運送業界でよく聞く白ナンバートラックとは?緑ナンバートラックとの比較解説
白ナンバー

- 2021年9月に運送業界で白ナンバーの車両を一定台数以上保有する事業所にも義務化する道路交通法施行規則の改正案が発表されました。
この背景に2021年6月の千葉で起こりました白ナンバートラックの交通事故があり、ドライバーは飲酒運転でした。
トラック運転前後に、アルコール検知器による飲酒検査を行う義務があるのではないかと考える人が大半だと思います。
では、このような悲惨な事故が起こってしまったのでしょうか?
街で走っているトラックのナンバープレートを見ると白ナンバーと緑ナンバーがあると思いますが、皆様はこの違いについてご存知でしょうか?
今回は白ナンバートラックとはどういう仕事・役割なのか、緑ナンバーとの違いとは何かを紹介したいと思います。
白ナンバートラックとは?
白ナンバートラックは自家用の常用・商用車用のナンバーになります。これは自家用の乗用車と使用目的と同じになります。
なので、自社で取り扱っている商品を運ぶことに関しては問題なく使用可能です。
しかし、他社の商品を運送する事や送迎など事業用として運用し、運送料が発生するのは違法行為となります。
営業行為を行うためには一般貨物自動車運送事業の許可、もしくは特定貨物自動車運送事業の許可を得る必要があります。
仮に白ナンバーで料金や利益を得るための営業を行った場合は、貨物自動車運送事業法3条1項35条1項により1年から3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課せられますので利益を得る営業は絶対にしないようにしましょう。
白ナンバーと緑ナンバーの違いは?
白ナンバートラックと緑ナンバートラックの違いを紹介いたします。
(1)運転前後のアルコール検査の違い
白ナンバートラックには緑ナンバートラックで義務化させている運行管理者を選任し、運転前後の検知器による飲酒検査(アルコールチェック)が義務化されておりません。
近年では乗用車なら5台以上、定員11名以上の車両なら1台以上を保有条件の事業所安全運転管理者選任事業所として認定させている企業を対象に白ナンバートラックの飲酒事故を起こさせないために飲酒の確認ではアルコール検知器の使用を義務化する道路交通法施行規則の改正案が発表されております。
また、安全運転管理者の業務として道路交通法施行規則第九条の十が以下のように改正させる予定です。
- 運転前後に、運転者に対して目視およびアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認
- 目視およびアルコール検知器による確認の記録をデジタルデータや日誌等で1年間保存
- 正常に機能するアルコール検知器を常備
安全運転管理者が飲酒確認を行う方法として具体的に明記されていなかったのが、アルコール検知器を用いてと明記されました。この機会に一度、it点呼やアルコール検知器の導入ついて検討してみてはいかがでしょうか。
(2)税金の違い
トラックには自動車税と自動車重量税というものがあります。自動車検査証上の最大積載量によって金額の詳細が異なっております。
自動車税
最大積載量 |
白ナンバートラック |
緑ナンバートラック |
2トン超~3トン以下 |
年間16,000円 |
年間12,000円 |
3トン超~4トン以下 |
年間20,500円 |
年間15,000円 |
3トン超~4トン以下 |
年間25,500円 |
年間18,500円 |
自動車重量税
最大積載量 |
白ナンバートラック |
緑ナンバートラック |
2トン超~2.5トン以下 |
年間13,200円 |
年間10,400円 |
2.5トン超~3トン以下 |
年間19,800円 |
年間15,600円 |
3トン超~4トン以下 |
年間24,600円 |
年間15,600円 |
上記の表を見て頂くと、どちらの税金とも白ナンバートラックの方が高いことが分かります。
ここで見ると緑ナンバートラックは税金も安く抑えられて、良いと感じます。
しかし、緑ナンバートラックを維持するために必ず5台を確保する必要があったり、次に紹介する点検整備のコストが白ナンバートラックよりかかってしまいます。
(3)点検整備のコストの違い
それでは点検整備のコスト面でも見てみましょう。
点検期間
0 |
白ナンバートラック |
緑ナンバートラック |
車両総重量8トン未満 |
6ヵ月 |
3ヵ月 |
車両総重量8トン以上 |
3ヵ月 |
3ヵ月 |
車両総重量により定期的に行う点検整備期間が異なります。
主に緑ナンバートラックは必ず3ヶ月に一回の整備管理が必要になります。
整備を怠ってしまうと道路運送車両法で定められていますので違反行為になりますのでご注意ください。
ちなみにトラックの車検費用は、大体の相場で大型トラックが200,000円~、中型が150,000円~、小型が100,000円~と言われております。
このように運送会社が緑ナンバーを取得・登録することのメリット・デメリットはコスト面での問題が大きいです。
もちろん従業員・ドライバー不足もありますが、運送業はたくさんの課題に直面していることは間違いないでしょう。
白ナンバートラックの今後
先程も少し触れましたが
近年、警察庁では一定台数以上の白ナンバー車を保有する営業所・事業者へ、運転前後の飲酒の確認ではアルコール検知器の使用を義務化する道路交通法施行規則の改正案を発表しました。
10月2日まで、パブリックコメントを募集し、2022年4月の施行が目標になっております。
企業コンプライアンスの強化もあると思いますが、緑ナンバートラックへの管理体制以外でも白ナンバーを保有する運送業は大きく変わっていくことは間違いないでしょう。
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