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2025年開始予定の業務前自動点呼とは?業務後自動点呼との違いや実施要件について解説|IT点呼キーパー

2025年開始予定の業務前自動点呼とは?
業務後自動点呼との違いや実施要件について解説

法改正・規制
  • 2025年開始予定の業務前自動点呼とは?業務後自動点呼との違いや実施要件について解説
  • ロボットなどの支援機器を活用して行う自動点呼。2025(令和7)年4月時点では以下の条件下でのみ行えます。

    • 実施できる点呼は乗務「後」点呼に限る
    • 点呼ができない状態に備えて、運行管理者がすぐ対応できる場所にいる必要がある

    「1日の点呼がすべて自動でできたら便利なのに」

    このように感じている運行管理者の方は多いのではないでしょうか。

    そのような中、業務前自動点呼の先行実施要領が発出され、2025年中に業務前自動点呼が開始されると予測されています。


    そこで本記事では、以下の点について紹介します。

    • 業務前自動点呼の概要
    • 業務前自動点呼の先行実施について
    • 業務前自動点呼を導入するメリットと課題

    正式に実施が決定した際、スムーズに導入して管理業務の効率化が図れるよう準備しておきましょう。

業務前自動点呼とは?

業務前自動点呼とは?

自動点呼とは、法令で義務付けられている運行管理者と運転者による業務前の対面点呼を、運行管理者に代わり支援機器を使用して行う点呼です。


2025年4月時点で、業務前自動点呼は認められていませんが、先行実施状況を確認して業務前自動点呼の具体的な内容が決められる予定です。

業務後自動点呼との違い

点呼は業務前・業務後に行いますが、点呼内容には両者に共通するものと異なるものがあります。共通点・相違点をまとめましたのでご覧ください。

なお対面であれ自動であれ、業務前・業務後それぞれの点呼の内容自体は同じです。


業務前・業務後で共通して行う内容

  • 本人(免許証)確認
  • 携行品の確認
  • アルコール検知器を使用したアルコールチェックによる酒気帯びの確認
  • 点呼結果の記録

業務前点呼でのみ行う内容

  • 健康状態の確認
  • 事業用自動車の日常点検結果の確認
  • 運転特性の注意
  • 安全確保に必要な指示
  • 乗務可否の判断

業務後点呼でのみ行う内容

  • 道路状況の報告
  • 苦情等の確認
  • 車両や運行に関する異常の有無の確認
  • 勤務の確認
  • 点呼結果の引継ぎ(運転者の交替がある場合)
業務前自動点呼の先行実施について

業務前自動点呼の先行実施について

2024年5月から、業務前自動点呼が先行実施形式で行われています。


先行実施とは実証実験の結果から検討・策定された要件をもとに、より正式導入を想定した状況下で試験的に業務前自動点呼を実施することです。


今回の先行実施では要件を満たしたうえで書類による申請を行い、受理された事業者が業務前自動点呼を行えます。


先行実施で問題がなければ本格運用へ、改善点が生じた場合は要件の変更など必要な措置を講じたうえで本格運用を目指します。

業務前自動点呼の先行実施までの動き

今回の先行実施までに、業務前自動点呼は2回の実証実験が行われています。


過去2回の実証実験の大まかな流れ

  • ナブアシスト社のTenko de Uniboを使用して業務前点呼を実施
  • 参加事業者からヒアリングを行い、課題を抽出
  • 業務前自動点呼に使用する機器の性能に関する要件と評価方法についてとりまとめ

実証実験でとりまとめ、策定した要件にもとづいて業務前自動点呼の先行実施を行い、問題がないか検証します。

業務前自動点呼の実施要件とは?

業務前自動点呼の実施要件とは?

今回行われる業務前自動点呼の先行実施に関する要件について紹介します。


紹介する要件を満たして所定の申請を行い、事前に国交省にて先行実施要件に合致するか確認が行われ受理されると、業務前自動点呼の先行実施への参画が可能となります。

満たすべき基本事項

今回の業務前自動点呼は、運行管理高度化ワーキンググループの監督下で先行実施要領にもとづき実施されていると国土交通省が認めた場合に限り、点呼を行ったものとして扱われます。


