業務前自動点呼とは?業務後自動点呼との違いや実施要件について解説|IT点呼キーパー

業務前自動点呼とは?
導入要件や手順や認定機器まで徹底解説

法改正・規則

最終更新日:

  • 2025年4月30日より、国土交通省から「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示の一部を改正する告示」が公布・施行されました。


    この改正点呼告示をきっかけに、運送業における業務前自動点呼が正式に解禁され、ヒューマンエラーの防止や業務効率化などが期待されています。


    しかし、その一方で「どんな機器を選べば良いのか」「実施するにはどんな要件を満たさないといけないのか」などの疑問を抱えている企業もあるでしょう。


    そこでこの記事では、業務前自動点呼の概要から要件、手順、認定機器まで詳しく解説します。

本記事の監修者
なないろバックオフィス代表、藤原七海の写真
なないろバックオフィス|代表

藤原 七海Fujiwara Nanami

業務前自動点呼は、改正点呼告示により導入が可能となった新制度です。本記事では、制度の仕組みや要件、具体的な運用手順、導入メリットや注意点までを整理し、自社で導入すべきか判断できるよう解説しています。

【プロフィール】

行政書士として制度対応や各種届出支援に携わるとともに、応用情報技術者およびPMPの資格を活かし、業務設計やシステム導入を含めた業務改善支援を行っている。実務とITの両面から、現場に無理のない運用づくりをサポート。

目次

業務前自動点呼とは?

業務前自動点呼とは、業務前に実施する点呼において、確認や指示、判断、記録の一部またはすべてを、国が定める要件をクリアした自動点呼機器に代替した点呼です。運送事業者は安全な運送とドライバーを守る目的で、業務を始める前と終わったときに点呼業務が義務付けられています(貨物自動車運送事業輸送安全規則の第7条)。

業務前自動点呼の制度概要

運送業ではドライバーの健康状態や酒気帯びを確認し、業務を行えるかどうかを判断するために業務前点呼を行っています。これまで点呼業務は、国家資格を持つ運行管理者や補助者などが対面で行う必要がありましたが、2025年4月1日に公布・施行された改正点呼告示によって、自動点呼が可能となりました。

これにより、従来は早朝や深夜、休日に関係なく運行管理者や補助者が対応する必要がありましたが、自動点呼が可能になったことで運行管理者の負担軽減につながります。また、点呼記録が機器によって保存・管理されるようになり、コンプライアンスの向上も期待できます。

業務前自動点呼が導入されるに至った背景

安全な運行を守るために義務付けられていた点呼業務ですが、近年の配送量増加により、早朝や休日なども対応が増え、ドライバーや運行管理者の負担は増えている状態でした。特に運行管理者はドライバーの運行スケジュールに合わせないといけないため、勤務時間が不規則になりやすく、さらに管理責任も問われることから、負担の大きさとプレッシャーに耐えきれず、辞めてしまう人も少なくありません。

こうした課題を解消するために、業務前自動点呼の導入が検討されてきました。2023年から実証実験がスタートし、2024年5月からは先行実施事業も始まっています。そして2025年4月30日に改正点呼告示が公布・施行され、8月から認証機器の情報が公開されたことで、本格的に業務前自動点呼が始動したのです。

業務後自動点呼との違い

業務後自動点呼は2023年から制度化されており、運転業務終了後における点呼を、一部またはすべて認定機器を使って自動で実施する仕組みです。本人確認に加え、以下の情報を確認・記録する必要があります。

  • 酒気帯びの有無
  • 車両・道路の状況
  • 運行内容の報告
  • 積荷の状態や苦情の有無

一方、業務前自動点呼ではこれらに加え、次の3点についても記録と確認が求められます。

  • 運転者の疾病・疲労・睡眠不足の状況(自己申告による確認)
  • 日常点検の実施有無
  • 当日の運行に関する指示事項

特に疾病や疲労、睡眠不足については、体温や血圧の測定値だけで判断するものではありません。これらは自己申告により確認・記録を行うことが基本とされており、体温や血圧については個別に測定値を保存する必要があります。

