを、いつ、どのように点検すれば良いのかわからない方も多いでしょう。
そこで今回は、社用車点検の目的、種類、方法について解説します。点検を行うことで、以下のメリットがあります。
本記事を最後まで読んで、社用車の事故防止や自社の評価向上に役立ててみてください。
社用車点検の目的は、不具合を早期に発見し、大きな事故を未然に防ぐことです。
路上で故障して立ち往生すると、渋滞や追突事故の原因になります。
人は体調が悪いときに自分で病院に行けますが、車は自分で症状を訴えたり行動したりできません。
したがって、先に車の状態を確認するために点検を行います。
社用車の点検は、道路運送車両法により義務付けられています。
自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。
使用者とは、車検証に記載されている人物や団体のことです。
社用車の場合、使用者は会社名義となります。
では、会社内では誰が点検義務を負うのでしょうか。
社用車の点検は、その車を使う会社の人が行います。
通常、社用車の運転者が点検を担当することが多いでしょう。
普段から車を使っている運転者は、車の状態をよく知っており、違和感や不具合を早期に発見できる可能性が高いです。
ただし、すべての運転者が自動車の知識を持っているわけではありません。
そのため、場合によっては国の認証を受けた整備工場に点検を依頼するなど、状況に応じた対応が必要です。
社用車の点検を怠った場合の罰則は以下のとおりです。この罰則は社用車だけでなく、すべての自動車に適用されます。
点検の種類 | 怠った場合の罰則内容 |
---|---|
日常点検 | 法律上の罰則なし ただし、点検整備を怠り整備不良の状態で走行すると行政処分・刑事処分の対象になる可能性あり |
定期点検 | 法律上の罰則なし ただし、事業用車は罰金あり |
車検 | 車検切れの自動車を公道で運転した場合(道路運送車両法第58条1項違反)
|
社用車における点検は以下の3種類あります。
それぞれについて詳しくご紹介します。
日常点検は、運転中によく使う部分をチェックするための作業です。
運転者が目視や簡単な作業で確認できる項目が主に含まれています。
日常点検は、大きな故障につながる前兆を見つけるための重要な作業です。簡単にできるからといって、怠ってはいけません。不具合や違和感を感じたら、すぐに整備業者に相談しましょう。
定期点検は、自動車を正常に使用するために使用者が定期的に行う点検です。
これは「法定点検」とも呼ばれます。
定期点検は使用者の義務であり、内容は日常点検よりも専門的で高度な知識と技術が求められるため、多くの場合、国の認証を受けた整備工場に依頼します。
点検の時期や点検項目数は、車種や使用用途によって異なります。
車検は「自動車検査登録制度」の略であり、自動車が安全基準を満たしているかを確認するための検査です。
この検査に合格しなければ、自動車は公道を走行できません。
車検と定期点検は同じ時期に行われることが多いため混同されがちですが、内容は異なります。
目的 | 実施すること | |
---|---|---|
定期点検 | 事故を未然に防ぐ | 事故を招く故障が起きないよう整備 |
車検 | 保安基準に適合しているか確認する | 保安基準に適合するために整備 |
例えば、残り溝が2mmのタイヤを装着した自動車の場合、残溝が1.6mm以上であれば車検に合格しますので、そのまま使用することもあります。しかし、溝が深い方が排水性が良くなり、パンクのリスクも低くなります。そのため、定期点検では安全面も考慮し、多くの場合、タイヤを新品に交換するでしょう。
このように、車検と定期点検は目的が異なるため、必要な対応も異なります。
社用車に対する点検をどのくらいの頻度で行えば良いかは、点検内容と対象自動車の種類で変わります。
日常点検は、社用車が自家用か事業用かで実施すべき頻度が下表のように変わります。
用途 | 点検頻度 |
---|---|
自家用自動車(白ナンバー) | 法的な定めはなし |