参加希望事業者に求められる基本事項は以下の通りです。

(引用)
1. 業務前自動点呼は、ワーキングの監督下において本実施要領に基づき実施されていると国土交通省が認める場合に限り、旅客自動車運送事業運輸規則第24条第1項又は貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条第1項の規定に適合する点呼を行ったものとして取り扱うものとする。
2. 本実施要領に基づく業務前自動点呼の実施は、令和7年3月31日までとする。
3. 本事業に係る情報が、やむを得ない場合を除いて原則公表されることについて、本事業への参加申請書(様式1)を提出した時点で同意したとみなすこととする。なお、本事業において、個人の健康状態の情報等、個人情報に相当する情報を事業者が当該事業者以外に伝達する場合については、個人を特定できないような形にしたうえで取り扱うものとする。
4. 業務前自動点呼は、事業者の営業所又は当該営業所の車庫において、当該営業所に所属する運転者等に対し行うことができるものとする。
5. 業務前自動点呼を開始するにあたり、開始前までに血圧及び体温等、運転者の健康状態に関する平常時の数値を、10日分取得しておくこと。

【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)

業務前自動点呼機器の要件

業務前自動点呼を行う事業者は、以下の要件すべてを満たす機器の使用を確認し、様式2「業務前自動点呼機器の要件に係る適合確認・宣誓書(開始前)」に結果を記載、提出する必要があります。

(引用)
1. 21に掲げる事項の確認、判断及び記録を実施できる機能を有すること。
2. 運行管理者等が、運転者等ごとの業務前自動点呼の実施予定及び当該業務前自動点呼に責任を持つ運行管理者の氏名を入力でき、当該業務前自動点呼の実施状況及び実施結果を確認できる機能を有すること。
3. 業務前自動点呼を受ける運転者等について、生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務前自動点呼を開始する機能を有すること。
4. 運転者によるアルコール検知器の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、アルコール検知器が作動する機能を有すること。ただし、3の生体認証符号等による識別の直後にアルコール検知器を使用する場合に限り、本機能は省略することができる。
5. 運転者が行うアルコール検知器による測定の結果検知された呼気中のアルコールの有無又はその濃度及びアルコール検知器使用時の静止画又は動画を自動的に記録及び保存する機能を有すること。
6. 運転者が行うアルコール検知器による測定の結果、運転者の呼気中にアルコールが検知された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
7. 運転者の健康状態に関する数値として血圧及び体温を測定する機能(以下「健康状態測定機能」という。)を有し、その測定結果及び運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値と測定結果との差異を自動的に記録及び保存する機能を有すること。加えて、これらの測定結果については有効時間を設定する事ができ、一定期間経過した測定結果は無効として再測定を求める機能を有すること。
8. 健康状態測定機能の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、健康状態測定機能が作動する機能を有すること。ただし、3の生体認証符号等による識別の後一定期間の間に健康状態測定機能を使用する場合に限り、本機能は省略することができる。
9. 運転者の疾病・疲労・睡眠不足に関する自己申告の結果を記録及び保存する機能を有すること。
10. 7・9の結果から安全な運転をすることができないおそれの有無について自動で判定を行う機能を有すること。なお、判定基準は運行管理者が運転者ごとに設定できる機能を有すること。
11. 10の結果、安全な運転をすることができないおそれがあると判定された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を中断する機能を有すること。
12. 11で業務前自動点呼を中断した場合において、運行管理者に連絡を行ったうえで、運行管理者等がその内容を確認し、運行管理者が運行の安全確保に支障がないと判断した場合は、業務前自動点呼を運行管理者が再開することができる機能を有すること。
13. 12の機能を用いて業務前自動点呼を再開する場合において、業務前自動点呼を中断した運転者について、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務前自動点呼を中断したところから再開できる機能を有すること。
14. 12の機能を用いて業務前自動点呼が再開された場合において、その事実を自動的に記録及び保存する機能を有すること。
15. 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車について、道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果を記録及び保存する機能を有すること。
16. 15の結果、異常が認められた場合は、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
17. 運行管理者が運転者等に対して伝える指示事項を、当該運転者等ごとに画面表示又は音声等により伝達する機能を有すること。
18. 21に掲げる業務前自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされた場合、点呼が完了したことを運転者等が明確にわかるように表示する機能を有すること。
19. 21に掲げる業務前自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされない場合又は故障が生じている場合には、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
20. 運転者等ごとに業務前自動点呼の実施予定時刻を設定することができ、当該予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務前自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等に対し警報又は通知を発する機能を有すること。
21. 業務前自動点呼を受けた運転者等ごとに、次に掲げる事項を電磁的方法により記録し、かつ、その記録を1年間保存する機能を有すること。
イ) 業務前自動点呼に責任を負う運行管理者の氏名
ロ) 業務前自動点呼を受けた運転者等の氏名
ハ) 業務前自動点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
ニ) 業務前自動点呼の実施日時
ホ) 点呼方法
ヘ) 業務前自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
ト) 業務前自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器の使用に係る生体認証符号等による識別時及びアルコール検知器による測定時の、当該運転者の顔が明瞭に確認できる静止画又は動画
チ) 運転者等が業務前自動点呼を受けている状況が明瞭に確認できる静止画又は動画
リ) 業務前自動点呼を受けた運転者の血圧、体温の測定結果及び運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値と測定結果との差異
ヌ) 業務前自動点呼を受けた運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運行をすることができないおそれの有無についての確認状況
ル) 道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果
ヲ) 運行管理者が運転者等に対し伝える指示事項
ワ) 業務前自動点呼を中断、再開した場合にあっては、その理由と判断を行った運行管理者の氏名
カ) 当該運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した場合の理由及び代替措置の内容
ヨ) その他必要な事項
22. 業務前自動点呼機器が故障した場合、故障発生日時及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を1年間保存する機能を有すること。
23. 電磁的方法により記録された21に掲げる事項及び22の記録の修正若しくは消去ができないものであること又は電磁的方法により記録された21に掲げる事項及び22の記録が修正された場合においては修正前の情報が保存され、かつ、消去できないものであること。
24. 電磁的方法により記録された21に掲げる事項(ト)及びチ)を除く。)及び22の記録について、業務前自動点呼機器に保存された情報をCSV形式で、電磁的記録として出力する機能を有すること。