加えて、業務前自動点呼では確認結果に応じて「中断」または「中止」の対応が制度上定められています。たとえば以下のようなケースです。

  • 酒気帯びの反応がある場合
  • 日常点検が未実施、または不備がある場合

これらは即時「中止」となり、自動点呼の再開はできません。一方で、次のような場合には一時的に「中断」となり、運行管理者の判断が必要です。

  • 体温や血圧の異常値が出た場合
  • 疾病・疲労・睡眠不足の申告により運行可否が懸念される場合

この「中断」の後、管理者が安全に問題ないと判断すれば点呼は再開されますが、そうでなければ「中止」へと切り替えられます。

このように「中止」と「中断」では制度上の位置づけと対応が明確に異なります。誤った表現を用いると、法令違反や運用ミスにつながるおそれがあるため、正確な理解と伝達が重要です。

業務前自動点呼を実施するために必要な3つの要件とは?

業務前自動点呼を実施するためには、改正点呼告示で定められている3つの要件を満たす必要があります。

  • 機器の要件
  • 施設・環境の要件
  • 運用体制の要件

それぞれの要件について詳しく解説します。

①機器の要件

業務前自動点呼を導入する際は、国土交通省が定める機能要件を満たした自動点呼機器を用意する必要があります。令和5年の点呼告示(第266号)では、認定機器として求められる条件が詳細に定められています。主な内容は次のとおりです。

  • 運行管理者が点呼予定や結果を把握できる仕組みが備わっている
  • 生体認証などにより、運転者本人を確実に識別できる
  • アルコールの測定値が自動で記録・保存され、測定の手順が適正に管理される
  • 体温や血圧などの健康状態を測定し、平常値との比較や異常通知が可能
  • 疾病・疲労・睡眠不足などの申告を記録し、再開可否の判断材料とできる
  • 測定結果には有効期限が設定され、運転制限などの制御が行える
  • 点呼記録が電磁的に保存され、1年間の保管と閲覧が可能

これらの条件は抜粋であり、全体像の把握には国土交通省が公開している告示文を確認する必要があります。より詳しい情報は、以下の資料をご参照ください。

参考:国土交通省「業務前自動点呼機器 及び 業務後自動点呼機器の要件」(参照2025-12-26)

②施設・環境の要件

自動点呼の実施に際しては、なりすましや機器の不正使用を防ぎ、正確かつ信頼性の高い点呼を実現するために、施設や環境に関する一定の条件が設けられています。特に、ドライバーが所属する営業所や車庫、事業用自動車内、待合所、宿泊施設など、あらかじめ定められた場所以外で自動点呼が行われることがないよう、以下の点が求められます。

  • 使用する場所が、認定された自動点呼機器の仕様に適合している
  • カメラやセンサーなどにより、顔の表情・全身の動き・酒気帯びの有無が明瞭に確認できる照度と映像環境が整っている
  • 点呼中に映像や記録が途切れないよう、通信が安定している
  • ドライバーが体調や睡眠状況を正しく申告できる入力環境が確保されている
  • 点呼機器の移動や改ざんを防止するため、設置場所の管理体制が整っている

これらの要件を満たすことで、自動点呼の客観性と安全性が保たれます。また、内容の一部は遠隔点呼と共通するものも見られますが、運行管理者が直接確認を行う遠隔点呼とは異なり、自動点呼では機器が自律的に判定・記録を行う点に注意が必要です。

③運用体制の要件

業務前自動点呼を適切に実施するには、事業者および運行管理者が体制を整え、なりすましや不正操作の防止、健康状態の的確な把握に向けた準備を行う必要があります。そのため、以下のような運用上の要件を満たしておくことが求められます。

  • 運行管理者が道路交通法や地理情報などの知識を持ち、的確な判断が行える体制を構築する
  • 自動点呼を受けるドライバーに対して、事前に対面または映像・音声通話で面談し、顔認識や健康状態、適性診断結果などを確認する
  • システムの設定や操作環境を整え、本人確認や体調申告、アルコール検知の情報が正確に記録されるようにする
  • 携行品の保持・返却状況について、管理者が確認可能な運用を確保する
  • 生体認証や体温・血圧などの個人情報を取り扱う場合は、事前に対象者の同意を得る
  • 運行管理規程に、自動点呼の方法・責任範囲・記録の保存方法など必要事項を明記し、関係者に周知する

