Gマーク認定の取得条件とは~IT点呼の導入資格を解説~|IT点呼キーパー

Gマーク認定の取得条件とは
~IT点呼の導入資格を解説~

時事ネタ
  • Gマーク認定の取得条件とは~IT点呼の導入資格を解説~
  • お客様からよく「IT点呼は誰でも導入できるの?」という質問をいただきます。


    現在、IT点呼の導入はGマークがなくても所定の条件下であれば使用することができますが、少し前まではGマークの取得が必須でした。


    そこで今回は、そもそもGマークとは何なのか、Gマークを取得するとどんなメリットがあるのか、Gマークを取得するにはどのような認定条件を満たす必要があるのか、そしてIT点呼の導入にGマークはどう関わるのかをまとめました。

Gマーク認定とは

Gマーク認定とは

そもそもGマークとは何か?ということについてご説明いたします。


Gマークとは、交通安全対策などの厳しい安全評価基準をクリアし「安全性優良事業所」と認められたトラック運送事業者が使用できるシンボルマークのことです。Gマークは高い評価を得たトラック事業所にのみ与えられる輸送の"安全・安心・信頼"を確保している証となります。


Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)は、運送事業者全体の安全性の向上に対する意識を高めることにより環境整備を図るため、国土交通省が推進する「安全性優良事業所」の認定制度です。荷主企業や一般消費者が、より安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするとともに、トラック運送業界全体の安全性向上に対する意識を高めるための環境整備を図ることを目的として、平成15年度からスタートしました。Gマークは事業者の安全性が正当に認定されたことを公表する証ですので、利用者がより安全性の高い事業所を選ぶための目安となり、対外的な評価にも繋がります。


後ほど詳しくご紹介しますが、Gマークを取得するとIT点呼の導入をはじめ、違反点数の消去や基準緩和自動車の有効期間の延長等、様々なメリットがあります。Gマークを取得するためには、巡回指導を行っている適正化事業実施機関に書類を提出し、公益社団法人全日本トラック協会の審査を受けて認定を受けなければなりません。


またGマークは事業所単位で認定を出す制度のため、営業所が複数ある場合は、Gマーク認定を受けたい営業所管轄の適正化事業実施機関に申請書類を提出する必要があります。新規認定事業所についての有効期限は2年間となっており、その都度更新が必要です。

Gマーク認定の取得状況(2022年12月現在)

ちなみにGマークの制度は平成15年度(2003年)から始まり、2023年には創設から20年という節目の年を迎えることになります。2022年12月現在、Gマーク認定されている安全性優良事業所は次のとおりです。

全国 Gマーク認定 認定率
事業者数 62,844社 12,866社 20.5%
事業所数 87,033
事業所
28,696
事業所
33.0%
運送トラック数 1,458,419両 750,846両 51.5%

※全国運送トラック数のみ2021年3月のデータ


安全性優良事業所の数は28,696事業所あり、全事業所の33.0%です。それだけレベルの高い制度なのですね…


ただし車両の台数ベースでは、5割以上がGマーク認定を取得しています。つまり緑ナンバーのトラックの2台に1台はGマークを付与されていることになり、制度の普及が進んでいるといえるでしょう。

評価項目(2023年度)

では、Gマーク取得の対象になる基準は何でしょうか?


Gマークは3つの評価項目と4つの認定要件をもとに認定されます。

項目 点数 内容
安全性に対する法令の遵守状況 配点40点
(基準点数32点)
巡回指導結果
運輸安全マネジメントの取組状況
事故や違反の状況 配点40点
(基準点数21点)
重大事故・行政処分状況
安全性に対する取組の積極性 配点20点
(基準点数12点)
安全対策会議の実施、運転者の教育などの取り組みの自己申告事項

2023年度からの変更点

2023年度から、評価項目や配点、および申請の取り扱いについて一部変更が実施されます。


「評価項目I安全性に対する法令の遵守状況」における変更点は、次のとおりです。


  • 「小項目」の配点を一部変更
  • 「運輸安全マネジメント」の評価が申請書類から巡回指導結果による評価へ変更

「評価項目III安全性に対する取組みの積極性」においては配点が21点から20点に変更になったほか、自認項目は4つのグループに分けられ、各グループから得意項目を選択できるようになりました。


また全日本トラック協会は2023年度から、6回目更新を迎える事業所を「長期認定取得事業所」としてさらなる差別化を図ります。20年間もの長きにわたり輸送における安全運行を実現している実績に敬意を払い、「評価項目III安全性に対する取組みの積極性」においては挙証書類提出を原則不要とするなど申請手続きが簡素化される見込みです。


