業務前自動点呼の実施要件とは?
今回行われる業務前自動点呼の先行実施に関する要件について紹介します。
紹介する要件を満たして所定の申請を行い、事前に国交省にて先行実施要件に合致するか確認が行われ受理されると、業務前自動点呼の先行実施への参画が可能となります。
満たすべき基本事項
今回の業務前自動点呼は、運行管理高度化ワーキンググループの監督下で先行実施要領にもとづき実施されていると国土交通省が認めた場合に限り、点呼を行ったものとして扱われます。
参加希望事業者に求められる基本事項は以下の通りです。
(引用)
1. 業務前自動点呼は、ワーキングの監督下において本実施要領に基づき実施されていると国土交通省が認める場合に限り、旅客自動車運送事業運輸規則第24条第1項又は貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条第1項の規定に適合する点呼を行ったものとして取り扱うものとする。
2. 本実施要領に基づく業務前自動点呼の実施は、令和7年3月31日までとする。
3. 本事業に係る情報が、やむを得ない場合を除いて原則公表されることについて、本事業への参加申請書(様式1)を提出した時点で同意したとみなすこととする。なお、本事業において、個人の健康状態の情報等、個人情報に相当する情報を事業者が当該事業者以外に伝達する場合については、個人を特定できないような形にしたうえで取り扱うものとする。
4. 業務前自動点呼は、事業者の営業所又は当該営業所の車庫において、当該営業所に所属する運転者等に対し行うことができるものとする。
5. 業務前自動点呼を開始するにあたり、開始前までに血圧及び体温等、運転者の健康状態に関する平常時の数値を、10日分取得しておくこと。
【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)
業務前自動点呼機器の要件
業務前自動点呼を行う事業者は、以下の要件すべてを満たす機器の使用を確認し、様式2「業務前自動点呼機器の要件に係る適合確認・宣誓書(開始前)」に結果を記載、提出する必要があります。
(引用)
1. 21に掲げる事項の確認、判断及び記録を実施できる機能を有すること。
2. 運行管理者等が、運転者等ごとの業務前自動点呼の実施予定及び当該業務前自動点呼に責任を持つ運行管理者の氏名を入力でき、当該業務前自動点呼の実施状況及び実施結果を確認できる機能を有すること。
3. 業務前自動点呼を受ける運転者等について、生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務前自動点呼を開始する機能を有すること。
4. 運転者によるアルコール検知器の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、アルコール検知器が作動する機能を有すること。ただし、3の生体認証符号等による識別の直後にアルコール検知器を使用する場合に限り、本機能は省略することができる。
5. 運転者が行うアルコール検知器による測定の結果検知された呼気中のアルコールの有無又はその濃度及びアルコール検知器使用時の静止画又は動画を自動的に記録及び保存する機能を有すること。
6. 運転者が行うアルコール検知器による測定の結果、運転者の呼気中にアルコールが検知された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
7. 運転者の健康状態に関する数値として血圧及び体温を測定する機能(以下「健康状態測定機能」という。)を有し、その測定結果及び運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値と測定結果との差異を自動的に記録及び保存する機能を有すること。加えて、これらの測定結果については有効時間を設定する事ができ、一定期間経過した測定結果は無効として再測定を求める機能を有すること。
8. 健康状態測定機能の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、健康状態測定機能が作動する機能を有すること。ただし、3の生体認証符号等による識別の後一定期間の間に健康状態測定機能を使用する場合に限り、本機能は省略することができる。
9. 運転者の疾病・疲労・睡眠不足に関する自己申告の結果を記録及び保存する機能を有すること。
10. 7・9の結果から安全な運転をすることができないおそれの有無について自動で判定を行う機能を有すること。なお、判定基準は運行管理者が運転者ごとに設定できる機能を有すること。
11. 10の結果、安全な運転をすることができないおそれがあると判定された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を中断する機能を有すること。
12. 11で業務前自動点呼を中断した場合において、運行管理者に連絡を行ったうえで、運行管理者等がその内容を確認し、運行管理者が運行の安全確保に支障がないと判断した場合は、業務前自動点呼を運行管理者が再開することができる機能を有すること。
13. 12の機能を用いて業務前自動点呼を再開する場合において、業務前自動点呼を中断した運転者について、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務前自動点呼を中断したところから再開できる機能を有すること。
14. 12の機能を用いて業務前自動点呼が再開された場合において、その事実を自動的に記録及び保存する機能を有すること。