これらの条件を満たすことで、自動点呼の信頼性と安全性が確保されます。制度や機器の導入に先立ち、運用体制を整備しておくことが重要です。

業務前自動点呼の実施手順を解説

業務前自動点呼を実施する場合、どのような手順で行われるのでしょうか?ここで、業務前自動点呼の実施手順を確認しておきましょう。

①本人確認と生体認証による点呼開始

まずは、なりすましを防ぐために本人確認を実施します。これまで本人確認は目視や口頭のみで行われてきましたが、自動点呼機器を導入することでシステムによる厳格な本人確認が可能になります。

例えば、顔認証や静脈認証、虹彩認証などの生体認証が挙げられます。なお、基準を満たしておらず業務前自動点呼が中断となり、運行管理者の判断で点呼を再開する場合も、生体認証による本人確認が必要です。

②アルコール検知の実施と結果記録

次に、酒気帯びの有無を確認します。アルコール検知器を作動する際にも生体認証を活用した本人確認が必要です。もしアルコールが検知されれば、ただちに運行管理者などに警報または通知が届くようになっており、自動点呼は中止となります。再度行うためには新たに点呼予定を作成しなくてはなりません。

アルコール検知器による測定結果と、検知器を使用する際の静止画または動画は、自動点呼機器によって自動的に記録・保存されます。アルコール検知器についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

③体温・血圧など健康状態の測定と自動判定

体温や血圧といった健康指標を測定し、ドライバーの体調を確認します。自動点呼機器は、平常時のデータと比較することで、安全運転が可能かどうかを自動的に判定します。基準を超える異常が検出された場合、点呼は一時中断され、運行管理者へアラートが通知される仕様です。

運行管理者はドライバーの状態を確認したうえで、点呼を再開するか中止するかを判断します。判断結果と管理者の氏名は記録として保存され、後から確認できるようになっています。

健康状態の測定結果も自動で記録・保存される仕組みです。なお、測定値に異常が見られない場合でも、ドライバー自身が体調不良を感じた際は、必ず運行管理者へ報告する必要があります。

点呼時の健康管理に関する詳細は、以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

④疲労・睡眠不足等の自己申告とリスク判断

健康状態の測定に加え、数値には出にくい疲労・睡眠不足などはドライバーから自己申告してもらいます。自己申告の内容次第では安全運転ができない恐れがあるため、健康状態の測定結果も加味したうえで運行管理者によって判断されます。

自己申告によって運行管理者がNGと判断した場合、ドライバーだけで点呼を再開することはできません。基本的に運行管理者が安全と判断しないと、業務前自動点呼は再開されないので注意してください。

⑤安全運転可否の判定と点呼中断・再開の手順

アルコール検知や健康状態の測定、自己申告などを踏まえたうえで、自動点呼機器は安全運転が可能かどうかを判定します。アルコールが検知された場合は点呼自体が中止となりますが、健康状態に異常がみられる場合は点呼が中断となり、運行管理者の判断で再開することが可能です。点呼を中断・再開した場合は、中断に至った判定結果と、再開を判断した運行管理者の氏名を記録・保存する必要があります。

⑥車両の日常点検結果の入力と異常時対応

業務前自動点呼では、車両の日常点検も記録・保存します。ドライバーによる自動車の点検は、道路運送車両法 第47条の2第2項にて「一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。」と明記されています。基本的には点呼を受ける前に、平坦な場所でチェックシートを活用しながら行うのが基本です。

【点検項目】

  • ブレーキ
  • タイヤ
  • バッテリー
  • エンジン関連
  • 灯火装置・方向指示器
  • ウィンドウォッシャー・ワイパー
  • エア・タンク

万が一異常が見つかった場合、ドライバーは整備管理者に報告する必要があります。業務前自動点呼でも運行管理者が情報を把握できるように、点検結果を入力しなくてはなりません。

⑦運行管理者からの指示確認と点呼完了記録

すべての入力が完了したら、最後に運行管理者から指示の確認と点呼完了記録を取ります。自動点呼機器でも点呼の中止・中断を自動で判定することも可能ですが、点呼を再開またはやり直すか、運行を見合わせるかの判断は、最終的に運行管理者へ委ねられます。

なお、運行業務に従事させられないと判断した場合、点呼記録にてその理由と代替措置の内容を記録することも大切です。

業務前自動点呼の導入によって得られるメリットとは?