事業用自動車(緑ナンバー) | 1日1回、運行前 |
自家用自動車の一例として、マイカーがあります。マイカーを持っている方は、車庫から出発する前に毎回点検を行うことはあまりありません。これは、法的に定められておらず、走行距離や運行時の状態に応じて適切な時期に点検を行えば良いとされているためです。
一方で、社用車の場合は状況が異なります。同じ自家用自動車であっても、会社の看板を背負っているため、走行中のトラブルを避けるために、より慎重な対応が求められます。
そのため、法的な義務はないにしても、社用車については1日の最初に車を動かす前に点検を行うことをおすすめします。
定期点検と整備に関する規定は下表のとおりです。
主な対象自動車(例示) | 定期点検の時期 | 点検項目数 |
---|---|---|
マイカー (自家用乗用車、軽自動車) |
1年ごと | 29項目(注 ※11) |
2年ごと | 60項目(注 ※18) | |
中小型トラック(自家用) レンタカー(乗用車) |
6ヶ月ごと | 24項目(注 ※5) |
12ヶ月ごと | 86項目(注 ※7) | |
バス、トラック、タクシー(事業用) 大型トラック(自家用) レンタカー(乗用車以外) |
3ヶ月ごと | 51項目(注 ※16) |
12ヶ月ごと | 101項目(注 ※16) | |
被牽引自動車 | 3ヶ月ごと | 23項目(注 ※6) |
12ヶ月ごと | 36項目(注 ※6) | |
二輪自動車 | 1年ごと | 35項目(注 ※11) |
2年ごと | 54項目(注 ※11) |
(注 ※)の数値は、走行距離が規定以下(マイカーは年間5千キロ、事業用自動車は3ヶ月間当たり2千キロ等)で、前回の点検を行っている場合に限り、点検を行わないことができる項目数
【出典】:自動車の点検整備|国土交通省(参照2024-08-05)
定期点検には以下のような特徴があります。
定期点検は、ある程度の知識と技術が必要で、一般の人が行うのは難しいため、ディーラーや整備工場に頼むことが多いです。
そのため、運転者の義務を果たしているという意識が薄れがちですが、実際にはプロに代行してもらっているだけで、運転者の義務であることに変わりはありません。
点検頻度と同様に、社用車点検で確認すべき項目も点検によって異なります。
日常点検項目は、特別な知識や技術がなくても点検できる部分や方法が多く含まれています。
そのため、運転者自身がいつもと違う「違和感」に気づきやすいようになっています。
主な点検項目は下表のとおりです。
点検箇所 | 点検内容 |
---|---|
ブレーキ |
|
タイヤ |
|
バッテリー |
|
エンジン周辺 |
|
ライト・ランプ類 |
|
ワイパー |
|
ウォッシャー液 |
|
定期点検は、日常点検に比べて、専門知識や技術が必要となる部分を重点的にチェックします。社用車の場合、点検を自社の整備部門で行う会社もあれば、外部の整備工場に依頼する会社もあります。
主な点検項目としては、日常点検の項目に加えて、さらに以下の部分も点検します。
点検箇所 | 点検内容 |
---|---|
かじ取り装置 | パワーステアリングの動き、損傷の有無など |
制動装置 | ブレーキペダル、駐車ブレーキの利き具合など |
走行装置 | ホイールナット、ボルトの締め付け具合など |
緩衝装置 | サスペンションの動き、損傷の有無など |
電気装置 | 点火プラグの状態など |
原動機 | 低速・加速、排気の状態など |
動力伝達装置 | クラッチペダルの遊び、床板とのすき間など |
マフラー | 取り付けの緩み、損傷、排気音の異常など |
社用車の点検は、点検者全員が同じ項目を同じ方法で行えて、他人の点検結果を見て車両の状態が理解できるような体制をつくる必要があります。
ここでは、点検時に押さえておきたい、体制づくりに必要なポイントを3つ紹介します。
社用車の点検を行う際に最も重要なのは、点検の目的や重要性を全員で共有しておくことです。すべての関係者が同じ認識を持たなければ、実際には点検を行わずにチェックシートに「異常なし」と記入してしまうなど、点検の正確性にばらつきが出てしまいます。