また通常のステッカーとは異なる「ゴールドステッカー」の付与が検討されています。

認定要件

従来の認定要件は次のとおりです。


  1. 上記1〜3の評価連数の合計点が80点以上
  2. 上記1〜3の各評価項目において上記の基準点数以上
  3. 法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること
  4. 社会保険等の加入が適正になされていること

2023年度のGマーク認定の詳細は、令和5年4月中旬以降に公表される申請案内をご確認ください。

Gマーク申請の流れ

ここでは、Gマーク申請のおおまかな流れをご紹介します。


  1. 添付書類の作成
    Gマーク申請には、点呼簿・事故記録簿・運転日報など、安全対策の実施を証明する添付書類が必要です。事前に準備しておくことをおすすめいたします。
  2. 申請書の入手と作成
    Web上で申請書を作成する「申請書作成システム」もしくは「複写式申請書」を入手して、申請書を作成します。
  3. 申請受付
    申請書の受付期間は毎年7月初旬から中旬までです。原則、申請書は各都道府県トラック協会窓口にて受理されます。申請方式の特例申請のうち、「D」方式が2023年度から廃止されますので注意してください。

なお2021年と2022年度に関しては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための特例措置により、郵送での申請書類の提出が可能でした。2023年度については、インターネットによる申請書の作成が可能になり、4月中旬以降に特別措置の有無が公表される見込みです。

Gマーク申請にかかる費用

Gマーク申請にかかる費用は申請書の作成方法により異なります。


  1. Web上で申請書を作成する「申請書作成システム」による申請【無料】
    申請書作成システムを使用してWeb上でGマーク申請書を作成した場合、申請費用は無料です。全国トラック協会ホームページ内の「GマークWeb申請書作成ページ」で作成することができます。
  2. 紙の「複写式申請書」による申請【申請書実費1,000円(税込)】
    紙の複写式申請書に手書き記入して申請書を作成した場合、申請書実費として1,000円(税込)が必要です。紙の申請書は配布期間が決まっており、毎年5月初旬~6月末となります。紙の申請書でGマーク申請をご検討の方はお早めに書類を入手することをおすすめいたします。
  3. ※Web上での申請受付はできませんのでご注意ください。
    ※2023年度の申請案内は、2023年4月中旬以降に公表される見込みです。

Gマーク認定までの流れ

Gマーク申請の結果が発表されるまでの期間は約5ヶ月です。Gマーク認定事業者の発表は11月下旬に全国トラック協会のホームぺージに掲載されます。また、評価結果は12月中旬に申請者へ郵送されます。

Gマークの有効期限

Gマークには有効期間があります。Gマークを新規で取得した営業所の場合、有効期限は2年です。更新年度になると、全国トラック協会より「Gマーク認定の更新のご案内」のはがきが郵送されますので、更新手続きを忘れないようにしましょう。

Gマークを取得するメリットとは?

Gマークを取得するメリットとは?

一定の基準値をクリアすることで認定されるGマーク制度ですが、Gマークを取得をすることでどんなメリットがあるのでしょうか?


Gマーク認定がある安全性優良事業所に対しては、国土交通省・全日本トラック協会・損保会社によるインセンティブが付与されています(2022年4月現在)。

<メリット1>違反点数の消去

原則的に違反点数の付与期間は3年となっていますが、違反点数付与後2年間の違反点数の付与がない場合、当該違反点数が消去されます。

<メリット2>IT点呼の導入

Gマークがあるのとないのとでは、対面点呼に代わるIT点呼の活用範囲が変わります。活用範囲についてはのちほど詳しくご紹介します。

<メリット3>点呼の優遇

2地点間を定時で運行する場合の他事業所における点呼や、同一敷地内に所在するグループ企業間における点呼が承認されます。

<メリット4>補助条件の緩和

CNGトラック等に対する補助について、新車のみの導入に係る最低台数要件が1台に緩和(通常3台)されます。

<メリット5>安全性優良事業所表彰

安全性優良事業所のうち、連続して10年以上取得しているなど、特に高いレベルの安全性を実現していると認められた事業所は、国土交通省からの表彰を受けることができます。