【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)

具体的には、業務後自動点呼機器に必要な機能に加えて、以下の機能を備えていなければなりません。

  1. 血圧と体温の測定機能
  2. 以下の数値を自動的に記録・保存する機能
    • 1. 血圧・体温の測定結果
    • 2. 運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値(平熱など)
    • 3. 1と2の差異
  3. 血圧・体温の測定結果に有効時間が設定でき、一定期間経過した測定結果を無効とし、再測定を求める機能
  4. 運転者の疾病・疲労・睡眠不足に関する自己申告結果を記録・保存する機能
  5. 1および4の結果から乗務可否を自動で判定する機能
  6. 乗務不可と判定された場合、直ちに運行管理者に警報または通知を発し、業務前自動点呼を中断できる機能
  7. 運行管理者の判断に基づき、中断された業務前自動点呼を再開できる機能。また生体認証等を行ったうえで、中断された箇所から点呼を再開できる機能
  8. 業務前自動点呼の中断・再開したことを自動で記録・保存する機能
  9. 事業用自動車の日常点検結果を記録・保存する機能
  10. 日常点検結果に異常があった場合、直ちに運行管理者に警報または通知を発し、業務前自動点呼を完了しない機能
  11. 運転者ごとに業務前自動点呼の結果を電磁的方法で記録し、記録を1年間保存できる機能

業務前自動点呼機器を設置する施設の要件

業務前自動点呼機器を設置する施設に関する要件は業務後自動点呼の要件と同等とされています。

具体的には以下の要件をすべて満たし、結果を様式3「業務前自動点呼機器を設置する施設及び業務前自動点呼を行う上での社内体制に関する要件に係る適合確認・宣誓書(開始前)」に記載、提出しなければなりません。

(引用)
1. なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外で業務前自動点呼が実施されることを防止するため、業務前自動点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等、運行管理者等が、業務前自動点呼を受ける運転者等の全身を常時又は業務前自動点呼実施後に、明瞭に確認することができること。
2. 業務前自動点呼が途絶しないために必要な通信環境が確保されていること。

【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)

具体的には、以下の要件を備えていなければなりません。

  1. 業務前自動点呼の実施場所に監視カメラ等を備え、実施場所以外での点呼を認めないこと
  2. 運行管理者が業務前自動点呼を受ける運転者の全身を、常時または業務前自動点呼実施後にはっきり確認できること
  3. 業務前自動点呼を行うために必要な通信環境を確保すること