このようなことが起きると、運行中の故障や、それに伴う事故のリスクが高まります。そのため、最終的に損失を被るのは自分たちであることを認識させることが重要です。
社用車の点検を行う際の2つ目のポイントは、チェックシートを使って点検内容を可視化することです。
決まったフォーマットを用意することで、誰でも同じ方法で必要な項目を点検することが可能になります。
この可視化を実現するために、日常点検表のテンプレートを活用してみてください。具体例として、国土交通省の「日常点検表」をご紹介します。Excel形式でダウンロードすることが可能です。
【出典】:日常点検表|国土交通省(参照2024-08-05)
文字ばかりの表記でわかりにくいと感じたら、同じく国土交通省が用意している「日常点検項目シート」もおすすめです。
【出典】:日常点検項目シート|国土交通省(参照2024-08-05)
「日常点検表 テンプレート」と検索すると、さまざまなフォーマットが見つかります。自動車用のテンプレートを使用すれば、ほとんどのニーズに対応できるため、いろいろと確認して使いやすいものを選んでみてください。
社用車点検のポイントとして、点検結果の管理体制を整えることもポイントの一つです。
日常点検で使用したチェックシートは、車両ごとにファイルに綴じて一定期間保存することで、労働基準監督署の監査などにもスムーズに対応できます。
整備を行った場合は点検整備記録簿に記録し、その記録簿は自動車に備え付けて保管しましょう。
点検整備記録簿の保管は義務となっており、保管期間は実施した定期点検整備ごとに異なります。
定期点検の種類 | 記録簿の保管期間 |
---|---|
3ヶ月点検・6ヶ月点検 | 1年間 |
12ヶ月点検 | 2年間 |
ここでは、社用車の点検に関してよくある質問にQ&A方式で回答します。
「義務」に関する質問が多いので、前提である「すべての自動車に対して使用者には点検義務がある」という点を再確認してから先を読み進めると理解が深まるでしょう。
6ヶ月点検の必要性は、対象社用車の種類によって変わります。
主な対象自動車(例示) | 定期点検の時期 | 点検項目数 |
---|---|---|
マイカー (自家用乗用車、軽自動車) |
1年ごと | 29項目(注 ※11) |
2年ごと | 60項目(注 ※18) | |
中小型トラック(自家用) レンタカー(乗用車) |
6ヶ月ごと | 24項目(注 ※5) |
12ヶ月ごと | 86項目(注 ※7) | |
バス、トラック、タクシー(事業用) 大型トラック(自家用) レンタカー(乗用車以外) |
3ヶ月ごと | 51項目(注 ※16) |
12ヶ月ごと | 101項目(注 ※16) | |
被牽引自動車 | 3ヶ月ごと | 23項目(注 ※6) |
12ヶ月ごと | 36項目(注 ※6) | |
二輪自動車 | 1年ごと | 35項目(注 ※11) |
2年ごと | 54項目(注 ※11) |
(注 ※)の数値は、走行距離が規定以下(マイカーは年間5千キロ、事業用自動車は3ヶ月間当たり2千キロ等)で、前回の点検を行っている場合に限り、点検を行わないことができる項目数
【出典】:自動車の点検整備|国土交通省(参照2024-08-05)
社用車が白ナンバーの自家用車である場合、6ヶ月点検は必要ありません。
ただし、「6ヶ月点検が不要」というだけで、社用車には1年ごとや2年ごとに定められた定期点検を実施する義務があることに注意してください。
社用車が事業用(緑ナンバー)であれば、毎日1回の運行前点検が法律で義務付けられています。
自家用車にも点検の義務はありますが、運行前に必ず行う必要はありません。
日常点検については、実施頻度に関する具体的な規定がないためです。
しかし、社用車は「会社の看板」として公道を走行します。企業のイメージを損なう事故や故障を避けるためにも、社内ルールとして「運行前点検の実施」を徹底することは、良い取り組みといえるでしょう。