<メリット6>基準緩和自動車の有効期限の延長

基準緩和自動車が適切に運行され、要件※を満たしている場合、緩和の継続認定において有効期間が通常4年までから無期限に延長されます。

※要件とはGマーク認定事業所が継続緩和を申請する自動車で、前回の基準緩和認定日から継続緩和申請日までの間に重大事故や基準緩和自動車の行政処分等がない場合

<メリット7>特殊車両通行許可の有効期間の延長

特殊車両の通行許可について、一定の要件を満たす優良事業所の車両の場合、許可の有効期間が最長4年間まで延長されます。

<メリット8>トラック協会の助成事業の優遇

都道府県トラック協会の会員事業者に対する助成事業について、予算の範囲内で次の優遇措置が受けられます。


①ドライバー等安全教育訓練促進助成制度

  • 特別研修への受講料助成金の増額(通常7割⇒全額助成)

②安全装置等導入促進助成事業

  • IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器への1台につき、2分の1、上限2万円の助成

③経営診断受診促進助成事業

  • 経営診断助成金の増額(通常8万円⇒10万円)
  • 経営改善相談助成金の増額(通常2万円⇒3万円)

<メリット9>損保会社の保険料の割引

損害保険会社及び交通共済の一部では、運送保険または自動車保険等において独自の保険料割引を受けることができます。

<メリット10>交通事故が減る

安全優良事業所となるので、安全への意識が会社全体で高まります。その結果交通事故が減り、事故が減れば保険料も下がりますので、経費の削減にもつながります。

<メリット11>対外的な評価が上がる

数少ない安全優良事業所となると、荷主だけでなく消費者からの信用も高まるでしょう。実際に、全日本トラック協会のホームページではGマーク認定事業所一覧が公表されおり、誰でも認定事業所名を確認できます。


会社のイメージが良くなると、採用も人が集まりやすくなるのがポイントです。レベルの高い資格とあって、取得したときのメリットは大きいですね。

GマークがあるかないかでIT点呼がどこまで使えるかが変わる

GマークがあるかないかでIT点呼がどこまで使えるかが変わる

Gマーク認定がある事業所では、事業所間、事業所車庫間、事業所遠隔地でIT点呼の導入が可能です。
Gマーク認定がない事業所がIT点呼を導入する場合には、以下の4つの条件が必要になります。

条件

  1. 運輸開始後3年経過している
  2. 過去3年間、第1当事者となる自動車事故報告規則に掲げる事故を引き起こしていない
  3. 過去3年間、点呼の実施違反に係る行政処分を受けていない
  4. 適正化実施機関の直近の巡回指導評価がD、E以外であり、点呼に関する指摘がない場合又は点呼に係る改善報告書が3か月以内に提出され改善が図られること

この条件を満たすと、Gマークがなくても事業所車庫間でIT点呼を導入することができます。
Gマーク認定がある事業所の方がIT点呼の使用範囲が広がるので、Gマーク取得をお勧めします。

IT点呼の導入ステップ

IT点呼の導入ステップ

「IT点呼を導入しよう!」と決まれば、準備に取り掛かりましょう。
導入は以下のような流れで進みます。

1. 導入準備

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2. 機器・ソフトウェア準備

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3. 事業所管轄の運輸支局へ申請

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4. 実施前準備

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5. IT点呼実施


機器に関しては何でも良いというわけではありません。
国土交通省が定めた国土交通省認定機器により実施する必要があります。


弊社のIT点呼キーパーは、国土交通省が実施する「事故防止対策支援推進事業の過労運転防止のための先進的な取り組み」に対する支援における対象機器として、国土交通大臣に累計8回認定されております。

認定には様々な条件があり、IT点呼キーパーはそれらを全てクリアした製品です。毎年補助金受付の時期には補助金を使い導入していただく企業様も増えています。

まとめ

Gマークの申請は毎年7月上旬~中旬に実施されていますので、運送事業者様におかれましてはこの機会に取得を目指されてはいかがでしょう。


弊社テレニシがご提供しているIT点呼キーパーは使用要件も広がり、導入企業の数が増えてきています。ITツールを活用することで、運行管理者の労働時間の削減・点呼効率化による業務工数削減など業務効率化することが可能です。


点呼業務の効率化にご興味のある皆さまからのお問い合わせをお待ちしております。


【出典】
【レポート】「Gマーク制度」、創設からまもなく20年|株式会社カーゴ・ジャパン(参照2023-01-26)
2022年度貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)安全性優良事業所に7,990事業所を認定|公益社団法人全日本トラック協会(参照2023-01-26)
令和5年度Gマーク申請について(申請事業所向け事前周知)|公益社団法人全日本トラック協会(参照2023-01-26)
Gマーク認定によるインセンティブ|公益社団法人全日本トラック協会(参照2023-01-26)

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