業務前自動点呼を行ううえでの社内体制に関する要件

社内体制に関する要件は、業務後自動点呼の要件をベースに業務前自動点呼独自の点呼内容に対応できるよう要件を追加しています。

業務前自動点呼の先行実施における、社内体制に関する要件は以下の通りです。

(引用)
1. 事業者は、本事業の趣旨を理解したうえで、国土交通省又はワーキングの求めに応じて必要事項を報告すること。
2. 事業者は、本事業開始から1ヶ月が経過しない間、運行管理者の立会いのもとで業務前自動点呼を行うこと。1ヶ月が経過した後は、可能な限り運行管理者が立ち会わずに業務前自動点呼を行うこと。なお、事業者により1ヶ月が経過しない中で、従前と同等の安全性を確保することができると判断された場合には、この限りではない。その場合は、その理由と判断した日時を記録として残すこと。
3. 事業者は、業務前自動点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者等、運転者等その他の関係者に周知すること。
4. 事業者は、業務前自動点呼機器の使用方法、故障時の対応等について運行管理者等、運転者等その他の関係者に対し、適切に教育及び指導を行うこと。
5. 事業者は、所定の場所以外で業務前自動点呼が行われることを防止するため、業務前自動点呼機器が当該場所から持ち出されないよう必要な措置を講じること。
6. 事業者は、業務前自動点呼機器の状態を定期的に確認する等、適切に使用、管理及び保守することにより、常に正常に作動する状態に保持すること。
7. 運行管理者等は、運転者等ごとの業務前自動点呼の実施予定及び実施結果を適宜確認し、点呼の未実施を防止すること。
8. 業務前自動点呼を実施する予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務前自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
9. 運行管理者等に対し早急に報告する必要がある事項については、業務前自動点呼の実施にかかわらず、運転者等から運行管理者等に対し速やかに報告するよう指導すること。
10. 運転者が酒気を帯びていることが確認された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を対面で確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
11. 運転者が安全な運転をすることができないおそれがあると業務前自動点呼機器によって判定された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
12. 運転者が安全な運転をすることができないおそれがあると業務前自動点呼機器によって判定された場合は、運行管理者等が当該運転者の状態を対面により確認することが望ましいが、この場合においては、遠隔からカメラ、モニター等を通じて確認し、運行管理者が乗務の可否を判断することを妨げるものではない。
13. 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車について、道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果、異常が認められた場合は、運行管理者が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
14. 業務前自動点呼機器の故障等により業務前自動点呼を行うことが困難となった場合に、業務前自動点呼を受ける運転者等が所属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の実施が認められている点呼を行う体制を整えること。
15. 事業者は、運転者等の識別に必要な生体認証符号や健康状態の測定結果等の取扱いについて、あらかじめ、対象となる運転者等の同意を得ること。

【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)

具体的には、以下の要件を備えていなければなりません。

  1. 先行実施において、事業者は業務前自動点呼開始から1か月間は運行管理者立会いのもとで業務前自動点呼を行い、1か月経過後は可能な限り運行管理者の立会いなしで業務前自動点呼を行うこと
  2. 運転者に酒気帯びまたは健康状態の異常が確認された場合は、運行管理者が運転者の状態を速やかに確認できる体制を整備すること
  3. 生体認証情報、バイタルデータなど個人を特定できる情報の取得・管理等について、あらかじめ運転者の同意を得ること
業務前自動点呼によって解決される課題

