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自動車運送事業における労働環境の改善について~社員の定着と労働生産性の向上~|IT点呼キーパー

自動車運送事業における労働環境の改善について~社員の定着と労働生産性の向上~

時事ネタ
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  • ここ数年、運送事業における労働力不足や長時間労働、他業種に比べて低賃金傾向にある現状について、各所で指摘されてきていますが、中々改善が進まないのが現状のようです。
    2019年には改正労働基準法が施工され、運送事業の運転者においては5年の猶予が与えられましたが、2024年の適用開始までは残り3年となりました。
    運送業界における労働環境の改善の現状についてまとめてみます。
自動車運送事業における労働環境の現状と課題 コラム1画像

自動車運送事業における労働環境の現状と課題

トラック運転者の年齢構成を見ると、30代後半から50代後半までが主となっていますが、2013年以降50代後半の比率が減少傾向にあり、それを60代の増加により補っているという状態となっています。今後これらの世代の引退により、労働力不足が深刻な問題となるのは避けられない状況にあるといえます。
この問題を解決し、今後も安定して運送事業を継続していく為には、女性や若年層の雇用を増やし、定着を図るのが必須なのですが、思うように雇用が増えていないのが現状です。主要な原因として挙げられるのが、運送事業従事者の労働環境、すなわち他業種と比較して「長時間労働」かつ「低賃金」いう現状にあると考えられます。
2024年から適用される改正労働基準法を遵守していく為にも、上記の問題解決が喫緊の課題となっており、国土交通省やトラック協会などから様々なアクションプランや指針が提示されています。

改善方策について コラム2画像

改善方策について

それでは改善方策について4つご紹介いたします。

①労働生産性の向上

若年層の減少や就業者の高齢化の進展で人手不足に伴う問題が顕在化しており、加えて改正労働基準法の施行による労働時間の短縮にも対応していかなければなりません。その為にも運送業務の生産性の向上が急務となっています。
労働生産性向上策として、主に以下の様な施策が挙げられています。


  • 荷待ち時間・荷役時間の削減
    荷役のパレット化による荷役作業の省力化
    時間管理の徹底など
  • 高速道路の有効活用
    輸送のスピードアップ(高速化)による中・長距離輸送の高速時間の削減
    運行効率アップによる営業収入の増加など
  • 市街地での納品業務の時間短縮
    都市内共配の促進
    共同宅配ボックスの設置など
  • 長距離輸送の改革
    中継輸送の拡大(SA・PA、営業所を利用した中継輸送など)
    ツーマン運行(2人乗り)によるワークシェアリングなど
  • 新しい車両技術の導入
    連結車両の導入など
運送事業者の経営改善 コラム3画像

②運送事業者の経営改善

運送事業は労働集約的な色彩が強く、技能向上による付加価値向上も限られています。その為、労働生産性の向上や労働時間の短縮には事業者の経営体質の強化が欠かせません。
経営改善のポイントとして、主に以下の様な点が挙げられています。


  • 経営基盤の強化
    経営規模の拡大(他社との共同化・協業化、事業協同組合の活用など)
    労働時間削減目標の設定と管理など
  • ITを活用した運行管理の効率化
    デジタコ等を活用した運行管理、労働時間管理
    IT点呼など

特にIT点呼は、2016年の法改正により要件が緩和され、利用の幅が広がっています。事務員の少ない営業所の点呼を他の拠点運行管理者が肩代わりして行うことができるほか、点呼簿等を自動で作成できる機能を持つものもあり、導入の効果が期待できます。

運送事業者の経営改善 コラム3画像

③適正取引の推進

ドライバーの処遇改善や再生産可能な(事業継続可能な)運賃水準を実現していく為にも、輸送業務の適正取引の推進に取り組んでいく必要があります。
主な取り組みとして、以下のことが挙げられています。


  • 書面化・記録化の推進
    契約の書面化
    荷待ち時間の記録(2017年義務化)
    荷役作業等の記録(2019年義務化)など
  • 適正運賃・料金の収受
    標準貨物自動車運送約款(2017年改正)に準拠した料金体系への転換
    再生可能な運賃の設定
  • 多層化の改善
    公正な取引ルールの理解と順守物流
    特殊指定・下請法の理解と遵守
  • コンプライアンス経営の強化
    コンプライアンス経営の推進(自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度の活用)
    行政処分の強化
運送事業者の経営改善 コラム3画像

④人材の確保・育成

人材の確保・育成は事業継続のための柱となるものです。特に慢性的な人手不足を解消するためには、女性や高齢者、若い人に魅力ある職場として支持されることが必要です。その為にもワークライフバランスの実現やキャリアパスを描くことのできる体制や制度の整備が重要となります。
人材の確保や育成策として、以下の様な点が挙げられています。


  • ドライバーの処遇改善
    給与体系の見直し
    長時間労働の改善(長時間労働前提の仕組み・意識の改革)
    週休2日制の導入・完全実施など
  • 職場・会社の魅力度アップ
    標賃金アップ(人材確保の大前提/労働時間短縮をカバーする賃金体系)
    女性、高齢者も働きやすい職場・会社づくり(トイレ・更衣室等の施設や育休等の制度の整備など)
    働き甲斐のある職場・会社づくり(資格制度・研修制度の導入など)
  • 若年労働者確保に向けた取り組み
    新卒者へのアプローチの実施(インターンシップの受け入れなど)

まとめ

今後、自動車運送事業において社員の定着を図っていくには、女性・高齢者・若年層を含む全ての年代の社員から受け入れられる魅力ある職場作りを進めていくことが大事になってきています。
その為には、単に待遇改善策のみを考えるのではなく、待遇改善を実現させるための体質改善(労働生産性の向上)や荷主との関係改善など経営環境の見直しが必須となってきています。
その上で、将来のキャリアパスが描けるような体制や教育制度を整えていき、会社と共に社員も成長していける会社を目指すことが重要なのではないでしょうか。


【出典】
トラック運送業界の現状と課題、取組について|全日本トラック協会
自動車運送事業等における労働力確保対策について|国土交通省

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