15. 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車について、道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果を記録及び保存する機能を有すること。
16. 15の結果、異常が認められた場合は、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
17. 運行管理者が運転者等に対して伝える指示事項を、当該運転者等ごとに画面表示又は音声等により伝達する機能を有すること。
18. 21に掲げる業務前自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされた場合、点呼が完了したことを運転者等が明確にわかるように表示する機能を有すること。
19. 21に掲げる業務前自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされない場合又は故障が生じている場合には、業務前自動点呼を完了することができない機能を有すること。
20. 運転者等ごとに業務前自動点呼の実施予定時刻を設定することができ、当該予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務前自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等に対し警報又は通知を発する機能を有すること。
21. 業務前自動点呼を受けた運転者等ごとに、次に掲げる事項を電磁的方法により記録し、かつ、その記録を1年間保存する機能を有すること。
イ) 業務前自動点呼に責任を負う運行管理者の氏名
ロ) 業務前自動点呼を受けた運転者等の氏名
ハ) 業務前自動点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
ニ) 業務前自動点呼の実施日時
ホ) 点呼方法
ヘ) 業務前自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
ト) 業務前自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器の使用に係る生体認証符号等による識別時及びアルコール検知器による測定時の、当該運転者の顔が明瞭に確認できる静止画又は動画
チ) 運転者等が業務前自動点呼を受けている状況が明瞭に確認できる静止画又は動画
リ) 業務前自動点呼を受けた運転者の血圧、体温の測定結果及び運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値と測定結果との差異
ヌ) 業務前自動点呼を受けた運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運行をすることができないおそれの有無についての確認状況
ル) 道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果
ヲ) 運行管理者が運転者等に対し伝える指示事項
ワ) 業務前自動点呼を中断、再開した場合にあっては、その理由と判断を行った運行管理者の氏名
カ) 当該運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した場合の理由及び代替措置の内容
ヨ) その他必要な事項
22. 業務前自動点呼機器が故障した場合、故障発生日時及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を1年間保存する機能を有すること。
23. 電磁的方法により記録された21に掲げる事項及び22の記録の修正若しくは消去ができないものであること又は電磁的方法により記録された21に掲げる事項及び22の記録が修正された場合においては修正前の情報が保存され、かつ、消去できないものであること。
24. 電磁的方法により記録された21に掲げる事項(ト)及びチ)を除く。)及び22の記録について、業務前自動点呼機器に保存された情報をCSV形式で、電磁的記録として出力する機能を有すること。
【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)
具体的には、業務後自動点呼機器に必要な機能に加えて、以下の機能を備えていなければなりません。
- 血圧と体温の測定機能
- 以下の数値を自動的に記録・保存する機能
- 1. 血圧・体温の測定結果
- 2. 運行管理者が設定した運転者ごとの平常時の値(平熱など)
- 3. 1と2の差異
- 血圧・体温の測定結果に有効時間が設定でき、一定期間経過した測定結果を無効とし、再測定を求める機能
- 運転者の疾病・疲労・睡眠不足に関する自己申告結果を記録・保存する機能
- 1および4の結果から乗務可否を自動で判定する機能
- 乗務不可と判定された場合、直ちに運行管理者に警報または通知を発し、業務前自動点呼を中断できる機能
- 運行管理者の判断に基づき、中断された業務前自動点呼を再開できる機能。また生体認証等を行ったうえで、中断された箇所から点呼を再開できる機能
- 業務前自動点呼の中断・再開したことを自動で記録・保存する機能
- 事業用自動車の日常点検結果を記録・保存する機能
- 日常点検結果に異常があった場合、直ちに運行管理者に警報または通知を発し、業務前自動点呼を完了しない機能