業務前自動点呼を導入することで、主に以下4つのメリットを得られるようになります。

  • 運行管理者の負担軽減と労働時間の削減
  • 点呼の確実性向上とヒューマンエラー防止
  • 健康起因事故の防止と安全性の向上
  • 業務効率化とDX推進によるコスト削減

運行管理者の負担軽減と労働時間の削減

業務前自動点呼を導入するメリットとして、まず運行管理者の負担軽減と労働時間の削減が挙げられます。運行管理者はドライバーの業務前・業務後点呼に加え、ドライバーの労務管理や安全運転の指導、運行計画の作成、車両管理など、幅広い業務を担っています。その結果、不規則な勤務になりやすく、また複数人が在籍していてもドライバー数が多ければその分1人あたりの負担も大きいです。さらに、ドライバーが健康などの理由で事故を起こしてしまった場合、点呼時の確認が不十分だったとして運行管理者が責任を問われることもあります。

こうした負担とプレッシャーなどは、自動点呼の導入によって軽減させることが可能です。

点呼の確実性向上とヒューマンエラー防止

これまで点呼作業は対面で、さらに手作業で記録・保存をしていました。しかし、すべて人間の手作業で行うと、記入ミスや確認漏れなども発生しやすいという問題もあったのです。

業務前自動点呼の導入により、すべてまたは一部の業務を点呼機器に任せられるようになり、確実性を向上させることが可能です。ヒューマンエラーが発生しやすい状況にあった企業にとっては、特に大きなメリットと言えます。

健康起因事故の防止と安全性の向上

国土交通省の「令和5年度第2回 事業用自動車健康起因事故対策協議会」の資料によると、令和4年の健康状態に起因する事故報告件数は全体で313件あり、そのうちトラックが約3分の1を占める106件に上っていることがわかっています。また、106件中60件は乗務の中断などで衝突・接触を防げていますが、30件は物損事故などを起こしており、残りの16件は人身事故に発展しています。

業務前自動点呼では、体温や血圧などドライバーの健康管理が行えて、平常時との比較もしやすいことから、健康起因事故の防止効果が期待できます。

業務効率化とDX推進によるコスト削減

業務前自動点呼を導入することで、点呼にかかる時間と人的コストの大幅削減が可能です。従来の対面点呼では運行管理者の配置やシフト調整などが必要でしたが、自動点呼機器を活用すれば効率的に点呼を実施できます。また、点呼時の記録も自動的に保存されるため、書類作成や保存の手間も軽減され、管理工数の削減にもつながります。

これにより、現場のDX化が進み、全体的に運行管理コストを抑えつつ、より付加価値の高い業務にリソースを割けるようになります。

運送業の業務効率化方法については以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

法令遵守と監査対応の強化

自動点呼機器は、国土交通省が定める要件に対応して設計されており、アルコール検知や健康状態の確認、運行管理者への通知などを確実に行うための機能が備わっています。点呼内容が自動的に記録されるため、監査や行政指導が入った際にも、正確かつ改ざんリスクの低いデータを提示できるのが大きな強みです。

法令順守の徹底に加え、記録の透明性が高まることで企業のコンプライアンス体制も強化できます。

非接触運用による感染症・衛生リスク対策

業務前自動点呼では、対面でのやり取りを最小限に抑えることが可能です。ドライバーと運行管理者などの接触機会を減らし、感染症リスクの低減に寄与します。特に、多拠点・複数の車庫を持つ事業者にとって、対面点呼をするために人を集める必要がなく、衛生面での安心感も高まります。

また、自動点呼機器によってはタッチレス操作やクラウド連携にも対応しており、衛生面を保ちながら運用できる点もメリットです。

運送業の感染予防対策については以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

業務前自動点呼導入時の注意点とは?

