運送業界・物流業界が抱えている課題
ここでは、全日本トラック協会による「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2021」を中心に、運送業界・物流業界が抱えているさまざまな課題について見ていきましょう。
(1)ドライバーの不足・高齢化
運送業・物流業の課題として、トラックドライバー不足が挙げられます。厚生労働省や総務省のデータによると、トラック運転手の高齢化も深刻化しており働き手の平均年齢が高くなっています。中高年層のとくに男性ドライバーの割合が高く、若い年代の労働力の不足が慢性化しています。
(2)長時間労働
トラックドライバーの労働時間を全産業平均と比較すると、年間を通じて長時間労働であるにもかかわらず低賃金となっています。長時間労働が当たり前になっている過酷な労働環境を改善することが、人手不足問題を解消するためにも必要でしょう。
(3)EC市場規模の拡大
近年では通販市場のなかでも、インターネットを活用したEC市場が年々拡大しています。とくに2020年以降は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、外出自粛などの行動制限が実施されたことで、消費者のECサイトでの購入機会が増加し、宅配便への需要が急増しました。
さらに不在による荷物の再配達の発生が、トラックドライバーの負担を大きくしています。
(4)積載率の低下
ECサイトでの購入など消費者向けの小口配送が増加したことで「多頻度少量輸送」など、配送サービスが多様化しています。そのため積載率の低下が問題になっており、今後は積載効率を向上させる施策の実施も必要でしょう。