業務前自動点呼によって解決される課題

点呼は飲酒、過労、疾病などにより運転者が正常でない状態で運転することによる事故を防ぎ、顧客との信頼関係を築くために欠かせない業務です。

その重要性の高さから業務内容が煩雑になり、さまざまな課題が生じています。


ここでは、業務前点呼を自動化することで解決される課題について紹介します。

点呼の効率化と人的リソースの削減

業務前自動点呼を導入すると、点呼の効率が上がります。

支援機器からの指示は常に一定で、運転者が流れを覚えてしまえば対面点呼より点呼に要する時間を短縮できるからです。


また、運行管理者が点呼業務に割く時間も減り、節約した時間で他の業務を行う、休憩を取るなどが可能になります。

メリハリをもって業務に就くことで業務全体の効率向上が期待できます。

点呼ミスの防止と正確性の向上

業務前自動点呼を導入すると、点呼ミスが減り点呼の正確性が上がります。

支援機器によるフローに沿って運転者が点呼を行い、問題なしと判断されないと点呼そのものが完了しない機器を使用しているからです。


特に運転者による点呼業務の抜け漏れ、運行管理者による点呼結果の記録ミスなどのヒューマンエラーは大きく減ると期待されています。

法令遵守の強化とコンプライアンスリスクの低減

業務前自動点呼はあらかじめ設定された点呼項目すべてに異常がないことが確認できないと点呼が完了せず、運転者は業務に就けません。


法令にもとづいた点呼内容を設定し、運転者が正しく点呼業務を実施すれば、自然と法令遵守につながります。

さらに必要に応じて運行管理者が点呼状況をチェックすれば不正が行われる可能性は大きく下がると予想されます。

業務前自動点呼実施時に考えられる課題

業務前自動点呼実施時に考えられる課題

ここでは業務前自動点呼を導入することで新たに生じると考えられる課題を3つ紹介します。

初期導入コストの負担と費用対効果の懸念

業務前自動点呼には所定の要件を満たした支援機器の導入が必要ですが、業務前自動点呼に対応した機器はまだ少数で、従来の機器より導入費用が高額になる可能性があります。


また、開発直後の機器は不具合や機能面での不満が出ることも多いです。

新機器リリース後、利用者の声を受けて改良を重ね、使い勝手が良くなるというのはよくある話ではないでしょうか。

決して安い買い物ではなく、先行実施の現段階では補助金制度等もないため、導入に踏み切る企業は限られると予想されます。

現場スタッフのシステム運用への適応

新たなシステムとそれに必要な機器類を導入する際には、実際に使う人が正しく使えないと目論見通りの効果は得られません。
すでにシステムの変更などを経験されている事業者の方は身をもって理解されていると思います。

特にパソコンなどのIT機器の扱いに慣れていない人への教育やサポートには人と時間が必要になりがちです。


わかりやすいマニュアルの作成とマニュアル通りの作業教育はもちろん、時には非効率に感じられる作業に協力してもらう等、点呼業務に関わるすべての人が作業内容を理解するまでは運行管理者の負担が一時的に増えるかもしれません。

トラブル発生時の対応とバックアップ体制の構築

機器の不具合や通信障害、システムのトラブルへの対応方法も事前に準備しておかなければなりません。


外的理由でシステムが機能しないのはある意味仕方がない部分もありますが、仕方がないで済ませていると「何のために面倒な思いをして点呼をやっているんだ?」と現場サイドは疑問に思うはずです。
システムが復旧しても「やらなくても大丈夫だったのだから」と点呼業務に非協力的な従業員が現れる原因になりかねません。

緊急時の対応方法は作業手順とセットでマニュアルに記載、教育するなど、できる限りの準備をしておきましょう。


トラブルはそうそう起きるものではありませんが、いざ起きると万全に準備していても対処に時間がかかることもあります。あらゆる事態を想定した対処法を準備しておくことが重要です。

「IT点呼キーパー」は業務前自動点呼への対応に向けて開発中

「IT点呼キーパー」は業務前自動点呼への対応に向けて開発中

現在、点呼機器メーカーは業務前自動点呼に対応した点呼機器・システムの開発が進んでいます。
テレニシの「IT点呼キーパー」もその1つです。

IT点呼キーパーに業務前自動点呼機能が実装されれば、業務前自動点呼を導入する際の課題もクリアできます。


例えば、IT点呼キーパーの自動点呼はパソコンで行えます。ロボット等の導入は不要なので、導入コストの増加と費用対効果に関する心配が減ります。

また、IT点呼キーパーはシンプルさを特徴としています。自動点呼機能を実装してもこの点は変わらないため、IT機器に苦手意識がある従業員の方でも比較的早く操作に慣れることが期待できます。


業務前自動点呼への対応に向けて準備を進めている段階です。

対応時期については未定ですが、IT点呼キーパーをすでにご利用いただいている事業者はもちろん、これから自動点呼機器の導入をご検討される事業者にも選んでいただけるような、コストパフォーマンスに優れたシステムづくりに取り組んでおります。


「新・IT点呼キーパー」のリリースまで、今しばらくお待ちください。

まとめ|業務前自動点呼開始に向けて、事前準備を整えよう!

まとめ|業務前自動点呼開始に向けて、事前準備を整えよう!

業務前自動点呼の自動化が実現すれば、点呼の全自動化が現実味を帯びてきます。

点呼はすべての運送事業者に必要な業務のため、遠隔点呼などより先に実現して欲しかったと思っている運行管理者の方も多いのではないでしょうか。


人員不足で労働時間管理が難しい運行管理者抜きで煩雑な点呼を行えるなら、導入コストに見合うリターンが見込める可能性は十分あります。


引き続き業界の動向や情報に注目し、そう遠くない業務前自動点呼解禁に備えましょう。


【出典】
点呼時のコミュニケーションの重要性|国土交通省(参照2025-04-18)
業務前自動点呼の実証実験について|国土交通省(参照2025-04-18)
業務前自動点呼の検討状況について|国土交通省(参照2025-04-18)
自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)

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