業務前自動点呼を導入するとさまざまなメリットを得られますが、その一方で注意すべきポイントもあります。主な注意点は以下のとおりです。

  • 通信障害・機器トラブル時の代替点呼体制を整備する
  • アルコール検知・体調異常時の対応フローを明確にする
  • 運転者ごとの健康基準値設定に時間と準備が必要
  • 生体情報や映像データの個人情報管理を徹底する
  • 導入後の教育・運用ルール整備を怠らない

通信障害・機器トラブル時の代替点呼体制を整備する

自動点呼機器は通信環境や機器が正常に動作することを前提としているため、万が一機器の故障などトラブルが発生したときのために、バックアップ体制を整えておく必要があります。通信障害なども考慮して対面点呼や電話点呼に素早く切り替えるための手順を明確にし、運行業務に支障が出ないよう準備することが大切です。

また、複数拠点がある場合は、拠点ごとに復旧手順をまとめておくと安全かつスムーズに点呼が行えるようになります。

アルコール検知・体調異常時の対応フローを明確にする

業務前自動点呼でアルコール検知や体調異常がみられた場合、いくら発見できたとしてもその後の対応が不適切であれば安全確保にはつながりません。自動点呼機器が異常を検知した際に、運行管理者へ自動通知される機能が備わっていたとしても、最終的に判断と措置を下すのは運行管理者になります。

運行業務を停止する判断基準や代替ドライバーの手配、救急対応の必要性など、具体的な対応フローを明確に定めておき、すべての従業員に周知させるようにしましょう。

運転者ごとの健康基準値設定に時間と準備が必要

自動点呼機器では、健康状態を測定し、自動的に判定する機能も搭載されています。しかし、適切な基準値はドライバーの年齢や既往歴、勤務形態などによっても異なるため、本格導入する前にドライバーごとの平常値を調べる必要があります。このデータを基準値として設定する手間が発生するので注意してください。

また、そもそも基準値が合わないと誤検知や過剰反応につながる可能性もあるため、導入時はドライバーの健康状態も踏まえて、慎重な調整・検証が必要です。

生体情報や映像データの個人情報管理を徹底する

顔認証や映像記録、ドライバーの健康データなど、一般の業務記録よりも機微な個人情報を取り扱います。これらのデータが外部に漏洩していた場合、企業として信用が失墜し、法的リスクにつながる可能性もあります。データの保存期間やアクセス権限による管理、クラウド上に保存している場合はセキュリティ対策を徹底するなど、適切な運用ルールを設けることが大切です。

なお、生体認証を扱う場合、事業者はドライバーから事前に同意を得る必要があります。

導入後の教育・運用ルール整備を怠らない

業務前自動点呼は導入しただけで効果が発揮されるものではなく、ドライバーと運行管理者の双方に対する運用教育が必要です。例えばツール・システムの操作方法や点呼不備時に対応、異常検知時のフローなどを明確に設定し、誰でも同じように運用できる体制をつくることが大切です。

また、法令改正や機能のアップデートに伴い運用ルールを見直し、定期的に研修やマニュアル更新を実施して、安全かつ効率的な点呼運用を維持できるようにします。

業務前自動点呼の導入までの手順を解説

業務前自動点呼を導入するまでの手順は以下のとおりです。

  • 導入計画の立案と対象拠点の選定
  • 国交省認定機器の比較・選定
  • 所管運輸支局への事前届出と必要書類の準備
  • 機器設置・通信環境整備・規程改訂の実施
  • ドライバー教育と試験運用の実施
  • 本格運用開始と運用体制のフォローアップ

導入計画の立案と対象拠点の選定

業務前自動点呼を導入する際には、まず自社の運行形態と拠点数、点呼の実施体制などを整理し、どの拠点から導入するか検討する必要があります。特に深夜・早朝に点呼が集中する拠点からスタートすると、効果を実感しやすくなります。

