アルコールチェックを怠った場合の罰則
ここでは、アルコールチェックを怠った結果生じる違反行為に対する罰則についてご紹介します。
飲酒運転を行った人だけが対象になるわけではないので、必ず確認しておきましょう。
安全運転管理者の業務違反に対する罰則
アルコールチェックを怠った結果生じる違反行為の1つ目は、安全運転管理者の業務違反です。
安全運転管理者の業務違反については、現時点で道路交通法など法律にもとづく罰則は定められていません。
しかし、公安委員会より安全運転管理者の解任や命令違反に対する罰則が科せられる可能性はあります。解任されると運行に関する管理業務ができなくなりますので、業務内容を把握し、確実に行いましょう。
従業員が飲酒運転を行った場合の罰則
アルコールチェックを怠った結果生じる違反行為の2つ目は、従業員の飲酒運転です。
行政処分上、飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分類され、さらに酒気帯び運転は呼気中のアルコール濃度によって処分内容が2つに分類されます。
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酒酔い運転 |
酒気帯び運転 |
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呼気中アルコール濃度 0.15mg/l以上0.25mg/l未満 |
呼気中アルコール濃度 0.25mg/l以上 |
基礎点数 (違反点数) |
35点 |
13点 |
25点 |
処分内容 |
免許取り消し 欠格期間3年 |
免許停止 期間90日 |
免許取り消し 欠格期間2年 |
「酒酔い」とは「アルコールの影響で車両等の運転を正常に行えない恐れがある状態」を指します。処分内容は、違反歴やその他の累積点数がない場合のものです
「欠格期間」とは運転免許の取り消し処分を受けた者が、再度運転免許を取得できない期間を表します。たとえば、欠格期間3年の場合、取り消し処分を受けた日から3年間は運転免許の取得ができなくなります。
飲酒運転に対する罰則は、以下の通りです。
車両等を運転した者(運転者)に対する罰則(※道路交通法第107条にて記載)
- 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役、または100万円以下の罰金
- 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
車両等を提供した者(事業所、管理者)に対する罰則(※道路交通法第107条にて記載)
- 運転者が酒酔い運転をした場合、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金
- 運転者が酒気帯び運転をした場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
酒類を提供した者、同乗した者に対する罰則(※道路交通法第107条にて記載)
- 運転者が酒酔い運転をした場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
- 運転者が酒酔い運転をした場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
飲酒運転で人を死傷させた、ひき逃げした等、悪質な行為については、上記の罰則以外に刑法により「危険運転過失致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」が適用され、さらに重い処罰を受けることがあります。
会社の代表者や責任者に対する罰則
会社の従業員が飲酒運転を行った場合、代表者(社長)や責任者(安全運転管理者など)に5年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科される場合があります。(※道路交通法第107条にて記載)
また、飲酒運転となる可能性を認識しておきながら社用車の運転を指示した場合は、管理能力不足とみなされ、刑事事件に発展する可能性もあります。
「法律を守らないだらしない会社」というイメージがつかないように、経営者、管理者は法律に沿った業務遂行に取り組むよう指示しなければなりません。