- 運転者ごとに業務前自動点呼の結果を電磁的方法で記録し、記録を1年間保存できる機能
業務前自動点呼機器を設置する施設の要件
業務前自動点呼機器を設置する施設に関する要件は業務後自動点呼の要件と同等とされています。
具体的には以下の要件をすべて満たし、結果を様式3「業務前自動点呼機器を設置する施設及び業務前自動点呼を行う上での社内体制に関する要件に係る適合確認・宣誓書(開始前)」に記載、提出しなければなりません。
具体的には、以下の要件を備えていなければなりません。
- 業務前自動点呼の実施場所に監視カメラ等を備え、実施場所以外での点呼を認めないこと
- 運行管理者が業務前自動点呼を受ける運転者の全身を、常時または業務前自動点呼実施後にはっきり確認できること
- 業務前自動点呼を行うために必要な通信環境を確保すること
業務前自動点呼を行ううえでの社内体制に関する要件
社内体制に関する要件は、業務後自動点呼の要件をベースに業務前自動点呼独自の点呼内容に対応できるよう要件を追加しています。
業務前自動点呼の先行実施における、社内体制に関する要件は以下の通りです。
(引用)
1. 事業者は、本事業の趣旨を理解したうえで、国土交通省又はワーキングの求めに応じて必要事項を報告すること。
2. 事業者は、本事業開始から1ヶ月が経過しない間、運行管理者の立会いのもとで業務前自動点呼を行うこと。1ヶ月が経過した後は、可能な限り運行管理者が立ち会わずに業務前自動点呼を行うこと。なお、事業者により1ヶ月が経過しない中で、従前と同等の安全性を確保することができると判断された場合には、この限りではない。その場合は、その理由と判断した日時を記録として残すこと。
3. 事業者は、業務前自動点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者等、運転者等その他の関係者に周知すること。
4. 事業者は、業務前自動点呼機器の使用方法、故障時の対応等について運行管理者等、運転者等その他の関係者に対し、適切に教育及び指導を行うこと。
5. 事業者は、所定の場所以外で業務前自動点呼が行われることを防止するため、業務前自動点呼機器が当該場所から持ち出されないよう必要な措置を講じること。
6. 事業者は、業務前自動点呼機器の状態を定期的に確認する等、適切に使用、管理及び保守することにより、常に正常に作動する状態に保持すること。
7. 運行管理者等は、運転者等ごとの業務前自動点呼の実施予定及び実施結果を適宜確認し、点呼の未実施を防止すること。
8. 業務前自動点呼を実施する予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務前自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
9. 運行管理者等に対し早急に報告する必要がある事項については、業務前自動点呼の実施にかかわらず、運転者等から運行管理者等に対し速やかに報告するよう指導すること。
10. 運転者が酒気を帯びていることが確認された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を対面で確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
11. 運転者が安全な運転をすることができないおそれがあると業務前自動点呼機器によって判定された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
12. 運転者が安全な運転をすることができないおそれがあると業務前自動点呼機器によって判定された場合は、運行管理者等が当該運転者の状態を対面により確認することが望ましいが、この場合においては、遠隔からカメラ、モニター等を通じて確認し、運行管理者が乗務の可否を判断することを妨げるものではない。
13. 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車について、道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の結果、異常が認められた場合は、運行管理者が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
14. 業務前自動点呼機器の故障等により業務前自動点呼を行うことが困難となった場合に、業務前自動点呼を受ける運転者等が所属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の実施が認められている点呼を行う体制を整えること。
15. 事業者は、運転者等の識別に必要な生体認証符号や健康状態の測定結果等の取扱いについて、あらかじめ、対象となる運転者等の同意を得ること。
【出典】:自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-04-18)
具体的には、以下の要件を備えていなければなりません。
- 先行実施において、事業者は業務前自動点呼開始から1か月間は運行管理者立会いのもとで業務前自動点呼を行い、1か月経過後は可能な限り運行管理者の立会いなしで業務前自動点呼を行うこと
- 運転者に酒気帯びまたは健康状態の異常が確認された場合は、運行管理者が運転者の状態を速やかに確認できる体制を整備すること
- 生体認証情報、バイタルデータなど個人を特定できる情報の取得・管理等について、あらかじめ運転者の同意を得ること