ドライバーへの体温測定の重要性
近年、ドライバーへの体温測定の重要性は広く認知されつつあります。体温の計測は、生理的機能の変化を把握し、体調不良の早期発見に役立つからです。
血圧計などの機器を活用した血圧測定も導入すれば、体調不良の早期発見を徹底できるのでなお良いでしょう。
2021年、国土交通省が事故削減のために公表した「事業用自動車総合安全プラン2025」において、飲酒運転や健康起因事故等への防止対策は重要なポイントの1つです。
これを受けて、全日本トラック協会でも「トラック事業における総合安全プラン2025」を策定しました。また「トラック運送事業者のための健康起因事故防止マニュアル」の2022年5月改訂版も発行されています。
運輸業界をあげた、安全対策が今や必要とされているのです。
運転者の健康状態の把握は事業主の責務
貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下、輸送安全規則)では、運行管理者は「点呼時に、運転者の疾病などによる安全運転への影響などについて確認すること」と規定されています(同法第3条6項)。
点呼の目的は大別すると、「悪質違反の防止」「健康起因事故の防止」「日常点検や車検証の点検など車両故障事故の防止」「ヒヤリ・ハットの防止」「コミュニケーションの確保」の5つです。
では実際に飲酒運転や健康起因事故等を防ぐ有効性の高い点呼にするために、どのような点に留意すべきでしょうか?
乗務前・乗務後・中間点呼を通じて、運行管理者からの指示だけでなくドライバーからの報告も求められます。
とくに乗務前の点呼では、運転手の健康状態を確認するために、原則として運転者と対面で行うことが大切です。
点呼時に実践すべき主な確認事項は、次のとおりです。
- 熱はないか
- 気分は悪くないか
- 眠気や疲れを感じないか
- おなかをこわす、吐き気、下痢など我慢をしている症状はないか
- 運転に悪影響を及ぼす薬を服用していないか
国土交通省による「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」にも目を通しておくことが重要です。