また、対象拠点の選定に加え、導入コストや運用担当者、スケジュールなどを導入計画に落とし込み、関係部署間で共通認識を持つことも大切です。

国交省認定機器の比較・選定

業務前自動点呼を実施するには、国土交通省が定める基準を満たした「認定機器」を使用する必要があります。メーカーごとに顔認証やアルコール検知の精度、体調の確認、クラウドに記録・保存する機能など、特徴や強みが異なるため、自社の運用に合うかどうか比較して選定しましょう。

また、機器を比較する際にはサポート体制も重要です。導入時のサポート体制やサポート窓口を設置している場合、わからないことがあっても素早く対応してもらうことができ、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。

所管運輸支局への事前届出と必要書類の準備

機器を選定できたら、本格導入の前に所管の運輸支局へ、届出書と必要な添付書類を提出しなくてはなりません。異なる都道府県に複数拠点があり、それぞれで運用する場合にも各拠点を管轄する運輸支局に対して申請する必要があります。

届出期限や様式などは各運輸支局で異なる場合もあるため、必ず管轄の運輸支局からの案内に従うようにしてください。自動点呼の運用を開始する予定日の約10日前までには提出しましょう。

機器設置・通信環境整備・規程改訂の実施

届出が完了したら、拠点に自動点呼機器を設置し、初期設定を済ませておきます。また、顔認証や映像通信を伴うため、通信環境の整備も不可欠です。さらに、業務前自動点呼を行うためには、運行管理規程や点呼マニュアルなどを自動点呼用に改訂し、新しい運用ルールを全体で明確にする必要があります。

現場環境に応じて、運用時間や点呼フロー、緊急時の対応ルールなどを整備しておきましょう。

ドライバー教育と試験運用の実施

機器の設定やルールの整備が完了したら、次にドライバーと運行管理者に対して研修を実施します。顔認証の登録やアルコール検知器の使い方、異常検知時の対応フローなど、実践形式で学ぶことで、本格導入後の不安を取り除けます。

慣れない機器・システムの導入は、現場の担当者やスタッフにとって大きなストレスにつながります。このような問題を解消するためにも、本格導入をする前に研修と試験運用を実施するようにしてください。

本格運用開始と運用体制のフォローアップ

試験運用を行い、浮上した問題点をクリアできたら、いよいよ本格運用の開始です。ただし、本格運用を開始したとしても、定期的にルールの見直しや機器のアップデート対応、運用記録のチェックなどは必要となります。特に、トラブルが発生した際のバックアップ体制や点呼記録の管理方法などは、運行管理者とドライバーの双方が常に最新の状態を把握できるようにすることが大切です。

運用体制のフォローアップを継続することで、安全性と効率性が両立した自動点呼が可能になります。

【2025年最新版】認定された主な業務前自動点呼機器一覧を紹介

2025年11月11日時点で、認定を受けている業務前自動点呼機器は以下のとおりです。

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機器の名称 概要 申請者・製作者
AI点呼システム ドライバーはAI点呼システム™と対話形式で点呼を進められる。 株式会社NPシステム開発
e点呼セルフ
Type ロボケビー
運行管理者はクラウド上で点呼計画の作成と点呼記録の閲覧が可能。ドライバーはロボットを通じて点呼を実施する。 東海電子株式会社
Business Support System(BSS)
業務前後自動点呼機能
ドライバーはBSSクライアントアプリにログインし、業務前自動点呼を実施。画面の案内に従って進められる。 株式会社アネストシステム
タブレット自動点呼
「kenco(ケンコ)」
タブレット端末から簡単に点呼ができる機器。営業所・車庫での点呼はもちろん、車内や宿泊施設での自動点呼にも対応。 株式会社ウイズ
自動点呼システム
「SAN 点呼」TH-01
タッチパネルを操作し、画面と音声による案内に合わせて操作可能。管理者側操作の一部はスマホなどのモバイル端末からも操作できる。 中央矢崎サービス株式会社
点呼システム「ALCFaceAir」
(アルコフェイスエアー)
据置型アルコール検知器「ST-3000」とデータ管理システム「ALCGuardianNEXT」を連携し、点呼の業務効率化を図ったシステム。 サンコーテクノ株式会社
AI 点呼システム
(TNK-NBSYS / TNK-DBSYS)
モバイル点呼システム
(MLC-MATSYSSP)
ドライバーは対話形式で点呼を進められる。事業用自動車内や待合所、宿泊施設などで点呼をする場合は、スマホアプリを活用して点呼を進めることが可能。 株式会社NP システム開発
Fine Tenko Manager
(Station/Mobile)
タブレット端末を使った点呼業務が可能。点呼結果はクラウド上に保存され、管理者ログインにより点呼結果などの閲覧・確認ができる。 株式会社マーブル
点呼+ロボット版 Kebbi
(NRTAP200K)
ドライバーはバイタル測定アプリから生体認証後、体温や血圧の事前測定を行い、ロボットを通じて点呼を開始する。 株式会社ナブアシスト
点呼+デスクトップ版
(NDKAP200J)
ドライバーは点呼+デスクトップアプリから生体認証による本人確認を実施し、点呼を開始。ガイダンスによる案内に従って進められる。 株式会社ナブアシスト