自家用車の場合、毎回運転前に点検を行う必要はありません。
これは、走行距離や運行状態に応じて適切な時期に点検を実施することが定められているためです。
もし社用車が自家用車として使用されている場合もこのルールが適用されるため、運転前に必ず点検を行う必要はありません。
しかし、事業用自動車に関しては、運行前に1日1回の点検が法律で義務付けられています。
したがって、事業用自動車は毎回運転前に必ず点検を行わなければなりません。
以下のいずれかに該当する事業者は、社用車の運行記録(運転日報)の作成が義務付けられています。
また、点検記録も「社用車の運行記録」に含まれると解釈できるため、該当する事業者は運転日報とあわせて点検記録も保管しておくと、監査などの際に対応しやすくなるでしょう。
事業用自動車(白ナンバー)を使用する事業所のうち、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはそれ以外の自動車を5台以上使用している事業所(安全運転管理者専任事業所)は、点検義務の有無に関わらず運行前点検を実施します。
その際、必ず行わなければならないのがアルコールチェックです。2023年(令和5年)12月1日からは、アルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認することが義務付けられています。
従業員や地域住民の安全を守るため、アルコールチェックは必要な業務ですが、その負担は人手不足に悩む運輸業界や新たに実施が義務付けられた企業にとって大きなものです。
しかし、こうした課題を解決するためのツールとして、「ホワイト安全キーパー」があります。
ホワイト安全キーパーは、白ナンバー事業者様の「現場の状況に合わせたアルコールチェックを行い、効率よく運行・管理を行いたい」と言うご要望から生まれた飲酒検査クラウド管理システムです。アルコールチェック・運転日報の作成・車両管理が簡単に行えます。IT機器(スマートフォンやパソコンカメラ、アルコール検知器等)を使うことで、営業所や拠点以外でも疑似対面でアルコールチェックを実施することができます。
また、スマートフォンを利用したアルコールチェック機能により、直行直帰のニーズにも対応しています。安全運転管理者の管理のもと運転前に義務付けられている飲酒確認など、運行に必要な各種チェックをスマホやパソコンを用いて実施することが可能です。
法律で定められた基準を満たしており、監査にもスムーズに対応できるので、安全運転管理者の負担を大幅に軽減するでしょう。
さらに、無料お試し期間と24時間365日のサポート体制が整っているため、安心して導入することが可能です。
新たにアルコールチェックシステムの導入を検討している企業や、コストや機能面での改善を考えている企業は、ぜひ詳細をご覧ください。
自動車の使用者には点検の義務がありますが、車種によっては具体的な点検サイクルが決まっておらず、罰則もありません。そのため、点検をしなくても問題になることは少ないです。
しかし、社用車が事故や故障を起こし、周囲に迷惑をかけると企業のイメージは大きく損なわれます。信頼は一度失うと回復するのが難しいものです。「ちゃんと点検しておけばよかった」と後悔しないためにも、義務や罰則に関わらず、必ず社用車の点検を行うようにしましょう。
【出典】
社用車の点検義務とは?種類や実施する頻度、ポイントについて解説|JAF(参照2024-08-05)
社用車の日常点検とは?項目や頻度、やり方を解説|Mobili+(参照2024-08-05)
法定点検は車検と同じ?義務や期限、罰則など気になる疑問を解決!|カー用品のジェームス(参照2024-08-05)
点検・整備の推進|国土交通省(参照2024-08-05)
点検整備の種類|国土交通省(参照2024-08-05)
自動車の点検及び整備に関する手引|国土交通省(参照2024-08-05)
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