業務前自動点呼認定機器なら「IT点呼キーパー」がおすすめ

業務前自動点呼の機器を選ぶ際に、どの機器を導入するか迷ってしまう企業も多いはずです。そんなときは、「IT点呼キーパー」がおすすめです。

IT点呼キーパーは、すべての点呼機能を営業所別のデータで一元管理でき、クラウド上に保存・管理しているため、いつでもどこからでも確認できます。記録簿は自動で保存されるため、作業効率を高めつつ不正防止効果も期待できます。ドライバーにとっては対面点呼を行うために離れた営業所まで向かう必要もなくなり、運行管理者にとっても業務負担の削減につながります。

2025年12月時点では、IT点呼キーパーは業務前自動点呼機器として認定申請中です。対応までもうしばらくお待ちください。

まとめ:業務前自動点呼を導入して安全性と効率化を高めよう

業務前自動点呼は、安全な運行と効率的な運行管理を実現するための重要な仕組みです。導入するためにはさまざまな要件を満たす必要がありますが、その分運行管理者の負担軽減や健康起因事故の防止、業務効率化などさまざまなメリットを得ることが可能です。

導入計画の立案から試験運用、本格運用まで段階的に進めることで、自社に最適な形で業務前自動点呼を取り入れることができます。自社の運用に合わせて認定機器を選定し、継続的に業務前自動点呼を実施していきましょう。


【出典】
貨物自動車運送事業輸送安全規則|e-GOV(参照2025-12-26)
道路運送車両法|e-GOV(参照2025-12-26)
我が国の物流を取り巻く現状と取組状況|国土交通省(参照2025-12-26)
自動車運送事業における運行管理の高度化に向けた業務前自動点呼の先行実施要領|国土交通省(参照2025-12-26)
業務前自動点呼の制度化に向けた最終とりまとめについて|国土交通省(参照2025-12-26)
業務前自動点呼の告示|国土交通省(参照2025-12-26)
業務前自動点呼機器 及び 業務後自動点呼機器の要件|国土交通省(参照2025-12-26)
遠隔点呼・自動点呼解説パンフレット|国土交通省(参照2025-12-26)
健康起因事故発生状況と取組について|国土交通省(参照2025-12-26)

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正しい点呼で違反を防ごう~運送業における正しい点呼とは~
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IT点呼キーパー 編集部

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    軽貨物における点呼とは?軽貨物運送事業の登録に必要な要件も解説

    新型コロナウイルス感染症の流行後、通販や宅配サービスの利用が急増し、狭い住宅地でも荷物をスムーズに運べる軽貨物運送の需要が高まっています。しかし、軽貨物運送事業を始めるにはさまざまな規定があり、「何から手をつけてよいかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、軽貨物運送の基本情報や登録に必要な要件、そして点呼についてわかりやすく解説します。軽貨物車を使った事業を始めたい方はもちろん、すでに事業を営んでいる方もぜひ最後までご覧いただき、顧客の多様なニーズに対応できる事業展開にお役立てください。

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